『きのこの山』vs『たけのこの里』論争と議論可能性
お久しぶりです。約1週間のご無沙汰、いかがお過ごしでしたでしょうか。自分はその間、ネットはおろかパソコンにも触れない生活を送っていたのですが、帰宅してパソコンを立ち上げるやいなや、アクセスが異常に伸びていて吃驚。どうやら大手ニュースサイトでいくつかのエントリを取り上げていただいたみたいで、至極感激です。こんなこともあるもんですね。
以前にid:noir_k:20080606:1212767490「講談社ノベルスにおけるライトノベル化現象の検証」というエントリを紹介していただいたこともあったのですが、ネタがネタだけにあまり人々の広い関心を惹くことは出来なかったようでした。やっぱし、みんな講談社ノベルスに対する興味はそんなに濃くはないよねえ。だけど、多くのはてブをいただくことも出来ましたし、届くべきところには届くんだな、とネットの力に感心しました。
今回取り上げられたエントリはアニメ系の話題だったこともあり、沢山のひとに読んでいただけたようで、大変嬉しく感じています。これが世間に迎合するということなのでしょうか(笑)。なんて、冗談はそんなところにしておいて。世間の流れからは若干取り残され気味の当はてダですが、今後もどうぞよろしくお願いします。
今回はこの貴重な経験を元に、アクセス解析からニュースサイトの情報リングを可視化する試みでもしようかと思いましたが、何だか意地悪な企画のようで気が引けましたので、やめにします。代わりに、友人と旅に出るたびに話題に上る「きのこvsたけのこ論争」における個人的意見と議論可能性について書いてみたいと思います。毎度のことですが、前振りが長くて申し訳ありません。そいやid:luxaky:20080810:p1「あなたの言いたいこと、5行で済むのに33行まで引き伸ばしてませんか?」なんてエントリがありましたが、自分には到底不可能な気がします。自分の溢れ出る(が、お節介かもしれない)エンタテインメント精神がこういう長い前振りを書いちゃうんだよ!望まれている望まれていないに関わらず、ねっ!
先に「きのこvsたけのこ論争」と書きましたが、こんな名称があるのかは分かりません。要するに明治製菓のチョコレートスナックである『きのこの山』と『たけのこの里』のどっちが優れているか、という激しくどうでもいい論争であります。この論争は、おそらく日本の各地で同時多発的に勃発されていると予想されますが、あまり大事にならず個々人が個々人の意見をぶつけ合うだけで、合意への方向へすら向かっていない印象を受けます。その割には皆この論争が大好きで、どんなメンバで旅行に行こうとも、スーパのお菓子棚で『きのこの山』『たけのこの里』を見かけるたびに、この論争は立ち上がらざるを得ないのです。
一般的に、論争における最大の問題点として、その議論可能性があげられると思います。すなわち、議論不可能な発言を繰り返していても、逆立ちしたって合意には至らないし、深い議論にも至らないのです。それは最近の例を挙げるなら、TBSラジオ『伊集院光深夜の馬鹿力』内のコーナ「日常モンスターハンター」*1においてモンスターと話が通じないのと一緒です。議論し、さらにそれを深めていくためには、それなりの発言をする必要があると考えられます。
議論不可能な発言の最たるものに、ただの直感的な感想に過ぎず、その先を思考停止しているものがあります。例えば「きのこvsたけのこ論争」で言えば「『たけのこの里』は『きのこの山』よりも美味しいから好き」です。これはもうそれ以上の議論が不可能です。何故そう考えるのか、どのような具体的データからそのような結論を導き出したのか、そこにどのような客観的意味を与えられるのか。そのあたりを言葉にしていただかないと、その先にはなかなか進めません。それはどんな言葉を用いても良いと思います。難しい術語まみれでも良いかもしれませんし、直截的な言葉にも力はあります。何らかの論理展開をしてくれないと、いくら突っ込んだところで有意義な結果はついてこないでしょう。
自分は「きのこvsたけのこ論争」に次のような意見を持っています。
そもそも『きのこの山』『たけのこの里』の2商品のアイデンティティがどこにあるかといえば、ずばり商品名でも示されている形状でしょう。『きのこの山』はきのこの形をしているから、また『たけのこの里』のたけのこの形をしているから価値があるのです。だから、単純に味だけ比較していても問題外です。そもそも味というのは個人の感覚によるところが大きく、その比較はとても難しいと思います。極端な例を挙げれば、美味しいマグロの刺身と不味いマグロの刺身の比較は出来ても、美味しいマグロの刺身と美味しいマグロのカマ焼の比較が難しいのと似ています。もっと言えば、調理法のみならず、形状にすら大きく左右されるはずです。では、この両者のどちらが優れていると考えるのか。
結論から言えば、自分は『きのこの山』を推します。事実、味だけならば『たけのこの里』が勝っていると感じています。それでも『きのこの山』を推すのは、きのこの形状をすることによってチョコレート部分とクッキー部分が容易に分離可能になっているのが、他に類を見ない独創的なものだと思うからです。それは味云々の問題ではなく、形状を生かした遊び心です。製作者がそのような食べ方を意図しているのか意図していないのかは知りませんが、このような食べ方は他のお菓子では真似が出来ません。他方『たけのこの里』は確かに美味しいですが、その形状があまり大きな意味を持っていないように感じます。トポロジー的に解釈(?)すれば、ただの平板クッキーの上面がチョコレートがコーティングされているのと何ら変わらないではないですか!だから自分は『きのこの山』を推すのです。
いかがでしょうか。この文章では意図的に突っ込みどころを増やしたつもりです。個人的な意見としては、議論可能性はある程度のレヴェルまではとにかく情報量を増やすことで獲得できると考えています。換言するなら、突っ込みどころが多いほど、議論は活発になり深まっていきます。それは攻撃と防御の応酬による真面目な議論の話ではありません。日常生活におけるちょっとした会話に意味がないのをお嘆きの貴方は、是非議論可能な物言いをするようにすると深い議論になるかもしれません。
などと書いてきましたが、実は日常会話でそのような議論可能性がそもそも必要なのか、という問題があります。最近、友人のひとりから、自分は他者とのコミュニケーションにおいて「説得」を指向しているのではないか、と指摘されたことがありました。個人的には十人十色という四字熟語が大好きですし、人と人とが完全に分かり合えるようなことはないと考えていますので、自分の意見が相手に許容されようがそうでなかろうが、正直どっちでも構わないと思っています。それでも他者からそのように見られてしまうということは、心のどこかでそれでも自分の思考を分かって欲しいと感じているのかもしれないな、と思いました。もしかしたら議論不可能なゆるいコミュニケーションは、その存在自体に大きな価値があるのかもしれません。
久しぶりだったので、妙に長くなってしまいました。すみません。本当は今日は千葉紗子の誕生日だったし、どうやらパンツじゃなくてズボンだったと判明した『ストライクウィッチーズ』の話題でも書こうかとか、明日から施行される宇宙基本法について書いて新たな分野に手を伸ばそうかと考えていたのでした。まだ入手していないのですが、『ストライクウィッチーズ』EDテーマ『ブックマーク ア・ヘッド』のマスタリングが悪い意味で話題になっているらしい*2ですね。それにしても坂本少佐(CV千葉紗子)は大変素晴らしい(笑)。あと最後になりましたが、捕捉してくれた多くのニュースサイトの中に、敬愛するさらしる先生がいて嬉しかったです。さらしる先生、ラヴです!
[追記:2008-08-28]
上記のように8月26日は千葉紗子さんの誕生日でした。おめでとうございます。……結婚発表からもう1年か。ちなみに『ストライクウィッチーズ』で千葉紗子演ずる坂本美緒少佐の誕生日も同じ8月26日です。これには理由があって、『ストライクウィッチーズ』の各キャラクタには第二次世界大戦期のエース・パイロットがイメージモデルとして存在していて、各キャラクタの誕生日設定はイメージも出るのそれと一緒になっています。そのあたりの詳細は放蕩オペラハウスさんやid:n_euler666:20080809:1218254357が素晴らしいです。で千葉紗子演ずる坂本少佐のイメージキャラクタが旧日本海軍航空隊の「大空のサムライ」こと坂井三郎なのですが、その誕生日が偶然にも千葉紗子と一緒なのです。何という偶然。ちなみに各キャラクタの誕生日(=イメージモデルの誕生日)と担当声優の誕生日の一覧は次のようになります。
キャラクタ | イメージモデル | キャラ誕生日 | 声優誕生日 | 声優 |
---|---|---|---|---|
宮藤芳佳 | 武藤金義 | 8月18日 | 1月10日 | 福圓美里 |
坂本美緒 | 坂井三郎 | 8月26日 | 8月26日 | 千葉紗子 |
ミーナ・ディートリンデ・ヴィルケ | ヴォルフ・ディートリッヒ・ヴィルケ | 3月11日 | 1月3日 | 田中理恵 |
リネット・ビショップ | ウィリアム・ビショップ | 6月11日 | 4月24日 | 名塚佳織 |
ぺリーヌ・クロステルマン | ピエール・クロステルマン | 2月28日 | 6月2日 | 沢城みゆき |
エーリカ・ハルトマン | エーリヒ・ハルトマン | 4月19日 | 3月1日 | 野川さくら |
ゲルトルート・バルクホルン | ゲルハルト・バルクホルン | 3月20日 | 2月7日 | 園崎未恵 |
フランチェスカ・ルッキーニ | フランコ・ルッキーニ | 12月24日 | 3月12日 | 斎藤千和 |
シャーロット・E・イェーガー | チャック・イェーガー | 2月13日 | 2月15日 | 小清水亜美 |
サーニャ・V・リトヴャク | リディア・リトヴァク | 8月18日 | 9月8日 | 門脇舞以 |
エイラ・イルマタル・ユーティライネン | エイノ・イルマリ・ユーティライネン | 2月21日 | 4月28日 | 仲井絵里香 |
*1:日常生活において遭遇した「モンスター」の目撃体験を報告。「モンスター」とは「モンスターペアレント」から来る造語で、理不尽なクレーマーを指す。
*2:風の噂では、CD音源を自分で調整してMP3化したものの方が高音質に聞こえるとか。ただ自分は未入手なのでうだうだ言いません。それが自分のポリシーです。未見のものに文句は言わない。文句を言うなら、ちゃんと見てから。だから映画版『20世紀少年』の悪口なんか絶対に言いません。これは逆説でも何でもないよ。ていうか長崎先生が脚本やってるから、ちょっと期待してるし。