最近見た映画。


ピーター・ジャクソンホビット 決戦のゆくえ』

まず、ピーター・ジャクソンと、ニュージーランドと、WETAに敬意を表し感謝したい。
頭に屋根が着いてた巨大トロルがかわいかった。壁にぶつかったあとふらふらしてて。あと、スランドゥイル王が鹿の角で複数のオークを串刺ししたあと一気に首を切り落としたところを見て全面支持したい気持ちになった。
トーリン復活!となるけど、目覚めるきっかけはどんぐりでそれが再び死の間際にビルボの手に渡るというのが欲しかった気もする。思えば指輪、オーケン石、どんぐり、エルフの剣、と核となり得るものが多くてうまく連関させられてなかった感ある。
あとやっぱりレゴラス無双。ドワーフと付かず離れずな彼が(とはいえ今作で半ば無意識の剣の譲渡が行われるけど)「友の隣なら?」と発するまでになるというの思い出し無性に感動してしまった。


デヴィッド・ドブキン『ジャッジ 裁かれる判事

母親の遺体と対面するハンクの背中越しに日光が窓からにじんでるカット、裁判所の暗さと陽光、地下室の8ミリ映写機が放つ光…とか思ってたらカメラがヤヌス・カミンスキーでした。
にしてもここで最高な映画が出てきてしまったなー。アメリカの、ハリウッドの、映画の豊かなイメージの乱れ撃ち。「こう」来たら「こう」来る、そのクオリティの高さ。
田舎町、不仲な父子、地元に残った兄と逃げた弟、ハイスクール時代の元カノ、の父親不明の一人娘、ダイナー、バー、墓所、保安官の事務所、湖畔の家、物置になった部屋、地下室、庭、など。それに対する大都会シカゴはビルの外観とトイレだけ(あと豪邸)。
ハリウッド豊かさとしてのスターシステムが決めるキャスティングは、ロバート・ダウニーJr.という素晴らしい選択をしてる。かつての悪ガキ、前科、口八丁手八丁な男。その目で見るなと繰り返し言われるつぶらな瞳。
やはりロバート・ダウニーJr.の素晴らしさに感じ入ったので、ジョン・ファヴローのシェフも全面的に期待してる(主演じゃないけど)。
また戦う相手がビリー・ボブ・ソーントンってのが…ハリウッドのバッドボーイの対決というおもむき。


オリヴィエ・メガトン『96時間/レクイエム』

アクションのカットめちゃくちゃ細かすぎる。例えばブライアンがフェンスをよじ登って越えるだけの動きだけでどんだけ消費するんだっていう。それに対して、追いかける警官はワンカットなの笑った。なぜ…。
自分にとってのシリーズの魅力は、「手仕事」の素早さや正確さ、工夫、一瞬の機転、重さのある格闘、容赦ない拷問、ってとこだけどあるのは拷問くらい(でもとってつけたような)。それでも敵の死体の下に隠れたのは中々よい。


ティム・バートンビッグ・アイズ

画面設計の力強さ。
移り住んだ豪邸で、外から家の中のマーガレットが見える窓の隣にプールで遊ぶ娘がガラスに写り込んでいてそれがまるでスプリットスクリーンのようになってた。
前夫から逃げた先の町の空の家々とミントグリーンやブルーの車、豪邸内部の揺らめくプールの水面が反射する光やカーテン越しの陽光、が劇的に演出する部屋(中央のソファーに陣取るウォルター、差し込む光がスポットライトのように絵や縮こまる母娘を照らす)スーパーマーケットの商品の色彩(蛍光灯の下の)。色彩の鮮やかさ。
最後の裁判で、1人芝居を繰り広げるウォルターに対するマーガレットの微笑みが決して一概に蔑んだものとは言い切れないのが印象的だった。
エイミー・アダムスの後半の冷笑と皮肉の感じは今までにない。というかそれを受けてのウォルター、とのやりとりが暴力的にもならない。
裁判のシーンでのクリストフ・ヴァルツはまさにこの人にしかできないとも言える生き生きとした演技。バーに現れるイタリア人?にいつイタリア語で話しかけるのだろうと思ったり。
マーガレットの「どうして嘘をついて話を大きくするの?」という問いがあるように今作は明らかに『ビッグ・フィッシュ』と二部作のようでもある。
ジェイソン・シュワルツマンが出てるからかどうか、今作はウェス・アンダーソンの映画のようだ。