MIKE RUBY 『PLAY TIME』 2008/3/7

これはちょっと凄いんじゃないでしょうか。カナダ出身で1987年生まれ(!)のテナー・サックス奏者、Mike Rubyのデビュー作です。トロント大学にてジャズ学位を2年で取得。その後マンハッタン音楽学校に奨学生として入学し、堂々の学長賞受賞で卒業。在学中マイケル・ブレッカー、ジェリー・バーガンジ、デイブ・ホランド、デイブ・リーブマン等にも指導を受け、数々のジャズ・コンテストで優勝。と、経歴だけ見ても「超」のつくエリートですし、優男風のルックスといいジャケットの雰囲気といい、お行儀のいいお洒落サウンドもしくは技術や音楽理論に偏重した小難しい作品なんかを想像してしまいましたが、とんでもない! 繊細さ優雅さを備えながらもあくまでぶっといテナーの音、そしてなにより猛烈な勢いで吹きまくるときのド迫力、「馬鹿みたいに吼えまくる」雄叫びを聴く気持ちよさ! いや、もちろん上手いし気が利いてるし手が込んでるんですけど、いちいちそんなことに神経を向かわせないほど自然に心を高揚させ、音を楽しむ喜びを存分に味わわせてくれる作品です。聴きやすさと聴き応えを同時に満たし、共演者も皆文句なし。新しいスター誕生の予感がビシビシ伝わってきます。