水を打つ

今年80・82冊目。

水を打つ(上) (実業之日本社文庫)

水を打つ(上) (実業之日本社文庫)

水を打つ(下) (実業之日本社文庫)

水を打つ(下) (実業之日本社文庫)

小泉は「FS−1の申し子」と言っていい存在なのだ。そもそもFS−1の存在が注目されたのは、彼が短水路日本記録を更新したからだったわけだし……FS−1が使えないとなれば、衝撃は福井や桝本の比ではないはずだ。(p.50-51)

新型高速水着FS−1を身につけて好記録を連発するビッグマウス高校生、小泉。
なぜ彼は周囲を敵だらけにしてまで傲慢な態度を取り続けるのか。
競泳におけるチームとは?水着とは?
現実世界でも高速水着レーザーレーサーを着用した選手が好記録を連発したのは記憶に新しい。
本作では「アスリートとツールとの関係」と「個人競技におけるチームワーク」という2大テーマを掲げている。
後者については同じ著者の作品であり駅伝をテーマにした「チーム」があるが、テーマを1つに絞っている分「チーム」の方が深く掘り下げられていた印象がある。
テーマを2つ持ってきた影響なのか、競泳と駅伝に対する著者の興味の差なのか、はたまた読者であるオイラの競泳と駅伝に対する興味の差なのか、同作と比べると本作はあっさりした描写が目立つ。
それでも堂場さんらしい暑苦しくて男らしい雰囲気は相変わらずで、愚痴が多かったり決して明るい展開ではない割に気持ちよく読める。
その安定感を求めて、次なる堂場さんのスポーツ小説も既に買い求めてあるのでした…。

チーム (実業之日本社文庫)

チーム (実業之日本社文庫)

BOSS (PHP NOVELS)

BOSS (PHP NOVELS)