保坂和志『猫の散歩道』とボルヘスアドルフォ・ビオイ=カサーレスボルヘス怪奇譚集』と高橋源一郎『さよなら、ニッポン ニッポンの小説2』買った。

まず、装丁が素晴らしい。表紙に使用されている『リバーズ・エッジ』の「いったい死体はどこ行っちゃったんだろう?」というセリフが、『リバーズ・エッジ』自体の物語からも離れて強く響いている。死体が見つからない、というのは、殺したはずのものが実は死んでない、ということでもある。完全に死んでいない、ものは、どうなってしまうのだろうか。完全に死んでいない存在(死んでいるのかどうかわからない存在)と我々はどうむきあえばいいのだろうか。
…ということが、『さよなら、ニッポン』で語られているかといえば、…完全一致しているわけではないけど、ちょいちょいしている、といえばしている。
また、全然関係ない話になるのだけれど、高橋さんの小説論を読みおえると、なんというか、だまされた、という気分になる。
保坂さんや金井さんの小説論が、凡百のそれらより、はるかに「実用的」であるのに対して、タカハシさんのものは、そうではなくて、タカハシさんの「小説」と化してしまっているからだ、と思う。
タカハシさんは、繰り返し、現実、について語っている。
そして、現実そのものである小説、について。
これを、高田馬場ルノアールで読んでたのだけど、そこにいた客の中に、マックを見ながら二人で作業しているようなカップルがいて、そのうちの女のほうが、トイレに席を立ったのを何気なく見てから、本に目を落として、ふとまた顔を上げると、席で待っていた男が女になっていてびっくりした。実際は、見ていない間に、女が戻ってきて、男がトイレに行っただけなのだけど。
めちゃイケスペシャル、いいんじゃないでしょうか。こういう作りはまじで、めちゃイケにしかできない/めちゃイケでしか見れない。個人的には、布3枚で落ちているくだりで、結局、岡村さんがやべっちにロレックスを買ってあげるところ。ガチなのか、そこも含めてなのかは、判別できないのも含めて、おもしろかった。