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西野神社 社務日誌

2013-05-05 端午の節供と鎧兜

兜

今日は、「端午の節供」の日です。端午の節供は、人日の節供(1月7日)、上巳の節供(3月3日)、七夕の節供(7月7日)、重陽の節供(9月9日)と共に「五節供」のひとつとされ、武者人形や兜、鯉のぼりなどを飾って、男の子の成長と健康をお祝いする日とされています。
元々は、邪気を祓うための「菖蒲の節句」でしたが、“菖蒲”が“尚武”や“勝負”の音と通じる事から、武者人形など勇ましい飾りをして男の子の成長をお祝いする日になりました。当社では特に神事は行いませんが、一部の神社では、この日には子供の健やかな成長を願う神事を斎行する神社もあります。

端午の節供は、元は中国から伝わった行事ですが、日本では平安時代には既に五節会(ごせちえ)のひとつに数えられていました。五節会とは、節目の日に邪気を祓うために宮中で開かれた年5回の宴の事で、五節供は、その五節会を元に形成されました。五節供の制度明治6年に廃止されましたが、今でも年中行事の一つとして広く一般に定着しています。
ちなみに、神様へのお供え物という意味から、本来は「節供」と表記するのが正しいのですが、現在では、一般には「節句」と書かれる事が多いようです。

古来より、端午の節供の日には、菖蒲や蓬(よもぎ)を軒先に差したり、菖蒲湯に入る事が一般的な慣例とされてきましたが、これは、香の強い植物には病気や災厄を祓う魔除けの力があると信じられていた事に起因し、逆にいえば、この時期は季節的に疫病が発生しやすい時期であった事を意味しています。
菖蒲や蓬は昔話にもよく登場する魔除けのアイテムで、山姥などの妖怪がこの香に弱い事を利用して難を逃れたり、蛇に孕まされた女性が菖蒲湯に浸かって蛇の子を堕胎するといった話は全国に残されています。菖蒲の持つ匂いが蛇や虫を寄せ付けない事から、その根を干して煎じて飲めば解毒作用があるとも信じられていました。

端午の節供が男の子のお祝いの日として広く定着するようになったのは江戸時代になってからで、武者人形、鯉のぼり、ちまきなど、現在の端午の節供を形成する主要な要素はだいたい江戸時代にほぼ全てが出揃いました。
また、この日には相撲凧揚げ、船による競争といった勇壮な行事も多く行われるようになり、武家の間では、この日に家紋を記した旗指物や吹流しを玄関前に並べるといった事も行われるようになりました。
戸外に鯉のぼりを立てるという風習は、「黄河の急流の竜門を昇ったコイは竜となる」という中国の故事に因んで我が子の立身出世を願うものとして、江戸時代中期頃から町人の間で始まり、やがてそれが武家の間にも広まっていきました。

江戸時代後期になると、節供の飾りは屋外から室内へと移されるようになり、武者人形のモデルは、当初は、武神として信仰されていた神功皇后武内宿禰でしたが、後には、金太郎牛若丸、弁慶、加藤清正など多様化していき、その一部は、現在のような兜へと変化していきました。


端午の節供の兜

上の写真の兜(幼児であれば実際に被る事ができるかも、という程度の大きさ)は、私が生まれた年(今から三十数年前)に祖父母が私に買ってくれたものです。お供えの並べ方や配置は、神社の大前や神棚にお供えする場合とは一部異なっていますが、とりあえず、箱に同梱されていた写真の通りに並べてみました。
兜や鎧は、本来はあくまでも実用的な道具であり、拝礼対象となる物ではないのですが、古来の武者人形には悪霊を祓う呪物としての意味や神送りをする際の形代としての意味もあったため、現在の兜にも、このようにお供えを並べる風習が残っているのかもしれません。


甲冑一式

上の写真は、今年満100歳になった祖母から、今週1歳になる姉の長男(私にとっては甥っ子)に贈られた、端午の節供の甲冑一式です。75年程前(戦前です)に買った物らしく、私の父が幼少の頃から床の間で飾られてきたものです。本来は三段飾りなのですが、今は三段にして飾るスペースが無いので、このように一段で飾っています。
甲冑、馬、刀剣類、幟、鯉のぼりなどが、現在のものと雰囲気がやや異なっているのが興味深いです。


甲冑(伝 楠木正成)

上の写真は、端午の節供とは特に関係ありませんが、私が十数年程前にネットオークションで入手した、南北朝時代(神社界ではあえてこの言い方を避けて吉野時代と言う人もいますが)の英雄のひとりである楠木正成のものと伝わる鎧の模型(全高20cm程)です。

ちなみに、現在の端午の節供で飾られる兜は、最初から装飾品として作られたものですが、昔は、実戦で使用できる実物が飾られる事もあり、また、現在でも一部の神社に於いては(あまり一般的ではないと思いますが)、兜・甲冑・刀剣等の武具類が、御神霊の宿る御神体としてお祀りされています。


(田頭)

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