真冬

 2月、立春も過ぎた頃に、完全な真冬がおとずれ、京都も北方面は銀世界。

 雪の杉林も、それはそれで美しいと思う。
 新雪に後輪が滑りながらも、持越峠を上って、雲ヶ畑方面を見下ろす。

 どう見ても雪が降っている。今からそちらに下るのだが…、見下ろすだけでこごえてくる。
 峠を下って、いつもの岩屋橋に行ってみる。

 なかなか清清しいくらいに冬である。ここは冬でも時々登山客がおられる。
 この雪の中をびびりながら、凍えながら帰る。BB下あたりに氷が張り付いて凍りつく。以前はシフトワイヤが凍り付いて、変速しなくなったが、マッドガード付きだとそういうことはない。ただ、時々止まってマッドガードへの噛み込みを取り除いたりする。プーリーが凍り付いて、チェーンが廻る度に、つまり1秒に1回以上、異音が鳴る。車体にとっては極限状況であるのかもしれない。
 帰り着くと、ぼろ布を数枚使って掃除することが必要になる。帰れただけでありがたい話である。

 真冬でも、京都の南方面は走れることが多い。それどころか、経路を選べばロードで飛ばせることも多い。ところがこの日は違った。なんせ、東京で積雪するほどの寒波。
 川沿いはロードがたくさんいた。だんだん青空も見えて、楽勝かと高をくくり、大正池へ。半分くらいから様子がおかしくなり、轍以外は完全に雪となる。だんだん轍も怪しくなり、38×23のギアで滑りながら何とか上ると、頂上は完全に雪世界。

 徒歩で周囲を偵察したが、雪山登山の範疇である。車体を押して15%の坂を下る気もしないし、そもそも逆側がどこまで凍結しているか不明であるので、来た道をそのまま押して下る。どんな手段で行くにしても、山道は上りより下りが怖いのである。

 それにしてもひどい写真である。この携帯を購入して大分経つ上に、手振れもひどい。写真というものへのやる気のなさが現れている。これで、この場所でうつした数枚のうちもっともマシなものであるというのだからひどいものである。
 この辺りから轍をおそるおそる乗車して下ったが、ロードが数台上ってきたので挨拶した。生きて帰れるといいけどな。ロードでこの時期に花背峠に行き、数kmを歩いて峠越えしたことを思い出した。
 帰りは川沿いを引き返したが、案の定ひどい北風=向かい風で異様に体力を消耗し、帰宅後に家で倒れこんだのも久々であった。