処方権と調剤権のお話

先日の日薬学会、メイン会場での分科会16で健保連の幸野さんが「医師の処方権があまりにも強いため、薬剤師の調剤権と格差があり過ぎる」とし、次回報酬改定の重点事項の一つに位置付ける考えを示したことに対し、予想通り日医の中川がかみついた。
幸野さんとしては一般名処方に基づいた薬剤の選択や残薬調整、リフィル調剤などの推進を通じて薬剤師にもっと医療費削減に貢献してほしいという、支払い側委員としては至極真っ当な意見を述べたに過ぎない。
これに対して医薬分業なんてクソ食らえ、薬剤師は医師の下流で言われたことだけやってろという持論が見え見えの中川さんが噛みつくのも全く意外性はない。
まぁこれも予想通りと言えば残念ながら予想通りなんだけど一番残念だったのは、これらの応酬を受けた日薬の安部常任理事が「調剤権を拡大するということではなく、薬剤師が調剤する上でどういう義務を負っているのか考えることが重要だ。医師の負担軽減が重要視される中で、医師と薬剤師がお互いの理解と連携の中で機能を発揮し、義務を果たすことが我々に求められている」と、中身空っぽの発言で逃げてしまったことだ。
安部さんはこの発言からして既に、おそらく無意識にであろうが、患者ではなく医師(会)をまず第一に見ているし、医師の下請けであることを前提にして答弁している。
幸野さんはそうではなく、医師と薬剤師は対等の立場*1に立ち、それぞれの専門性の下にコストパフォーマンスのいい治療をできるようにと薬剤師にエールを送ってくれている。
支払い側委員からこれだけ後押しを受けて逃げてしまうような奴が日薬の代表として中医協委員をやっているからいつまでたっても訳の分からない調剤報酬改定に振り回されるのだと、とても残念に思った。

*1:医師が治療の中心であることは私も否定しないし、幸野さんもしていない。薬剤師の領分は薬剤師がきちんと責任をとれるようにしなさいと言われているに過ぎない。