地震体験記

はじめに

職場も自宅も震度6弱を観測した仙台市泉区で、揺れは強かったものの津波被害とは無縁のところに住んでいます。誰かの役に立つかもしれませんので体験を書いておきます。

地震発生時

職場で被災。ピーーーーという避難訓練で聞き覚えのある警報音。机の下に潜るぐらいの余裕はあった。揺れが大きくなる。収まりかけたような気がしたところでまた揺れが強くなる、そういう波を何度か繰り返し、何度目かの波で停電。雪の舞う中屋外に批難。屋外で点呼確認。確認待ちの間に自宅と連絡を試みるもつながらない。寒さのため駐車場の車内で待機。建物内に入れる事を確認して荷物を持って帰宅せよとの指示。自分の管理下では書棚の本や書類が一部落ちた程度で地震対策が奏功した模様。さしあたり落ちた分を棚に押し込んで帰宅。停電で信号が全くついていない中帰宅。自宅に戻って家族の無事を確認。子供は学校で避難し、妻が迎えに行ってくれていた。とりあえず5人そろって安心したものの、同じ区内にある私と妻の実家の無事は確認できず。

電話

PHS

これまでの地震で活躍したPHSは今回の地震ではほぼ無力だった。ユーザーが少ないことが幸いして比較的つながりやすかったのだが、全くつながらず、ライトメールもほとんど送信できず。停電が長引いて基地局の電源が切れたからか翌日からは圏外に。現在でも発信が時々不安定。

iPhone

活躍した。手に入れていて本当によかった(普通のSoftbankの携帯でも同様だったと思われる部分も多く、Docomoであればもっとよかった可能性もあるが。)
地震当日ぐらいはある程度ネットがつながってtwitterfacebookに自分が生存してる旨を発信できた。メールも当初は遅延はあるものの時々使えて、自分の実家の無事を妹から確認できた。停電が長引くと不安定になり、早朝にのみ多少つながる程度。周囲の電力回復に伴い(?)徐々に安定化して現在はほぼ通話も通信も問題ない。
通信状況が安定していない間にMMSがたまっていたようで、iPhoneアプリで新着MMSの確認をしたら多数届き始める、ということはあった。

ひかり電話

停電で全く機能せず。仕方ない。

地震速報サービス

ゆれくる

iPhoneアプリ。机に潜ってすぐにpush通信を確認できたので、最初の地震についてはかなり役に立った。しかし、弱めの地震でも通知が来るように設定していたため、その後余震のたびに毎回通知が来るので困った。設定を変えたくともネットワークが不安定な上、サーバーが混んでいるようで設定を変更できず。やむなく通知設定をオフにしてしまった。

Weathernews touch

iPhoneアプリ。ゆれくるよりは多少遅れてpushが来たと思う。ゆれくると同様に余震のたびの通知に難儀したが、余震フィルターをonにしたらだいぶましになった。

杜の都防災メール

震度3以上の地震があったときにメールが来るのだが、ものすごい数のメールになってしまってどうしようもなかった。新着MMSがとんでもない数に。

ラジオ、テレビ

停電でテレビなどは使えず、またネットが不安定のため、情報源はラジオのみに。た電池で動かせるラジオは、ヘッドホンがFMアンテナを兼ねるポータブルのもののみ。FMは自分では聞けるけど、ヘッドホンを外して内蔵スピーカーから音を出そうと思うと感度が全く足りず聞こえない。そのため、ほぼずっとAMを聞いていた。

東北放送(AM)

地元情報中心にずっとやっていて、初日はほぼここを聞いていた。しかし当日夜中から急に雑音ばかりになり聞き取れなくなった。停電が長期化して出力を制限したんだろうか。今日ぐらいからまた聞き取れるようになった。時々車で動いた時に聞いていたが、地元の生活情報をきちんとフォローしてくれていてありがたかった。

NHK第一(AM)

他の重要ニュースに時間がかなり割かれて不愉快に感じた事が多かった。首都圏の停電よりも福島の原発よりも給水所やスーパーの開店情報を流してほしかった。仙台放送局からの放送をもっと多くできないものだろうか。

FMいずみ(コミュニティFM

夜中に一人でヘッドホンで聴こうと思ったら聞こえない。放送できなくなってしまったのか、と思っていたのだが、電力が戻ってから昼間のみ放送していたことを知った。もろに地元情報のはずだったので、ちゃんと聞いてられなくて残念。

ラジオまとめ

放送局からある程度距離があるところに住んでいる場合は、災害時にはある程度の感度があるラジオを持っておく必要がありそう

テレビ

電力が復旧してから見ることができた。映像の衝撃。ニュース報道ではテレビは強いな。これから電力が復旧してようやくテレビを見られる人もいると思う。電力が復旧して初めてテレビを見ることができる人のために、時々でいいから最初から振り返ることができる報道をしてほしいと思う。停電していない地域の人からするともういいよ、と思うかもしれないが。

ライフライン

電気

地震直後に停電。14日午前に復旧。
停電生活
オール電化なので暖房がない。万が一のために石油ストーブ、灯油タンクと手動ポンプは保管していたのだが、灯油が入手できないことにはどうしようもなかった。地震当日は室内の余熱でどうにかなったが、二日目はかなり寒くなった。三日目に連絡が取れていなかった妻の実家に行って屋外タンクにあった灯油を分けてもらうことができて暖房を確保。密閉度が高く強制換気も停電で動いていないので換気に注意しながら使った。お湯を沸かせるようになったのもありがたかった。暖かいお茶のおいしいこと。
地震当日の夜は、外が雪景色で、雪の中避難したこともあり、こんな日に雪だなんて最悪だ、と思ったのだが、二日目の夜を迎えてみて、地震当日は雪明かりで外が明るかったんだなあ、ということを認識した。
日が暮れたらねて、日が昇ったら起きる、という生活を3日間したが、早寝早起きという点だけではよかったのかもしれない。
電池、充電
懐中電灯の電池が十分に持ってくれてよかった。予備はなかったので、正直ラッキーだったとしか言いようがない。ひな人形のぼんぼりも夜中のトイレ付近の照明として活躍した。ラジオとともに単4乾電池を使うのだが、幸いストックがそこそこあったのと、ドラッグストアでかろうじて買えたのでよかった。
iPhoneの充電手段は、車のシガーソケットと単3eneloopを使ったものと確保してあり、未使用のeneloopも多数あったのでどうにかなった。ガソリンが貴重だったので、eneloopを使う充電が主になった。iPhoneがバッテリー切れになっていたらと思うとぞっとする。いろいろ持っていてよかった。

水道

地震直後は水が出たので風呂桶に水を溜めた。溜めて見たら錆混じりの水で、夜中には出なくなって、そのまま現在まで断水継続中。
電気温水器にたまっている水を非常用に使えるので、トイレの水は風呂桶にたまったものから、食事に使う水は電気温水器からという形で現在までなんとかやりくりできている。ただ、風呂桶にたまった水はそろそろ底をつく。電気温水器にはまだ結構たまっているはずだが残量がよくわからないので怖い。
ちなみに電気温水器から非常用に取水できることは給水所に並んでいる時の他の人の立ち話から思い出した。あらためて取説をみると断水時には元栓を閉めなければならないようだ。停電が幸いして錆混じりの水をタンクの中に入れずに済んだようだ。非常時に何らかの処置をしなければならない機器は取説をよく読んでおく必要がある。
後悔しているのが、水用のポリタンクを用意していなかったこと。あと数日断水が継続して風呂に溜めた水が底をついたら、まとまった量の水を確保できなくなる。ペットボトルではトイレは流せない。早く断水が解消して欲しい。

ガス

オール電化なのでうちには関係ないが、復旧にはかなり時間がかかるようだ。職場はCO2削減のために熱源を重油からガスに変えたのだが、裏目に出てるんじゃなかろうか。

灯油

電気のところでも述べたが、非常用にストーブを確保しておいても灯油がなければ温かくならない。非常用の灯油を確保しておく必要があるのだが、シーズンをまたいだ灯油は使うな、というのが基本だから、毎年非常用の灯油を更新する必要がある事になる。これは大変だな。

ガソリン

最寄りのガソリンスタンドが「震災時対応SS」と表記があり、きっと停電時にも給油可能だったと思われるのだが、1月末で閉店してしまっていた。何という間の悪さ。
地震の前日くらいにそろそろガソリンを入れなきゃなあと思っていたところで、かなり残量が少なかったので心細かった。昨日3時間半待って3000円分なんとか給油できたが、今日はもっと列が長かったようだ。次に給油できるのがいつになるかわからない。
会社の先輩が、非常時のことを考えてガソリン残量が半分を切らないようにこまめに給油すると言っているのを聞いてなるほどそういう考え方もあるのかと思っていたが、実践してはいなかった。先輩は正しかった。

食料

たまたま子供のおやつを買いだめしたところだったのがよかった。当日夜は朝炊いたご飯と朝作った味噌汁を食べ、翌日は近くの小さい店で買えたお菓子と飲み物で過ごした。また近所のドラッグストアは停電の中開けてくれたのでここでも菓子や飲み物を買えた。近所に二つあるスーパーや少し離れたところにあるスーパーなどで時々買い物ができて何とかしのげたが、どこももう在庫がない感じ。物流が回復してくれないと…
自分の家もきっと被害を受けているんだろうに、店を開けてくれて停電の中電卓叩いて売ってくださった方々に感謝。

被害

天井に突っ張るタイプの転倒防止を施した家具は倒れなかった。同じような家具で転倒防止していなかったものは倒れていたので、効果があったようだ。職場でも近所でも壁にねじ止めしたものが抜けていたりしたようなので、ねじ止めするのなら強度に注意が必要と思われる。
ということで食器棚や本棚は倒れなかったのだが、中身はほとんど飛び出した。食器に多大な被害。
近所では崖沿いの道路の路肩が崩れかけたりしている。かなり揺れは強かったようだ。

震度6弱

震度って、加速度の大きさで決定されると思うのだが、揺れの続く時間は考慮されないと思われる。強い揺れの継続時間も地震の被害に影響すると思うのだが…

終わりに

とりあえず自分の記録のために書き連ねただけなので、まとめらしいまとめもないのですが、誰かの役に立つこともあるかもしれないので。
自宅の外構の損壊は危険なので補修しなければならず臨時の出費が必要ですし、会社も被害を受けてることもあり収入面でも不安があります。まだライフラインは回復せず、食料やガソリンの入手ができず、生活は元のようには戻っていません。海沿いのさらに酷い被害を受けた地域への支援が優先されるでしょうから、被害が少なかった地域は自力で復旧するしかないんでしょう。規模が大きいので時間がかかるでしょうが、早く元通りの生活に戻りたいです。
最後に、まだご家族が見つかっていない方々が早く会えますように。そしてお亡くなりになった方々のご冥福をお祈りします。