のだだがBL読んだ。 このページをアンテナに追加 RSSフィード

2013-08-27 放浪息子、いつまでも。 このエントリーを含むブックマーク このエントリーのブックマークコメント

放浪息子 15 (BEAM COMIX)

放浪息子 15 (BEAM COMIX)


ぼくたちの、きせき。

書店によってみるのはただまっすぐ帰るのが億劫だったからなだけ。毎日ほんの少しずつたまって重くなった疲れに足をひきずり、書店によってはみるけどお金がないから特に何も買わない。ここは雑誌が読めるから。そこで出会ったのが「放浪息子の連載開始」と表紙に描かれたコミックビームという聞いたことのないコミック雑誌。ためしに開くと、ああ、と読みすすめた。


「少しレトロなチェック柄が好き」、そんな感じの主人公のフレーズにそうそうそう!と思わず頷き、嬉し恥ずかしお姉ちゃんのコートを盗み着た少年に胸を高鳴らせ、「出会った」と思えた作品だった。毎月雑誌の発売日に覗きにいくのが習慣になった。ある時は立ち読み防止のためか紐で縛られ読めなくなっていた。それに不満を覚えて久しい頃にはその書店によることはなくなり、一年に一冊25日あたりを目安に単行本を買い求めるようになった現在。

この子たちの物語が高校時代を終えようというときまで私はリアルタイムにかれらの時間を追ってきた。


どうも4巻あたりまでは誰かに貸したのか見当たらなくなったのでずっと読み返せてない。当時はコミックスに透明のカバーをつけてなどいなかったので、いつか帯びつきで保存版が買えたらなと思うのだけどさてはて。


たくさんの思い入れがあるのだろうか、上手くはいえない。けれど少しのことだけ何か書けたらと思ってノートを久しぶりにこうして開く。

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2011-12-31 2011年マイベストBLコミックスcl。 このエントリーを含むブックマーク このエントリーのブックマークコメント

・・・あ、もう年末なんですか?へぇ、、、全然そんな気分じゃないんですけど、引くわー。

という訳で何だか納得できない気分のまま今年もベストBLコミックスをセレクトさせていただきます。そして今年も更新がママならず申し訳ありませんでした。

そうですねぇ、なんか一年分読んだ気にもなってないので総括して云々できないのですが、今年も小粒な年だったような。振り返ってみると「ああ、コレも今年の作品だったのか」とようやくベスト作品を思いつくくらいなんですが、毎回その中から自分がはっきり根拠を持ってベストだと言い張れるものを選出するのに苦労するのです。選んだあとから「やっぱりアレも変な意地張らないでベストで発表してけばよかったじゃん!」て後悔するのが結局なオチでして。

なので今年はもういっそ「なんとなーく印象には残ってる」と思えるなら景気よくドレでも気ままに載せて行く方針で発表してゆきます!

あくまでなんとなーく覚えてるやつの列挙ですんで気合の入れ具合が若干ほかの年と違うかもしれませんがヨロシクお願いしますm(_ _)m


では、今年も例年通り発売月日順の列挙です。



☆〜ネ†タ♭バ#レ♪〜★


Punch 4 (ビーボーイコミックス)

Punch 4 (ビーボーイコミックス)

うぅ、ごめん、コレ自分の中で未消化だったから読み直してから挙げるかどうか決めるつもりだったんだけど、読み直してません。記憶喪失で15の浩太と現在の浩太が交差しちゃって、私自身困惑気味だったからベストにするか迷ったんだけど、でも最終的にいつもの二人が絆を改めて再確認したっていうのが嬉しかったし、交差する中で見つけたものには意味があったんだろうなぁと思うので、とりあえず今は挙げるだけにしておきます。

私は私の中の15の浩太を引きずったままだけど、やっぱり牧と一緒の浩太が好きだからさ。


だいがくせいにっき (IDコミックス gateauコミックス)

だいがくせいにっき (IDコミックス gateauコミックス)

コーレーは好みのカプ。野暮ったい純情攻めと小悪党な美くしき女王様系♪

前のコミックス『流れ星ミュージアム』のスピンオフ。同人すり直しということで背景とかgdgdなところあるけど、同情の余地なし的な受けの抱える孤独な悲しみが、情熱以外は何も持ってない攻めに溶かされるラストのカタルシスといい、私の最高シチュ盛りだくさんなお話でした。受け様の格好もフェミ男子って感じで素晴らしいわ!


ネガティブ君とポジティブ君 (IDコミックス gateauコミックス)

ネガティブ君とポジティブ君 (IDコミックス gateauコミックス)

あらすじに「ごはんを食べたり、手をつないだり、デートをしたり。あわただしい日常の中にあるふたりののんびりした恋のお話を、ちょっぴりおすそわけします」とあるように、学校の廊下にラピュタやら水溜りやらを発生させちゃう自由で夢いっぱいな二人のおかしくも切なくも軽やかな愛の日々を覗き見させてもらえるハッピーな作品でした。出会った頃の話のモノローグがよかったのと、からあげについて一言残念だったなとそえてもらえてよかったなぁ。


狼さん、そろそろ準備はいいですか (Canna Comics)

狼さん、そろそろ準備はいいですか (Canna Comics)

タイトルがいいわ。他のも秀逸だけど、なんか。それほど内容濃い作家さんではないのだけど今回表紙のヤンチャ受けさんがほんわかエロく攻められてたのがステキでした。シュークリーム食いつつ読みました。あまーい。


はたらけ、ケンタウロス! (ゼロコミックス)

はたらけ、ケンタウロス! (ゼロコミックス)

コレBLレーベルじゃないけど、たしかBL誌の作品も混ざってたよね?ちがった?違ってたらあとで取り下げるけどね、今年はケンタウロスを紹介しないわけには行かないでしょう!えすとえむさんのケンタウロスがアツい!表題作の先輩と健太郎氏のお話が好みだった。二人の距離感ていいよね、なんか。あらすじで「かれらケンタウロスの偏見は改善されて社会進出も〜」みたいにあるのに、実際はそう容易く社会は変わってくれないという差別問題をユーモラス且つ鋭く描写してくれた作品だと思う。


妄想エレキテル2 (ドラコミックス)

妄想エレキテル2 (ドラコミックス)

この人のお話は私の倫理観?みたいなものからして結構アウトラインていうか、どうもエグみが立つのだけど、なのに悔しいけどこの作品のハイテンポなギャグセンスはすごく引き込まれる。ケチらず特装版買えばよかったと思うくらいには。


憂鬱な朝(3) (キャラコミックス)

憂鬱な朝(3) (キャラコミックス)

うん、面白いよね、そりゃ。ていう安定感ゆえにもはや語ることはない。攻めの成長の兆しがまぶしく次回にもさらに期待。


この作品て以前出されてた別作品とリンクしてるよね。それらのシリーズ通して、この作品には舞台となる町に故郷として空気感がきちんと積み重なっていて、受け(でいて貰えてよかったね、攻めちゃん)が育った環境から離れることや、攻めと離れることの葛藤がリアルに伝わって、骨格の強さが物語にいい余韻を残してくれてたと思う。しかし好き嫌いが分かれると散々言われた受けのお話もこれで終了ですよ。エッチに奔放なあたりねこ田米蔵氏キャラとも通じるところあったけど、ありそうでなかった受けだったよね。期待してたクィアネスとは相容れなかったけど(恋の情熱だけを肯定し変態な側面はあくまでお笑い)、嫌いではなかったわ。


寡黙な珈琲 臆病な胡桃 (ショコラコミックス)

寡黙な珈琲 臆病な胡桃 (ショコラコミックス)

この二人のお話が好きなのよ・・・。

他人が描く漫画を多く読んでて何がいいって、自分では考えも着かないキャラを読むことで自分の中の眠ってたときめきツボを発掘してもらえることよね。私、こゆ外見でこゆ紳士な攻めたまが好きだったのねー、て。

ゆっくりもったり恋をしてゆく手順と言うか、うぶい大人の恋ってなんで胸躍るんでしょうね。お話にちょっぴり添えるアイテムがあると楽しくなるよね、私は苦手だけど胡桃使ったパンと珈琲食べながら読みました。心に優しいまったり系が好きな私としては好みでありつつ、何か少しズレてる気もしたけど(俺だけのものにしてって辺りかなぁ?)、う〜ん言葉には出来ていない。ともあれ、あなたを好きになれてよかったと思い合えるパートナーシップは最高のご馳走です。美味しゅうございました。

ちなみにこの二人の最初のエピソードはコミックス『瑕だらけの男たち』に収録。

やさしいエピローグ (バーズコミックス ルチルコレクション)

やさしいエピローグ (バーズコミックス ルチルコレクション)

コレも私好みのまったりBLだけど「ハードボイルド」らしいw

この作家さん初期作品が微妙だったので苦手意識持ってたけど、面白いじゃん!ちょっとヤクザあがりの攻めと進路迷い中の受けがほっこり励まし支えあって築きあがる擬似家族っぽい風景が楽しかった。キャラクタの相関関係が若干『恋するバラ色店長』と似通ってたけど、攻め受け以外にあゆ世話役がいるのもいいかもねー。


誘惑レシピ(5)初回限定版 (ドラコミックス)

誘惑レシピ(5)初回限定版 (ドラコミックス)

感動の大団円とあいなった誘惑レシピも最終巻!まあ作家さん同人誌で続ける気満々ですけど、とりあえずご苦労さまでした。主役キャラたちの関係が軽くて他カプ描写の割合が多かった気もするけど、私的にモヤモヤしてた岩塚×タクローが甘々カプになりそうで大変よかったです。そうそう、開き直ってイチャこいてりゃいいのよ男同士(女同士)は。

ああでもまだまだ食いたりねー!植田くんももっと読みたいー!て感じに皆に愛着を持ちながら読み終えましたよ♪

そして他の読者さんも同様だったみたいだけど、最後ユリ子さんのお話に泣いた。すべて彼女に持ってかれたね。最高の花嫁姿だよ、お母ちゃん。亡くなった旦那ともどもコレからも家族で幸せになっていって欲しいです。


えんどうくんの観察日記 (ミリオンコミックス  Hertz Series 110)

えんどうくんの観察日記 (ミリオンコミックス Hertz Series 110)

攻めの髪形がよかった。ところどころシチュにあわせて変化する攻めの御髪がまぶしい一冊。通常は004で、乱れ髪になるとセクシー男性モデル。くるんぱな前髪で表情見えないけど耳赤いよねって受けも好みだったので、薄口ながら好きな作品です。コマ割やモノローグが叙情的。意外にあまり描けない空気感かもしれない。逃げて逃げて、でも何から逃げる必要があろうか。で捕まる攻めの往生際の悪さと二人の接近の妙なエロスが際立つ作品でした。


この世 異聞 其ノ五 (ビーボーイコミックス)

この世 異聞 其ノ五 (ビーボーイコミックス)

このシリーズも5作目を向かえ円熟な香りを増した様相。イヤ〜な感じの悪キャラも増えて、不穏な空気がSFものとして緊張感を高めた今作品はもうドキドキハラハラしまくりで、しかもツタさんの画力がぐんぐん上がっててクラヨリ様の美貌が大変麗しいよね!すげー次巻が待ち遠しい!


おでんの人 (CITRON COMICS)

おでんの人 (CITRON COMICS)

リボーンのやおい同人を読んでる人にはこの方の魅力をよく知ってる人は多いと思うのだけど、今回ちょっといつものように、短いエピソードだろうがなんだろうが完成されたカタルシスと多くを語る必要もなく胸温まるステキ物語力が弱かった気もするけど、こんなふうに読んでると美味しいおでんを食べたくなる漫画は貴重だと思うのでベスト!

・・・なんだろう、変に人情話にしたかったあまりに演出過剰だった部分が否めないと思う。イカニモ同人気質だったり心象風景での独特な世界感・構成とか相変わらず面白いのだけど、お話全体に突き抜けるものが足りなかったような・・・と不満をこぼしてしまうのも、すっごいこの作家さんが好きだからなんだわな。

ともあれキャラクターが魅力的で、この美オヤジははにわサンならではのオヤジだと思うし、この作家さんのオリジナリティーも今後見せていって欲しいなぁ。


から回りのディンプル(仮) (POE BACKS) (POE BACKS Babyコミックス)

から回りのディンプル(仮) (POE BACKS) (POE BACKS Babyコミックス)

表題作は主役カプにあてられる友永くん像がえくすたしーだった。世界崩壊アンソロ収録作品も入ってるし、不思議な感情描写と脱力系ギャグセンスが良い塩梅で楽しめるので、コレはいい短編集。中東の泣女の格好をしたスレンダーな受け?とか好み要素もあったのでベスト。


大本気。2 (ジュネットコミックス ピアスシリーズ)

大本気。2 (ジュネットコミックス ピアスシリーズ)

受け(になったねぇ)の迅がシリーズ最初の印象最悪だったので、いくら攻め(もとい作家さん)による再教育があってもやっぱり好きになれないんだけど、迅の悪友・遊馬が何やらドツボにはまったのでベスト。お前にじゃねーぞ、遊馬くんに軍パイ上げたんだからな!

孤独なままで終わりそうな終わり無さそうな香りのする受けたんが好きです。


なんかあとがきによるとあんまりエロい作風ではなかったらしいケド、漫画力と言いこのはっちゃけ具合はかなりの年輪を感じるが?(笑)

配信漫画として人気だったらしいけど、『秋山くん』同様ステキなエロ本だよね、コレ。二人のカッコいい幼馴染の攻めに攻め立てられる時の受けが素晴らしくかわゆくってムハ〜v セックスそのものに様々なシチュあってこそだんだん盛り上がるエロチシズムが感じられて、貴重な作家さんだなぁと。


恋化け (アイズコミックス BLink)

恋化け (アイズコミックス BLink)

うん、この人は下手にシリアスよりこれくらいアホっぽいお話がしっくり来て面白いわ。化け狸少年って美味しいネタだよね・・・ジュル。

ていうか何故か受けの胸筋・腹筋のほうがよく映えるBLだったな。狸少年の場合は野球好きだからかもしれないけど、七六さんの受けは結構お肉が締まってて見惚れるw

狸一族の跡取りっていうネックはさして大事な要素じゃなかったらしく割りとぞんざいに片付けられててよい感じ。


三度目の正直 (Canna Comics)

三度目の正直 (Canna Comics)

なんか、じゃいあんときりんぐ的な絵に見えるけど気にしなーいwコレもなんとなく良かった系。受けたんがさりげない風に投げやりな風に「いいよ、今教えようか」と告白する辺り渋さとともに愛らしさを感じるよね。不思議ちゃんと結婚したり捨てられたり恋に迷って最後に迷いすぎて男に恋をするという展開だけど、三度目の正直には実は一番堅実(本命)なところに落下してるというオチか・・・。全般通してセックスん時に合わされる手がエロくて印象的だった。

ただひとつ言わせてもらうと、方向音痴の受けがいつも道案内してくれる攻めのことずーっと「ナビ」と呼んでたのが、ちょっと・・・w

ほら、↑の作品のあとがきでもさ、最初受けの花介をまんまポン太だのなんだの付けようとしてたけど、担当さんから「Hのときもソレだと色気がない」みたく言ってて止めたじゃない?やっぱ、まあいいんだけど、ちょっと本名呼ぶところ欲しかったような・・・どうなんだろ、アレはアレでよかったのかしら?

ともあれ時代物やらバリエーションに富んだ1stコミックスでした。

・・・。ああ、実は『悪人を泣かせる方法』とか『花は咲くか』とかベストに上がるかもしれない作品を読めてないのよ!こんなこと一度もなかったのに大失態だわ。なので何から何まで半端なベストclだけど、今日はもう時間がないからとりあえずコレで上げさせていただきます!来年はどうぞヨロシク!

2011-09-07 『コクリコ坂から』を観て来ました。 このエントリーを含むブックマーク このエントリーのブックマークコメント

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ところでローソンのコロッケうまいっすね。二人を真似て帰りに食ってきました♪(関東期間限定のコクリコ仕様の包み紙ではありませんが)

…恥ずかしいけど合計3回見に行きましたw

一回目はみんなが嫌いな吾郎タンが監督だと聞きめったに映画へ行かない私にも好印象だったのと、好きな歌い手さんが再び主題歌等を担当されてしかもニコ生で曲を実際聞いたらかなり素敵だったので、8月ごろにはジワジワと気になりだし「これは観に行かんとどうにもならん!」と思い、行きました。

↑是非聴いて欲しい!

ちなみに第一印象は漫画の『少年ノート』っぽいカワユス!キャラクタの雰囲気が私なんだか久しく好感触だったわ。

二回目はなんか知らんけど良かったのでもう一度ちゃんと味わいつくすつもりでした、が、割安料金の場所を選んでたら雨のなか歩き通す羽目になった上に、クリーナーを忘れて曇っためがねで観たせいか消化不良。

だったので三回目は今日行って来ました。…関係ないけど慣れない10cmヒールはいてったらエスカレベーターの速度が速すぎて乗り込めず上映の待ち時間をウロウロ出来ませんでした。(箱のほうのエスカレベーターは密閉されるのがキライなので敬遠)(罠)(でも帰りは前のひとに合わせて踏み出したら乗れました)(罠回避)

で、3度観たらそれまでアレコレつけてた注文もといケチを言う気がせず、演出がしっくりきた感じで、まあ本当に私が集中しきれたかどうか分からないけどようやっと満足です。

コマ数が多くテンポが早い構成だった割にゆったりと味わえて、しみじみ楽しめる一品でした。


ジ・アート・オブ コクリコ坂から(ジ・アート)

ジ・アート・オブ コクリコ坂から(ジ・アート)

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2011-04-24 「真夜中クロニクル」を読んだ。 このエントリーを含むブックマーク このエントリーのブックマークコメント

デスクPCが故障して脱ネット中でしたがその分読書に時間が回り久しぶりに胸熱な力作小説を読んだので、超重たいノートを引っ張り出して更新します。

重たいのでいつフリーズするか心配ながら書くので余計に衝動のみの文章になりますがいつものことだとしてご愛嬌。

だけど拍手くださった方に感謝の意だけはお粗末ながら言わせてもらいますね^^

ありがとう。


真夜中クロニクル (リリ文庫)

真夜中クロニクル (リリ文庫)

  • あらすじ。

太陽の下に出られない病気を持つニーナは、気難しくて偏屈だ。そんなニーナが、夜の公園で7つも年下の陽光と出会う。どんなに険悪にしても無邪気に寄ってくる陽光を煩わしく感じるが、ニーナは次第に心を許していく。そんな二人がすべてから逃れるため、星降る夜に飛び出した―――。温かな恋心でニーナを包み込む陽光と、寄せられる思いに戸惑って踏み出すことができないニーナ。時を経て変化に呑まれながらも、成長していく二人がたどり着いた先とは?

BLレビュー。

なんというか、著者自身があとがきで「百%精一杯を文字にした今の自分にないものはない書きたいもの」と明かしたように、等身大な作品だと感じました。それに凪良さんも言ってたけど小山田さんのイラストも良かった。表紙カバーが世界観をうまく凝縮してると同時に、イメージにハマるキャラ造形と、成長した攻めの外見の違いもうまく描き分けつつ、「あー、この子ホンマこんな姿に成長してそう」と納得させられる細やかさでした。

どうやら書きたいものをすべて詰め込むため多少無理なさったらしく値段を上げないため行数増やしたそうだけど、その分読み応え十分な文庫本。手にとってよかったわ。

何がイイって、そうだなぁ。やっぱり文章全体から伝わるほのぼのなだけじゃない深く苦しくも温かな物語性で、詩的なリトリックがすんなり入ってくる重厚であどけない恋心がかな。

構成が大まかに分けると3部に分かれるんだけど、1章の子供ながらロマンチックな台詞を純朴に語る攻めの「少し鼻にかかっててアーモンドキャラメルみたいに甘くてでもどこか悲しそうな歌声」という表現が違和感なく、ジュブナイル小説的雰囲気とあいまって自然にトキめくしね。ところで銀河鉄道の夜の猫アニメ、俺ソレ昔見てた!

一番幼いころのエピソードがとても印象的でしたし、可愛らしかった。

大人気なく年下にゲンコツをお見舞いする18歳のニーナと、めげずに熱烈アタックする11歳の陽光がドタバタじゃれまわってるのがツボ〜。1章だけで完成された話だったから「BLだからって大人になって性愛関係描ける年齢まで書かなくてもイイのに」とちゃんと読む前は思ったけど、二人が社会と向き合う中で成長しあう過程を書いてこそ二人の物語だと得心しました。

あとラスト読んでるとき聴いてた、鬼のニューアルバム剣と楓に収録された『EVER AFTER』の歌詞と見事リンクして嬉しかったー!鬼風に言うとこういう事はよくあるから驚かないケド。これからも続いてゆく二人の精一杯な物語を感じられるさわやかなエンドマークでした♪

昼間ではない夜の優しい明かりが<闇>の色を甘いキャンパスに変えていく感動が思い起こされたよ。

あーしかし基本俺はなぜか肌ネタに弱い。目を背けられがちな肌をこそ美しいと断言するその力強さを見たら、どうしても目頭が熱くなる・・・。言っとくが私は深刻な疾患はないよ。昔通りすがりの男に突然「早くアトピー治るといーな」と言い去られたけど。ていうかニキビだし。アトピーに苦しむ人の話を聞かせてもらった後だからアレはムカついたな。いや、ここらへん俺にはすごく大切な話なんだけど今回置いといて。

― ネ タ バ レ 危 険 。―

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2011-02-18 2月の蝶のオススメ帳。 このエントリーを含むブックマーク このエントリーのブックマークコメント

こんにちはからおはようまで、こんばんははまたあした。のだだです。

いやぁ、perfumeって最高ですね。夢の舞台で踊り歌う彼女たちがひたすらに眩しいです。次は自分もライブ行きてぇな。

ところで『Puppy love』のサビ歌詞ってさ、「一方的な表現のツンデレーション、君が好きばかり、ミフネー」て聞こえない?

さて。前回の更新は少々やさぐれていたので読者様への愛想もへったくれもない記事で申し訳なかったのだけど(この場を借りてごめんなさい)、それはまた別の機会に挽回させて頂くとして、今回はお世話になったとある方宛ての記事になります。紫のバラの人宛てとでも言いましょうか、私がその方に読んでもらいたいなぁというBLコミックスのオススメリストです。

とは言ったものの、集めてみるとなんだかやけにコミュニケーションスキルにまつわるお話ばかりで…。もし私がコレをいっぺんにオススメされたら多分読まない(爆)

だからドレかひとつでもセンサーに引っかかる物があればお読み頂きたいな、という気持ちで書きますね。


ではでは、トップバッターはこちらにしますかね。

遊覧船 (ディアプラス・コミックス)

遊覧船 (ディアプラス・コミックス)

あらすじ。

遊覧船乗り場の売店でバイトをする日和は、物書きの間宮のことが気になっていた。間宮は何故か大変気前がよく、日和に事あるごとに高額な駄賃をくれる。それはふたりが初めて寝た日もそうだった。日和は激怒するが、実は間宮はお金でしか愛を得る術を知らない人で……。表題シリーズ四篇を収録。日和と間宮のプレシャス・デイズ!

何度か話題にも出した作品で恐縮だけど、藤たまき作品で未だ一番好きな作品なの。ポエミーなモノローグとネーム(台詞回し)が自然と癖になる。

商船高校を休学中の日和(ひより)は旅館を営む実家の息子(ちなみに旅館は一番上の姉が継ぐみたい)で、学校のない今は遊覧船近くでバイトしています。

そこに現れるはやや正体不明なイケメン間宮さん。つり銭ばんばんくれます。て言うかバイトが受け取ってイイのかと思ったけどまあともかく、この方がとってもユニークで愉快なんですね。

お金が彼にとって信用の土台であり、人との繋がりに必要な「糧」なんですね。(誤解のないように、間宮さんが言うのは「金が愛」って意味ではなく、愛を営む上で何が糧になるか、なのよね。)

私は貧乏のくせにそういう人ってとても分かりやすくて好感を持てるのだけど、たしかに多額のお金や高価なプレゼントを貢がれると「自分に見合うんだろうか」と不安になる。ここらへん彼自身のあやふやな現在の進路ともリンクしていって、BLでありつつ青少年の成長物語にもなってる。人と人との出会い(恋愛含む)と進路と、そういう人生を描いたBL。

ともかく。

日和も間宮のポリシーをどこか間違った愛し方だと言いたげではある。けれどこの作品は愛し方について二人が理解し合う姿勢があります。日和にとって「異星人」の間宮さん“だから”間宮さんにとっては日和も異星人。

面白いのは日和の思う愛し方が、間宮さんの金ありきな愛し方へのアンチテーゼとしてしか言葉に出来ない点。愛に必要な糧が金でないなら何か?と問われて「身体」と応えたら「君ってスキモノで困るなぁ(>v<)」と返されちゃう。そしてじょじょに日和の言い方が変わるけど、実はコレ、愛の本質(普遍的な糧)がどこにもナイことの表れでないかな?

その二人の間のひずみを眺めることが、愛や人生という航路について考える材料になることは間違いない。



69 1 (バーズコミックス ルチルコレクション)

69 1 (バーズコミックス ルチルコレクション)

69 2 (バーズコミックス ルチルコレクション)

69 2 (バーズコミックス ルチルコレクション)

一巻のあらすじ。

かつて彼らが揃うと必ず学級崩壊すると言われた温(あつし)と真音(まなと)。彼らに密かに憧れていた高坂は、嫌がられても負けずに仲良くなろうとする吉岡のおかげで温、真音と「友達」になる。温と超ブラコンな真音は幼馴染みでなにか秘密があるらしく・・・・・・!?

うーん、なるべく一冊完結のをセレクトしたかったんだけどお笑い要素も混ぜたかったのでw

犬語や猫語が話せた少年は、幼稚園でつまらなさそうにしてる少年に興味を抱く。少年たちは最初かみ合わなかったが今は無二の同胞。

そして遠くからこの二人に憧れていた別の少年がいた。彼が進学した高校、そこにいたのは正しく佐藤温と佐藤真音、その二人だった。どこか性の香りが漂うサイケデリックな佐藤温&真音が繰り広げるドタバタ学園ライフ。そこに毒々しさが混ざると言う珍味。

二人に憧れていた少年、高坂。彼に中学の頃から付きまとってくる同級生・吉岡。高坂は二人とコンタクトを取りたいけど中々踏み出せない。対照的に、無理やり二人の間に食い込む笑顔のターミネーター・吉岡。

彼ら4人組のマイペースコメディって感じかな。結構ルチルらしい作品と思う。(ルチルって割とあるよね、フラグ立てっぱなしできっちりカプへ回収するでもなく、ダラダラ続かせるようなさ)

高坂が小学ん時通っていた塾で話題にされる事と言えば、ゲームやテレビではなく、通称「佐藤A」「佐藤B」が「また教師を辞めさせた」とか「橋を燃やした」とか、そんなことばかり。

高坂は中学あたりで引きこもっていた時期に、ネットの掲示板に塾で聞いた「佐藤A・B」の話題を載せたのね。そのスレッド名が「69」だった。

スレッド名をもじって高坂は二人を「無垢(69)」と表現したが、二人はあっさり「そんなのは俺たちの事じゃないよ」と押し付けられた表象を拒絶する。

吉岡はといえば、「泣きたいのに泣けない迷子」「女の子みたい、性別を感じさせない」と表現したけど、どうだろ。二人は作中でやはり<幼さ>の象徴として語られている。(そして幼さと「女の子」が同列に置かれる)

でも言い方を変えれば、彼らから醸し出される自由な(不自由な)空気は<男の子>だからこそじゃないのかなぁ?

私はこの作品読んで、シマダマサコさんは猥雑な厨房男子の笑える掛け合いを描くのが巧いなぁと思った。



丸角屋の嫁とり (ディアプラス・コミックス)

丸角屋の嫁とり (ディアプラス・コミックス)

あらすじ。

武家の庶子である鈴は、本妻の目を恐れ男の身で女として育てられた。美しく成長した鈴はある日、町でならず者に絡まれたところを町人の新三郎に助けられる。以来、男というものへの憧れを育て始める鈴。だが父から借財のカタに嫁入りを命じられ……? 表題シリーズほか、年下攻リーマンシリーズ「新しい武器」を収録。

絵がね、結構雑く簡略化したものだったりするけど、ソレがまたワンホカ愛らしい。けれどこの方の作品も毒や刺が残る。モノローグが神の視点(?)というか、ナレーションみたいに随所に置かれてて、その淡々さが物語の鋭利さとよくマッチしてる。過去シーンとか、何かクル…。

山中さんってばドラマチックな心憎い演出で読ませるエンターテナー。

きせずしてこのコミックス、男性性がクローズアップされた作品だと思うわ。家の奥で乳母たちだけで暮らしてきた鈴がはじめて見蕩れた大人の男・新三郎。

「あれが あれが 男か」

そこから彼の中で強く男性アイデンティティが芽生える。と同時にソレがホモセクシュアルな情動と重ねられるのは、ある種古典的。更に、攻めからは「男でも女でもお前さんが欲しい」と情熱的に迫られる。

にもかかわらず描き下ろしを読むと、受けが「攻めに認められたい」と思う立場が<男>であるのに対し、女は…。

主に女性読者層のBLで描かれてる点含めどう評価するかよね。

ただ読んで欲しいのは、『新しい武器』の後日談というか、脇役・吉野視点のお話。「あのプロローグからそのエピローグに行きますか!」というね!これだから好きだわ、第三者視点。

しかし私このコミックス読んで、「BLって<初恋>を描いているジャンルなんだなぁ」という感慨を抱いたわ…。…なんかそれが、…うん。



輝夜 (幻冬舎コミックス漫画文庫 の 1-2)

輝夜 (幻冬舎コミックス漫画文庫 の 1-2)

あらすじ。

人嫌いだった祖母の訃報が届き、遺産をめぐるゲームに巻き込まれた槙村匡。彼女が唯一傍に置いたらしい美貌の青年・輝夜が、その鍵を握るという。気乗りしない匡だったが、憎まれ口ばかりたたく輝夜がふと見せる寂しげな瞳に、幼い日の記憶を揺り起こされ・・・?人造生命体〈輝夜〉たちのやさしい絆の連作集・・・単行本未収録、描き下ろしもあわせ完全文庫化。

Yahoo!ブックストア|電子書籍サイトで試し読みできる臭い。

私基本的に作品は出された当時のコミックスを読んで、あとがき含めて楽しんで欲しいのだけど、せっかく文庫化されたので沢山の方に読んで欲しい一作。(そういえば単行本では絵で失敗したと仰っていたけど、今回も似たようなこと繰り返してますがw)

長編だからじっくり読めるよ。

近未来アンドロイドもの?のオムニバスストーリー。作中に「今時ヘテロオンリーってのもないだろ」って台詞が出てくるそんな時代。

本当に色んな輝夜とそのオーナーがいるんだけど、まずかれら「a-ライフ」通称「輝夜」について簡単に説明するけど、まあ一言で云うと愛玩用アンドロイドかな。かれらはオーナーを必要とする半有機生命体で、希望にそって成長速度が早くも遅くもなるし、オーナーの意思に従順に作られている。

更にオーナーが傍にいないと弱って死んでしまう!

それぞれ早く大人にさせる事情や幼いままゆっくり成長させたい事情など様々あり、面白い。

そしてもうひとつ、彼らは交接(セックス?)すると瞳が翠色に変わること。

しかしそんな輝夜たちにもイレギュラーがある。

それは人間であっても心にイレギュラーがあるように…、とでも言うべきか、結構揺らいでいる。

…設定だけ書くと何やらアレだけど、実は物語自体は輝夜の“主体性”こそを重く描いた様相。アンドロイドであるため、相手を愛する理由とか、何か確約した信頼の土台が無条件にあるようだけど、「ご主人様がいないと死んでしまう」といったDVの可能性等々を細やかに捌いている。数々のエピソードを丁寧に併読すると見えてくる「人間関係とは…?」があると思う。

たとえば機械的な仕組みがあるからこそ培える関係もあるけど、どんな人がソレを望みどんな人が拒むのか…関係性の中身をためつすがめつ読んでみるのもアリかもしれないね。

皆さんはコレを読んでどう思われただろうなぁ。たとえば「信頼」について。「自由」について。「恋」について。「生きること」について。

輝夜「だから」愛し合える?

もちろん心の水は人それぞれだと思う。けれど特定の恋愛感情が否定されたり若しくは推奨される中、「人それぞれ」の一言で恋愛の持つ社会的な偏り(なぜか性別が殊更重要視されるとか)をウヤムヤにして、「理由なんか分からない、ただ愛しただけなんだ!」と叫ぶのは私どうかと思うの。だけど、数々の<理由>もひっくるめて、真実なんて最初から追究すべきではないと主張するかのように、しかし現状すべてを己の人生のため捉え直すダイナミズムは、ちょっとイイかもしれない…。上手く言えないけど。

繊細で逞しく、はかなくも力強く。読んでるうちになんとはなしに心の中が翠の色に染まる、そんな世界観だった。



影あるところに (ディアプラス・コミックス)

影あるところに (ディアプラス・コミックス)

あらすじ。

外科医・中道の医局にやってきた調子のいい後輩・堤は、脳梗塞で倒れた院長の息子。その院長と付き合っていた中道は、居心地が悪い。そんな折、院長は他界する。父親を奪った相手として憎みながらも、中道を心配する堤は、彼に以前の笑顔を取り戻してほしくて……。描き下ろしも収録した、西田印、大人のビター、スイート・ラブ!!

病院内ですれ違った院長の息子と院長の愛人。一瞬見えたかすかな敵意は影に潜み同僚としての普通の生活が始まったかのようだけれど。そして愛人は夜の影にひそみ、病の床に着いた男にしなだれかかる。

愛人におさまる彼は影の立場なのか。沢山の別れを味わいつつ、いつも一人だけで立ち直る無力に健気な彼だから、その影は痛ましいのだ。そんな影に寄り添う光は何だろう?

私が最初に読んだ西田東漫画。昔はよくコレ読んで泣いてたな。単純に死ぬ話に弱いってことなのか、中道が「よほどの美形かマッチョ」ではなくパッとしないオッサンで親近感が湧いたからなのか。ただとてつもなく孤独の臭いがプンプンしたんだ。今はもうあまり泣くことがなくなったのは、私がその手の寂寥感を失ったからかもしれない。孤独を抱きしめて眠る大人、影にひそむ恋、光となって心を見透かし照らす父とその息子。影でひそんで一人グジグジしていたいのに、窓を開けたら差し込む光がまぶしくて、何故だか救われてしまう。そんな感じ。



スロースターター (ダイトコミックス)

スロースターター (ダイトコミックス)

あらすじ。

そばにいる幸せと、失う痛みと。君はすべてを教えてくれたからだ―――。

“小さくて細くて、でも目だけは大きくてすげーキレイ”な先輩・栗原良之(くりはら よしゆき)と友達になりたくて、楠木次郎(くすのき じろう)は陸上部に入部した。誰も寄せ付けないかのように、ひとりで走る栗原に次郎はなかなか追いつけない。だけど、やがてふたりの距離はゆっくりと近づいていき・・・。

表題作ほか、ハートエイクな短編3作を収録した傑作集。

きみがいるから気づける後悔もある。絶望のはざ間に自分自身と希望を見出し、それでもまた迷走する、そんなお話。

田中鈴木さん(この人の名前も↑と似て駄洒落だなぁ)の初期作品集。こちらも死をテーマにしてるお話が多い。

『めまい』(実は表紙の二人がコレ。表題作は別の人たちです、紛らわしい)とかもだけど、子供の頃見て忘れられなかった物語みたいに脳裏に刻まれる内容だった。『私立棘抜学園』もすげー荒削りなんだけど、あとがきに「もうこんなの描けないよね」とあるように、当時のパッションが生々しく伝わる作風。モブキャラの「だからどうという事はないんだけど」って古臭い物言いが何故かツボw

あと、『明日の約束』。もう「なんじゃこの終わり方は〜!(≧д≦)」て突っ込みたくなると思うんだけど、もう圧倒されちゃうんだよね。『SLOW STARTER』も泣き叫ぶ声が単純に素朴に胸が熱くなるし、名作揃いだと思うので一読あれ。



かみなりソーダ (ディアプラス・コミックス)

かみなりソーダ (ディアプラス・コミックス)

あらすじ。

「星の君」なんて呼ばれて優等生のようだけれど、それはちょっと仮面だったりして。全寮制の男子高。星弥は最近、同級生の龍泉が気になって仕方がない。急速に親しくなりある夜、ついに告白してキス。 でもそこはお墓の前で、龍泉は極度の怖がり。抱きついてきても意味はない。それどころか、その後の反応は……!? ラブ・イン・ドミトリー!!

家が嫌で逃げるように全寮制の進学校に入ってみたら、ステージ台には仏壇が…!

何となくソリの合わない二人だった。「やる気ないぜ」グループの急先鋒な龍泉、要領よく先生とも渡り合い周りからウケのいい星弥。対照的な彼らだけど、話してみたら案外ウマが合うみたい?なのに中々上手くいかないのは?

依田さんのコミックスどれをオススメしようかと思ったけど、やっぱりこの方なら学園モノ読んでもらいたいなぁとセレクト。細やかな人間管理能力を求められる寮長とか生徒会長キャラだから分かる依田テイスト。

理知的な策士家攻めとドコか抜けてる受けの掛け合い描写は相変わらず巧み。私、依田漫画ってゲイ(やクィア)を「ゲイキャラ」として出すんじゃなく、まず細かな物語舞台設定から入って行って、そこに自然とキャラを溶け込ませる、と同時にジャッジメンタルではない形で「マイノリティ」を淡々と冷静に描く手法が好き。

よく「人間の生々しさを描いた問題作!」とか触れ込みのお話あるじゃなあい?薬漬けとか、暴力沙汰とか描きつつ。でも私「人間味」ていうのは、たとえばこの攻めや受けやモブキャラたちのことを指すんじゃないのか?て思う。それくらい何か地味に(笑)、皮肉っぽかったり、人間味あふれてる。

「でもそうだね なんで君は宗教関係になるとそうリキむかなとは思うよ 誰も君を洗脳したりしないんだからいちいち犯されるみたいに騒がなくてもとは思うよ」

不覚にも笑うw

…しかし空気読めない俺としては細かな常識観念やそのズレで物語が展開してゆく感じが少し居たたまれないけど、KYだからこそ読んでて和むのよねぇ。分かるかしら、この気持ち。

あ、なんか御幣あるな。描いてる作家さんも頭よさそうだなって思うんだけどガチガチに常識的って意味じゃなくて。日常の細かな所作とかシキタリとかを立体的なエピソードで解説してくれるような面白さがあるんよね。そんな話の中で、人として冷血な自分どうよ、とか芯をエグる内容もあって、だからこれも結構叙情的な作風でもあるのよ。

「その時の泣きたいような気持ちをどう表現したらいいかわからない」

とモノローグも結構しんみり。

で、描き下ろしの『桃色妄想少年』は脇キャラ視点。だけどコレが気ン持ち悪いのよ〜〜〜!男同士で付き合ってる星弥と龍泉。同部屋仲間で「どっちが女役?」みたいな話をしていて、そこから龍泉を女と思い込んで止まないテル氏。

面白いのは、同性愛に擬似異性愛性を体現してるのが「同性愛者って異性になりたい人なんでしょ」と乱暴に括られてる側ではなく、龍泉を女だと勝手に見立ててるどノンケ自身という点。しかもその偏向が破綻してることをも如実に体現してしまっている。

風呂で裸を見てるにもかかわらず、「ああ、龍泉は女だから髪伸ばしたり男の星弥と付き合ったりするんだね」とかグロテスクな事を言えちゃうのはさすがに笑うしかないけど、ただ、実際笑うしかないほど世の中の恋愛定義はヘテロ色でイッパイなのかもね。

まあ、生身のシスジェンダー女子を見て妄想からさめてしまい、あらためて男子校の「汚さ」を確認する…というシークエンスは、ジェンダー構築面で保守的だけど。


…はぁ、ちょっと長くなりすぎた。ひとつ省いてこれで最後にしようかな。


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最後は私がすごく影響を受けたといった作家さんのコミックス。

以前腐男子系の同人誌に寄稿させて頂いたとき、BLについて「むしろ批判したいところの方が多いのに好き」と書いたけど、なんというか、私にとって「BL」と言えばこのひとなのだ。

からっぽだった頃、からっぽにしなきゃいけなかった時期を何かで塗装し直さなきゃならなくて。たまたまあったのが彼女のBLだった。

何かシンパシーという電流が走ったの。

絵柄も、エロスも、思考も。

持っている全部の作品読み返した時分かったわ、私がBLにおいて何故彼女を選んだのか。様々な渇きを代わりに描いてくれていた。困らされることもあるわ、でも寄り添うことが出来た。それをすべてここで書くことは出来ないけれど、これが私の第二の出発点だったんだね。

今他の人がレビューしてたのを見たんだけど、恋を描くというより恋を描くことでその人間の裏側まで暴いてしまうんだ。

花のある生活 (新装版) (ビーボーイコミックス)

花のある生活 (新装版) (ビーボーイコミックス)

内容的に一番オススメしづらいコミックスだけど、一番楽しいので紹介w

ちなみに。さっき「新装版や文庫ではなく当時発売のものを読むべし」と書いたけど、この人のあとがきも面白いのよねー。自分と編集担当者を動物と飼育係にたとえてみたり、読者に向かって「ひとりに2,3冊購入をノルマに課したい…」みたいなことを、編集担当者にドツかれてる絵で書いてみせたりw

あらすじ。

ガリガリでお人好し。おまけにウスノロで…でも、とっても優しい天然・五百川の魅力に抗えず、ズルくてモテモテで格好良い…変態の倉橋先輩が、周りの迷惑お構いなしに変態ちっくに攻めまくり……!? 純情可憐な五百川の貞操の危機を巡って、万年発情男・倉橋の恋の行方は…!? 噂のラブコメ、新装版で登場!!

表題作はまあ先輩にセクハラされまくってソレに気づかぬオボコい受けの話って感じ。なのに純情さを残す卑怯さ。

受けの偏屈なまでに激しいオボコさ、それに口八丁でつけ込む攻め。読者は当然「アホかw騙されるなw」と笑い飛ばせるのだけど、何故か読んでいく内に男同士の常識・貞操観念がバカらしく思えてくる。「いやいや意識しすぎ」「でもお揃いのマグカップはやっぱり変じゃ?」「ああ先輩は僕を気遣ってくれただけなのに変態だなんて罵ってゴメンナサイ!」。受けと共にコッチまでじょじょに狂わされるw

…というか私自身、BL読み始めた頃特に、ノンケであるとか、アルハズノナイモノがアルハズノナイバショに生まれさせる力技を欲していたから、そういう意味で力強く感じたのかもしれないな。恥ずかしい話だけど。

あと、この人は作品を読めばどういう思考回路してるか何となく分かった気になれちゃうんだけど、時々繰り返される攻めの脳内会議(w)がぶっ飛んでる。なので読者を選ぶ作品かもしれない…。

とまれ、ヤッてることゲスイのに実は…というギャップが楽しいお話。

『褪せる』『密室』は本当に暗い。

本格的にレイプ監禁ものだから気をつけて欲しい。だがそのダークな破壊力は何かひきつけられる物がある。受けのズルさ、攻めの執着。

「どうしてあんたなんかが一番なのかよく解んない」

『めまい』も大概ダーク。

スポーツトレーナーの攻めはこれまで男子高校生と遊んでは捨ててたんだけど、今は高校球児の恋人が出来た。本気で惚れた彼といると心が洗われる、愛しい恋人。お話は妖しいムードから濃厚なセックスになだれ込むが、受けの言葉で関係は急直下する。ある種自虐的ですらある受けの加害欲求。

読んだ後やりきれなさが残るが、それゆえに生々しく痛みがのぞく。

まさに悪夢。だけど、悪夢が醒めない時は悪夢を読みたいもの。

さすがに口に合わなさそうならコチラをオススメ。


恋姫 (新装版) (ビーボーイコミックス)

恋姫 (新装版) (ビーボーイコミックス)

あらすじ。

人気歌舞伎役者・優紀は遊び仲間の秋川に密かな想いを寄せていた。戯れを装って身体の関係を持つようになった二人だが、優紀は彼の心にも期待し始め…!? 続編の「小春日和」や、人気読み切りも収録された特別編集・新装版!!

江戸時代モノ。こっちは『運命の人』もあるし。何ていうか恋することの不可能性について描かれてる。今気づいたけどこの人もモノローグ量が多いなぁ。

「誰にも影響のない人間でありたい」

無気力感がひどく堪らない。

表題作は結局男の自意識だけで話が周ってる。そんな主人公が女形というのがまた皮肉で、そしてみんなしっぺ返し食らう構成。

描き下ろしでは攻めが「一度いい仲になって別れてもこうして話してくれて、うんうん男同士はいいね、空しくないね」と言うのだけど、勿論んなこたーない。「あの子がいい子だっただけ」と受けにやんわり窘められると、失望した様子の攻め。

この描き下ろしで結ばれない二人も一応は救済されちゃうんだけど、その相思相愛をホモソーシャルな関係に結び付けない予防線が張ってあるのが面白い。

いや、けっして作者の意図したことではなく、これは攻めが抱く恋の不条理感を強調した演出。とまれ、“あえてオブラートに”結ばれる余地を描くことで、パートナーシップの幅が広がる印象を受けた。他にもショタ作品でそんな話描いてたけど、BLで明示的なカップルを描かずに許されるのが、この人の稀重なところだと思う。

私にはそのほうが居心地良いみたい。


ああ、私が求めてる物語はそういうものなんだなぁ。

ずっとBLを「自分の物語」として消費してきたけど、私は誰かといても<ひとり>の話を求める傾向があって、ソレを求める限りBLは自分の物語足り得ない部分が残るのだと思う。愛し合う結果が欲しいんじゃない、その過程でもいいから、恋という磁場だからこそ果たされる目的を描いて欲しい。有体に例えてしまえば、求められることで保たれる自己イメージや、自尊心とか。

それは恋愛や人間に対してとても不誠実な欲望だけど、私はあくまで自分を慰めるものが欲しいだけ。これからも誰かを好きになれるとは思えないけれど、やっぱり欲しいのだ。<ソレ>が手に入る磁場が恋愛にしかないのなら。

ある作家が「BLは社会的なことを抜きにして純粋に恋愛だけを描ける」と語っていたけど、どうやら「純粋」であるらしい恋愛を読むことで、副次的に得られるものがあるのは分かったわ。

…ひとにオススメしてるのに何自己発掘に勤しんでるんだろう。。。許されて。

さて、なんとかこの日付のうちにupしたかったから急ピッチで書いちゃったけど、ここらへんで締めるわ。


長くなったけどリクエストしてくれた紫のバラの人、そして読んでくださった方、ありがとうございました!