医療とコミュニケーションについて 読了

今年13冊目。薬関係8冊目。

レジデント初期研修用資料 医療とコミュニケーションについて

レジデント初期研修用資料 医療とコミュニケーションについて

HP「レジデント初期研修用資料」同様、平易な題材を大変興味深く書かれている。
タイトルが示す通りあくまでも医師向けの内容なんだけど、診察を服薬指導に置き換えて読めば薬剤師にも応用できる内容は少なくない。
一例としてこんな記述があった。
新しく追加になった薬の服薬指導時に、作用機序も副作用も相互作用も、アレもコレも詰め込み過ぎても患者さんは覚えきれない。
こういう事例を多発外傷の外科的治療におけるダメージコントロールに例えて「会話の受容侵襲量」と表している。
一連の服薬指導は何度かの中断を前提として、この会話の受容侵襲量が尽きないように進めていくべきであるというのである。
患者さんに対して語る言葉においては「事実」と「(医療者側の)判断」をきちんと区別することを意識すべきであるし、指導の中断期間(=受診と受診の間)には「交渉の自然治癒力」を活用すべきであるともしている。
また別の項では「人間モード」と「機械モード」を意識した医療過誤防止マニュアルの作り方なんてものについても書かれていたりする。
とにかくこの方の文章はちょっと変わった例え話なのに、変に納得させられてしまう力を持っている。
興味のある方は著者さんのHP*1をのぞいてもらうか、本を買ってしまうか、リアル知人なら我が家の図書室までどうぞ。オヌヌメ