ささやかな贅沢(2015初夏台湾 其ノ四)


写真のコースターは「青花蓮花皿」を模したものと説明がある。かばんかけには七宝の絵柄が焼き付けられている。どちらも故宮博物院売店にあった。
むかしよく植草甚一さんの本を読んでいると散歩のとちゅうで本やレコードとともに雑貨を買う場面があった。自分の経済力では本とレコード止まりで雑貨には手を出さなかったが、それだけ欲望の度合も低かったわけだ。ところが退職してときどき海外旅行に出るようになると雑貨を買うのがたのしくなった。喫茶店プラハのカレル橋をあしらったトートバッグからお気に入りのミステリーを取り出して読む。晩酌にヴェネツィアで買ったグラスを台湾製のコースターに置き、東西融合させてウィスキーを注ぐ・・・・・・。
外国の街をブラブラ歩きしながらのショッピングでは迷っても買っておかなければ未練が残る。東京へ帰ると旅の思い出の雑貨がすこし華やいだ気分にしてくれる。老骨のちょっとした贅沢である。