Hatena::ブログ(Diary)

西野神社 社務日誌

2008-06-11 火を使っていた地鎮祭

発掘現場

地鎮祭歴史については平成17年11月30日付の記事でも紹介させて頂きましたが、今年に入ってから、その地鎮祭の歴史に関する新たな遺構が、京都市内で発見されました。

臨済宗の宗門校である花園大学(京都市中京区)は来年3月までに新校舎の完成を目指しているのですが、その新校舎建設予定地は平安京の大内裏跡に近い事から(右の地図参照)、同地では昨年8月から、同大学文学部の高橋克壽准教授の指揮により埋蔵文化財発掘調査が行われていました。そして今年の2月、高橋准教授のチームは、その大内裏跡西側の屋敷跡地から、火を使って地鎮祭を行ったと考えられる9世紀初めの鎮祭遺構(建物を建てる時や壊すときに祭りを行なった跡)を発見したのです。

貴族の宅地の中でも母屋と思われる建物跡のほぼ中心に、直径約45cmの浅く掘られた窪みのような穴があり、その穴の中全体に炭が残っていて、穴の中央には高さ約10cmの須恵器(青灰色の陶質土器)が置かれていたそうで、母屋を新築するか建替えるかした際に何らかの儀式を行ったと推定されています。鎮祭遺構そのものは平城京跡など他の場所でも発見されていますが、鎮祭遺構で火の使用が確認されたのは今回が初めてで、当時の貴族社会の精神文化や祭祀の実態を知る上でも、今回の鎮祭遺構はかなり貴重な発見といえそうです。

この地で発掘調査を指揮していた高橋准教授は、「焼くという行為が確認できる鎮祭遺構は珍しい。邸宅を造営するに当って、土地の穢れや不浄を焼き祓う意図があったのでは」と分析しているそうで、今回の発見は、神職として日常的に地鎮祭を執行している私にとってもなかなか興味深いニュースでした。ちなみに、現代の神社が執り行う地鎮祭では、火を使う事はまずありません。

人気blogランキングへ

まさかずまさかず 2008/06/12 20:35 某密教寺院の祈祷作法の中に、火を使った祓いの儀式があります。私も「切り火」を使い、お祓いすることがあり、神仏問わず、古来から火は神聖視されてきました。

田頭田頭 2008/06/13 06:53 >まさかず様

「切り火」をされているのですか。密教の御祈祷で火を使うのは一般的かもしれませんが、神社の御祈祷で火を使うのは珍しいですよね。修験道の流れを汲んでいる山岳信仰系の神社では、御祈祷の最中に火を使う事もあるようですけど。
そういえば、昨年神奈川県を旅行した際に参拝・見学してきた横浜市内のある神社では、授与所の窓口で授与品を参拝者に授与する時、その参拝者の前で神職が授与品に向けて火打石をカチッ、カチッ、と打ってお祓いをしてから渡していました。

だいすけだいすけ 2008/06/13 12:28 田頭様

火を使った地鎮祭ですか、大変興味深いお話ですね。まだ人間が火を自由にコントロール出来なかった頃の記憶がDNAの中に組み込まれている様で、科学が進歩した現代に於いても「火」には特別な感情がありますね。

消防関係の仕事をしていながら不謹慎に思われるかも知れませんが、私は放火をして鬱憤を晴らす人の気持ちが少しだけ解る気がします。

多分、?火を自由にコントロール出来た事の「快感」、?全てをリセット出来るのではないかと言う「期待」(火葬の根源もこれだと思います)、等が心の奥底にあって放火に走らせるのだと思います。

でも、実はこの感情は大体の人が大なり小なり持っている感情で、普段は火を大きくしてしまって自分で制御が利かなくなった事態が容易に想像出来るのでその様な事はしないだけなんですね。

非常に御し難い「火の力」を上手に利用する事が正しい人間の営みだと思います。花火大会は老若男女理屈抜きで楽しめる催事ですし、まさかずさんのコメントの中にもあった密教寺院の祈祷作法等は、然程信仰心の無い人が目にしても「恐れ多い」何かを感じる事が出来ると思うからです。

だいすけだいすけ 2008/06/13 12:31 追記

上記コメントに文字化けがあります。1つ目の?に?を、2つ目の?に?を入れて下さい。

田頭田頭 2008/06/13 14:57 >だいすけ様

そうですね、仰るように「火の力」を上手に利用する事が、人としての正しい営みなのでしょうね。