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西野神社 社務日誌

2010-08-06 松前神楽の研修会

昨日は午後2時45分から午後6時まで、札幌市中央区に鎮座するS霊神社で、青年神職文月会の教養研修会(8月例会)として、松前神楽(まつまえかぐら)についての研修会が開催され、私も出席させて頂きました。

松前神楽は、今から約350年前、当時北海道南部を治めていた松前藩主・松前矩広が福山城で、それまで各地に分散していた神楽を一つにまとめた事により成立した、北海道を発祥とする唯一の神楽で、自然の恵みに感謝する心から生まれた農耕儀礼であり神様に感謝する心を再現した神楽とも言われています。現在は、主に道南地方渡島檜山後志など)の神職によって伝承され、道南各地の神社では例祭時に大前で奉納されています。また、松前神楽は貴重な無形文化財として、平成20年6月に北海道指定無形民俗文化財にも指定されています。

組織としては、松前神楽北海道連合保存会の下に、松前神楽函館連合保存会(函館市)、松前神楽小樽ブロック保存会(小樽市)、松前神楽松前ブロック保存会松前町)、福島町松前神楽保存会(福島町)の4団体があり、松前神楽はこれら4団体によって保存・伝承されており、昨日の研修会では、松前神楽小樽ブロック保存会の皆様方に講師として来て戴きました。

研修会では、まず社務所内の洋室で、小樽ブロック保存会の会長さんより松前神楽の概要や歴史について講義して戴き、松前神楽が後志管内で一時衰退したもののまた盛んになっていった経緯などを興味深く拝聴致しました。そして講義の後は全員で拝殿に移動し、そこで実際に小樽ブロック保存会の皆様方に松前神楽を実演して戴きました。私が年2回、当社の大前で舞わせて頂いている朝日舞とは当然の事ながら全く異なっており、とても興味深く見学させて頂きました。松前神楽の実演の後は、何人かの受講生が、受講生を代表して講師の方々の指導のもと松前神楽の動きを練習しました。

道南地方では、松前神楽は本務社(神職が常駐している神社)・兼務社(普段は無人の神社)問わずに神事として大前で奉納されているため、演じられている機会やそれを観る機会は結構多いそうですが、札幌では、松前神楽が奉納されている神社はほとんどなく、そのため、私が松前神楽を実際に観たのは昨日が初めてでした。神職として、とても勉強になりました。

御多忙の所、文月会からの招待に応じて後志や檜山など各地からわざわざ札幌までお越し戴き、大変貴重な神楽の数々を実演して下さった松前神楽小樽ブロック保存会の皆様方、そして、会場を提供して下さったS霊神社様、昨日はどうもありがとうございました!


松前神楽(幣帛舞)

▲ 幣帛舞(みてぐらまい)。 その神社の宮司が神域を祓い清め、神拝して御幣を奉るという、神職としての神明奉仕の姿を表した舞です。榊舞、祝詞舞ともいいます。

松前神楽(福田舞)

▲ 福田舞(ふくだまい)。 四方の神々を拝し、祓い清めて諸々の災いを除き、五穀豊穣を祈る舞です。松前神楽のなかでは最も基本的な舞で、跡祓舞ともいいます。

松前神楽(二羽散米舞)

▲ 二羽散米舞(にわさごまい)。 二羽の雄雌の鶏の形をした鳥兜を頭に被って舞う、夫婦が相睦び相親しみ、和合して世の中が平和である様を表した舞です。鶏は天の岩戸開きに、暗黒の世から光明の時を告げ、世の始まりに地を踏み固めた端鳥であるとされています。

松前神楽(三番叟舞)

▲ 三番叟舞(さんばそうまい)。 顔の黒い精力絶倫の老翁が、才智多い子孫に恵まれ、今なお健康長寿である事を喜び、腰を屈めながらも元気よく大地を踏みしめ、舞遊ぶ姿を表した、家門の隆昌・子孫繁栄を祝福した舞です。

松前神楽(翁舞)

▲ 翁舞(おきなまい)。 額に幾重のしわが寄っても身体壮健な、面が白く心柔和な老翁が、幾年月を経る間に高い身分に上った事を表す舞で、舞中に願い事を言葉に表し、息災延命・立身出世を祝って舞う、福禄寿の備わった最も目出度い舞です。講師の先生曰く、この翁舞は、松前神楽最高峰の舞であるそうです。

松前神楽(太平楽の舞)

▲ 太平楽の舞(たいへいらくのまい)。 かなりコミカルで、それでいてアクロバットな動きを伴う、非常に難易度の高い舞で、この舞を舞える伝承者はかなり限られているそうです。

松前神楽(獅子舞)

▲ 獅子舞(ししまい)。 獅子舞は始めから終わりまで12回手が変わり、御綾威舞(みいつまい)、獅子五方(ししのごほう)、獅子鈴上(ししのすずあげ)、面足獅子(めんそくしし)の4つの舞から成っています。

松前神楽(獅子舞)

▲ 獅子舞。 これは獅子舞の一つ「面足獅子」で、猿田彦がササラを持って登場し、暴勇な獅子を手玉にとって遊びたわむれます。平和な世の中を招く悪魔退散の舞です。

松前神楽(福田舞)を練習

▲ 松前神楽の練習風景。 小樽ブロック保存会の皆様の神楽実演の後は、私達受講生も松前神楽(福田舞)を練習しました。


(田頭)

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伊予伊予 2010/08/09 08:29 田頭様
むかし松前神楽を見たことがあります。その時のこと懐かしく想いだされます。
機会があったらもう一度見に行きたいと思います。
日本の伝統文化大事はこれからも大事にしたいものですね。

田頭田頭 2010/08/10 11:40 >伊予様

札幌を始めとする石狩地方は、松前神楽が盛んな後志地方と隣接しているにも拘わらず、神社で松前神楽が奉納される事はほとんど無く、それだけにこの日の研修会で披露された松前神楽の数々は、私にとってはとても新鮮でした。
私も、機会があれば是非また観てみたいと思います。

まさかずまさかず 2010/10/02 17:36 毎年、地元神社の例祭には、後志、檜山の神職の方々が松前神楽を奉仕して頂いており、私も、手拍子や締太鼓をたたいてお手伝いしてます。私は、松前神楽の獅子舞が好きですね。

田頭田頭 2010/10/05 13:20 >まさかず様

私も、獅子舞は見ていて特に楽しかったです。
動きがとても激しいので、舞っている人はかなり大変なのでしょうけど!

斉藤斉藤 2015/11/30 16:35 笛がすごいです。覚えたいのですが、どんな種類の笛を使用されているのか教えてください。

田頭田頭 2015/12/15 23:09 >斉藤様

返信が遅くなってしまい、申し訳ありません。
私自身は松前神楽には全く関わっていないので、松前神楽で具体的にどのような笛を使用されているのかは存じません。
記事の本文でも述べているように、松前神楽は主に道南(渡島・檜山・後志)の神社に伝承されているので、道南の神社に直接問い合わせをされたほうが、具体的に教えて貰えるかもしれません。