仕事と機械化

現代では仕事は機械化との関係で以下の三つに分類できる。 機械化するのが技術的に難しい仕事 機械化可能だが規制などにより、機械化がなされていない仕事 機械化するにはコストパフォーマンス的に割が合わない仕事 この3つについて順番に見ていく。 機械化…

「ロング・グッドバイ」

英米現代文学はなるべく英語で読むようにしているのだけど、本作は長いし、なによりも訳が村上春樹なので翻訳版で読んだ。読んでて引用したくなった部分はたくさんあったが、鉛筆で傍線を引きながらミステリを読むわけにもいかないので、35節の初めの部分の…

「7月4日に生まれて」

もし現世紀初頭の中東の諸戦争の目的が、アメリカの国威宣揚にあったとすれば、この目的は先に行われた多くの戦争や侵入などがなくても、立派に達成できたのである。もし目的が中東諸国の国威宣揚にあるとすれば、この目的は革命や独裁などなくても、やはり…

新学期の始まりの国際比較

東大、秋入学への移行検討 国際化を加速 (日経) http://www.nikkei.com/news/headline/article/g=96958A9C93819695E1E2E2E7E58DE1E2E2E4E0E2E3E39F9FEAE2E2E2 上の記事等ではまるで9月始まりが世界標準であるかのように書かれているが、新学期の始まりは国際…

4-6月の映画 10/26

連れ立って飲みに行く友達もいないし、家にテレビもないので、休日の夜は専ら借りてきたDVDを観て過ごしてる。 特に四月からは毎週コンスタントに二本映画を見ていて、既に25本を超えたので、その中でこれはという10本について書きたい。以下基本的にネタバ…

世間での多数派と命題空間での多数派

僕が想定しているのは以下の二つの問いである。一つ目は、 互いに無矛盾なファクトを寄せ集めただけの科学がなぜかくも強力なのか ということ。これらは、無矛盾なだけであって、互いに強めあうことはない。もう一つは、 科学的に間違った前提に基づく市民の…

五月の読書日記

四月の読書日記の次の記事が果たして五月の読書日記で良いのかとは思うものの、最近ネタが枯渇気味なので、読書日記でつなぐ。 さようなら、ギャングたち 個人的にスゴく大切な本。好きだとか面白いとかいうのではなくて、純粋に年に一度は読み返したいと思…

4月(後半)の読書日記

今の僕の実力だとまともな書評を書けるのはおそらく大衆迎合的な新書までで、文学作品や専門書を読んで何か書くというのはチャレンジしてはいるのだけどなかなか難しい。 ただ読んで何もアウトプットしないのも良くないので、読書メーターの「まとめ」を利用…

ジャンプワイヤの実装

そもそもジャンプワイヤとは、基盤上をまたがって配線されている導線のことで、基盤上に回路を組むときにできるかぎり導線は隣接した端子同士を結ぶようにするべきなのだけれども、どうしても何カ所かでは基盤上の離れた二地点を結ばなければならず、そのと…

美容室にiPadを。

この間美容師さんと話したのだけど、冷静に考え直してみても悪くない案のように思えるので書く。 appleの利益 1,ライトユーザの取り込み iPad2は依然PCと接続しないと使えないという糞仕様らしいのだけれど、iPadはそもそもは「機能的にはスマートフォンで十…

エネルギー貯蔵方法の比較

発電電力をバッテリーで貯めようとすると今の技術ではまだまだらしいが、余剰電力でビルくらいの巨大なゼンマイを巻くとか、巨大なおもりを釣り上げるとかして物理エネルギーとして保存したらいかがでしょうかね。 https://twitter.com/#!/ITALU/status/6133…

「空気」と「世間」

最近この本のことをよく思い出します。こんな「世間の空気」だからこそ、いま、読むべき本なのかもしれません。 / 「空気」と「世間」 - 琥珀色の戯言 http://htn.to/cYY8Yd http://twitter.com/fujipon2/status/57720829382901760 に触発されて読んでみた。…

この1ヶ月の間に考えたこと

2001年のアメリカには、twitterやiphone、evernoteなんかはなくて、そもそもインターネットの普及率も今ほど高くなかった。 ゆえに、今回の震災は人類がそうしたリアルタイムの記録技術を身につけて始めて起こったものであり、いつどこで誰が何を考えどのよ…

原発事故と3つの比喩

なんだかよく分からないものが生じたときに、既存の何かとの類似点・相違点を考えることは一つの正攻法である。 1,デリバティブと原子力 /類似点 関わった人々の死亡リスクをキョリに応じて上昇させる。 間接的な影響をほぼ全ての人々に及ぼし、強い社会的関…

一人暮らしのライフハック考

「ひとり暮らし男子の生活を向上させる5つのライフハック」(抜粋) その1: 全自動乾燥機付き洗濯機を購入せよ その2: シリコンスチーマーを有効活用しよう その3: いつでもゴミ出せるゴミ捨て場付きのマンションがおすすめ その4: テレビは液晶モニター、PS3…

夏期節電対策の裏技

化学工学会の提案(http://pari.u-tokyo.ac.jp/earthquake/plan_SCEJ.html)などを見るに一つ重大な点が忘れられている気がするので書く。 夏期節電対策の最も有効な対策は地球工学を用いて気温を下げることである。 人工的に気温の上昇を防ぐことは元々地球温…

節電のティッピング・ポイント

学校もコンビニも飲食店も薄暗く暖房も効いておらず、電車は相次ぎ運休し、工場は操業を停止し、地域ごとの計画停電まで行っているのに依然電力供給が足りず、先日も夕方に大規模停電の発生する恐れから、会社員は日の高いうちから一斉に帰宅し、運行本数を…

原発のワーストケースについての試論

金融派生商品やエクストリームスポーツに馴染みのない日本人にとっては、起きる確率は十分小さいけれど定量化できない致命的なリスクは非常に不気味で厄介なものである。 そこで今回の原発事故について真っ当な科学者なら書かないレベルのワーストケースにつ…

東京に漂う幽霊

ここ数日東京の様子がおかしい。街中でも、TLの東京クラスタでも、人々が理性を失っているように見える。 皆が幽霊を怖がっている。 原発事故 詳しくは、 ・MIT研究者Dr. Josef Oehmenによる福島第一原発事故解説 http://blog.livedoor.jp/lunarmodule7/arch…

なぜXはかくもカンニングを嫌悪するのか?

これについて僕は二度読み違えている。 一度目は、 カンニング問題について。 http://d.hatena.ne.jp/noarke/20100903/1283512943 で、大学の定期試験でカンニングした学生を擁護したら、軽い炎上状態に陥った。 二度目は前回の記事 すき家と京大 http://d.h…

すき家と京大

すき家で強盗が頻繁に起きていることについて、 すき家が防犯対策しない理由 ゆめみがちサロン http://blog.livedoor.jp/yumemigachi_salon/archives/51680634.html で説明されているように、今後強盗が増加してある臨界値を超えない限り、すき家自身には対…

都市の集約現象

東京 オフィス街 : 大手町、日本橋 歓楽街 : 神田、新橋 商店街 : 秋葉原、神保町、お茶の水 住宅街 : なし 新宿 オフィス街 : 西新宿 歓楽街 : 歌舞伎町 商店街 : 新宿南口、新宿三丁目 住宅街 : 中野とか 六本木 オフィス街 : 六本木ヒルズ 歓楽街 : 外苑…

芸術はいかにして達成されないか

140個の数字からなる10の140乗個の数列を考える。 ある人にこれをランダムに提示したとき、最初は、 111111... や、 12121212... に規則性を見いだす。少なくとも小学校入試の数列の問題はこのレベルである。 さて、人間はそうした単純な規則性に飽きてきて…

ハワード・モスコウィッツのプラトニズム逆転

Malcolm Gladwell on spaghetti sauce / TED http://www.ted.com/talks/lang/eng/malcolm_gladwell_on_spaghetti_sauce.html 70年代のスパゲッティ業界は、パスタソースのイデアに捕われていた。決して実現されない理想のパスタソースに漸近するために、日々…

信仰なきテロは可能か?

90年代において、テロはアルカーイダやオウム、独立運動連盟(ナショナリズムも一つの信仰である)などの大規模な宗教的組織によって計画されるものだった。しかし、ゼロ年代以降のテロは様相が異なり、例えばアメリカの高校/大学における銃乱射事件や日本の通…

「同じものの永遠なる回帰」

回帰思想が何であるかを語ることは難しいので、何ではないかを語ることにする。ニーチェの回帰思想への誤解に対して、ハイデガーは以下のように弁護している。 現代科学に矛盾する。 ニーチェ自身が自然科学に対する不誠実な言及をしていることは確かだが、…

天才の時代について

偉大な思想家はどこへ消えたのか? ・・・彼は、19世紀半ばに作成できたと思われる同様なリストに比べたら、2010年の知識人のリストはかなり貧弱に見えると述べたのだ。(中略)実際、19世紀半ばのリストを作り始めてみると、自分はなんとつまらない時代を生き…

「資本主義を資本家から守る」

例えば、今のロシアや日本、スペインの政治経済的現状を眺めれば、一見自己矛盾のように見える本書のタイトルの意味するところは明確であろう。 詳しくは本文中では以下のように説明されている。 私たちは、資本主義、より正確には、今日、自由企業体制と呼…

現代の人口論

現代の人口論としては、ハンス・ロスリングのTEDでのスピーチが参考になる。 Hans Rosling: On global population growth http://www.ted.com/talks/lang/eng/hans_rosling_on_global_population_growth.htmlこれを、表にまとめると以下の通り。 靴 自転車 …

ロブスターだらけの世界の人口論

アダム・スミス 分業 -> 生産性の向上 -> 利潤の発生 -> 労働者の賃金の上昇 -> 生活水準の向上 -> 幼児死亡率の減少 -> 人口増 -> 労働供給の増加 -> 賃金の低下 -> 投資の増加 -> 生産性の向上 -> ... という形で、労働市場も自己調整機能を持つ。このとき…