W11-01 新型インフルエンザの動向と対策

厚生労働省健康局結核感染症新型インフルエンザ対策推進室長S氏のありがたい講演です。
確認しておきたかった事項がいくつかあったので、講演中あるいは質疑応答からそれらのことが確認できたことは収穫でした。
まず厚労省が事前に予測シナリオとして公表していた流行予測よりもピークの立ち上がりがなだらかになっている件について。
これは啓発効果なのかそもそもそういう特性を持ったウイルスだったのかは不明だが、とにかくそういう現実は好ましいことであるということ。
確かにその通りです。
注目の新型ワクチンについてですが、基礎疾患を持つ患者の中でも厚労省としては喘息>>DM≧腎≧心≧妊婦という優先順位を想定しているとのこと。
また、各疾患において優先接種とされる症状としては「新型ワクチン接種の手引き」に記載されているとのこと。*1
これらの判断基準においては各専門医学会にガイドラインを作成してもらったが、実際に優先接種対象とするかどうかは受診した先の医師が決定する。
そのワクチン接種受託医療機関医療機関側から市町村に対して書式を提出することで認定され、その後市町村より住民に対して公表されるのですが、これには一応提出期限が設定されていました。
しかし、その期限を過ぎたらもう一切受託医療機関を増やさないのかといえばそうではなく、随時書式提出により増減するとのこと。
すなわち我々としては随時市町村が公表する情報に目を光らせ、正しい情報を患者さんに伝える必要があるということ。
最後に薬局薬剤師が一番関心があったであろう「薬局薬剤師が優先接種対象に含まれない」件について。
氏曰く「今回のワクチン接種は感染予防のための接種ではなく、感染しても症状が重篤化するのを防ぐために接種するものである」
「したがって医療関係者では感染させると重篤化させるリスクの高い患者に接する可能性のある者を対象とする」
とのことで、ここでいうリスクの高い患者とは、呼吸器を装着していたりICUに入室していたりするような患者をさすとのことです。
したがって薬局において、単にリレンザの吸入指導をしているから暴露のリスクが高いというのでは優先接種対象とはならないが、例えば在宅受け持ち患者が人工呼吸器を装着しているとか、そういう場合には対象となることもあり得るとのことでした。
ここだけ言われれば「そうですか」ともなりますが、じゃあなんで普通に街中で開業している小児科医が対象なんでしょうね。
その小児科医と同じ患者群を相手にしている小児科門前薬局薬剤師は対象外なのに?
もっと言えばなぜ保健所職員程度が優先接種対象なんでしょうね?
質疑応答でずいぶん突っ込んだ*2んですが、そのあたりに納得のいく説明はとうとう得られませんでした。
まぁ答えは聞かなくても分かってるんですけどね。


これが政治というもの。


医師会やお役人と、日薬との力量の差ですよね。

*1:後日社内全店舗に配布しました。

*2:ここで随分細かいところを突っ込んだおかげで、分科会終了後に某有名誌の記者さんに名刺もらってしもた。取材マダー(゚∀゚)?