Hatena::ブログ(Diary)

西野神社 社務日誌

2008-01-18 恵方(えほう)

巻き寿司

最近、スーパーやコンビニなどに行くと、「2月3日は丸かぶりの日」「丸かぶり寿司 御予約受付中」といったキャッチをよく見ます。「節分の日にその年の恵方を向いて無言で巻き寿司を丸かぶりする」というこの風習は、元々は明治時代に大阪で始まったものらしく、七福神に見立てた具材を巻いた太巻きを、こぼさないようにして一気に丸かぶりする事で、「福をこぼさない」という縁起を担いだものです。

しかし、関西では節分の風習として既に定着していたものの、北海道ではつい最近までほとんど知られておらず、多くの道民にとっては全く無縁の風習でした。現在では、年中行事の一つとしてこの風習は北海道も含め全国に広まりつつありますが、これは、海苔や寿司の消費拡大を狙った業界団体のPRの賜物といわれています。

ところで、「その年の恵方を向いて無言で巻き寿司を丸かぶりする」と言っても、そもそも恵方を知らなければ、巻き寿司を丸かぶりする事もできません。恵方とな一体何なのでしょうか。今日は、「恵方」について少しお話させて頂きます。


恵方とは、方角の吉凶判断で「吉」とされる方角の事(陰陽道に基づく考え)で、その年の歳徳神(福徳を司る吉神)のいる方角の事です。この歳徳神という神様は年毎にその居場所を変えられるため、それに合わせて恵方も、年毎にその方角が変わります。そのため、今年もしくは来年の恵方はどの方角なのかを知りたい場合、暦の本を読んで調べたり、神社に問い合わせたりする方が多いのですが、実はそういった事をせずとも、恵方は簡単に知る事ができます。

恵方というのは、甲の方角(東と東北東の間)、庚の方角(西と西南西の間)、丙の方角(南と南南東の間)、壬の方角(北と北北西の間)の4方角のいずれかで、それ以外の方角になる事はありません。そして、その年の恵方がその4方角のいずれかになるかは、その年に十干(じっかん)によって決まります。「十干」とは、甲・乙・丙・丁・戊・己・庚・辛・壬・癸の十種の要素の事で、日本では「十二支」(子・丑・寅・卯・辰・巳・午・未・申・酉・戌・亥)と合わせて暦の表示でよく用いられています。

このように書くと何やら複雑そうに見えますが、十干というのは、ただ十年毎に巡っているだけですから、下の表に示しましたように、実は西暦の下一桁を見れば、その年の恵方は簡単に知る事ができます。

その年の十干方 角西暦末尾の数字
甲・己甲(東と東北東の間)4,9
乙・庚庚(西と西南西の間)0,5
丙・辛・戊・癸丙(南と南南東の間)1,6,3,8
丁・壬壬(北と北北西の間)2,7

つまり、今年は西暦2008年、即ち下一桁は「8」ですから、上の表によると今年の恵方は「丙」(南と南南東の間)という事です。ちなみに来年は「9」ですから、来年の恵方は「甲」(東と東北東の間)になります。

十干と干支の早見表

ところで、丸かぶり寿司を扱っているお店などに掲げられている表示では、「今年の恵方は南南東」と記されていますが、厳密に言うと、今年の恵方は「丙」であって「南南東」ではありません。丙と南南東は単に名称が違うだけではなく、その方角も僅かにズレているのです。というのも、南南東というのは西洋式(北が上)の16分割した方位の名称であるのに対し、恵方を示すのに使われる方位は中国式(南が上)の24分割した方位のため(貼付の方位表参照)、丙の方位と南南東は僅かながらズレてしまうのです(丙は南南東よりも南寄りです)。

ですから、今年の恵方を正確に言う場合はあくまでも「丙」というべきなのですが、しかし大多数の現代人にとって、十干による方位は馴染が薄いため、一般にはそれを西洋式に置き換え、「丙」に最も近い「南南東」と表記する事が多いのです。ちなみに、恵方を西洋式の方角で正確に表記する場合、甲(東と東北東の間)は「東微北」、庚(西と西南西の間)は「西微南」、丙(南と南南東の間)は「南微東」、壬(北と北北西の間)は「北微西」という書き方をする事もあります。


(田頭)

人気blogランキングへ

田頭田頭 2008/01/18 08:30 最近は、節分に合わせて「丸かぶりロールケーキ」なるものも売り出されています。コンビニのチラシに載っている写真を見ると、ココアスポンジにバナナや苺などが入っているロールケーキのようです。
寿司や海苔の業者だけではなく、最近は菓子業界も「丸かぶり」に参入しつつあるようです。

RIERIE 2008/01/18 11:03 お寿司の丸かじりは子どもの頃からありました。バレンタインデーと同じくらいに、こちらでは、有名です。商売根性がすごいですから。
恵方はお寿司のケースに書かれている方角を信じて、食べていました。
方向、微妙にずれてたんですね。
よく、勉強になりました。
西暦の末尾の数字で決まるなんてそれも、びっくり!
てっきり、矢を当てて方角を決めるのかと思っていました。
(まるで宝くじの当選番号番号?)

田頭田頭 2008/01/19 18:24 >RIEさん

恵方は西暦を基準に決められている訳ではなく、あくまでも十干を元に決められているのですが、その十干は10年周期で一回りするため、結果として、西暦の下一桁からもその年の恵方を知る事ができるのです。
ちなみに私は、6年前に京都で生活していた時(神職養成機関在学中の時)に、地元の人から教えて貰って初めて、節分に寿司を丸かぶりするという風習を知りました。その当時は、北海道ではまだこの風習はほとんど広まっていませんでした(今でも関西程広まってはいませんが)。