読書

経済学・哲学草稿 (光文社古典新訳文庫)

経済学・哲学草稿 (光文社古典新訳文庫)

修士論文執筆のころに岩波文庫訳で読んだ。そのときは「疎外された労働」を中心に読んだ。国民経済学のベースを踏まえながらも賃金などを語るマルクスには文章の瑞々しさがある。スミスの文章も瑞々しいが資本論に至る前のマルクスもなかなかいい。正直、以前の自分は資本論以外のマルクスの文章は整理されておらず、とっつきづらく思っていたが、「若マル」の影響もあってか思考の整理の過程として読めている。現代の研究者もWPや報告書でまだ十分に吟味されていない文章を発表するように、天才マルクスもその時代があったのだ。いきなり資本論はさすがにかけない。資本論という到達点をイメージしつつ、どうしたらよりよい文章や推敲ができるのか、そういった見方で読むとまた違った読み方ができる。