時子のパタゴニア便り

1994年パタゴニア アンデス山脈の麓の村の5’5ヘクタールの土地に移住。ささやかな自然との暮らしの中で感じた事を書いていきます。

「小さい春、小さい春、見〜つけた!」

冬に大雪が降ったせいか、春になっても寒い日が続きます。特に雪のアンデスを通ってくる風は冷たいです。快晴の日の日中は25℃位まで気温が上がりますが、朝夕はストーブ 無しではいられないほど冷え込みます。
それでも花は咲き、緑が日に日に濃くなっています。
今農場ではさくらんぼの花が満開です。さくらんぼはいつでも満開の花を楽しませてくれます。鳥が運んだ実から芽吹き育った木が、思わぬ所で今年は花を咲かせ、それを見つけるのが散歩の楽しみとなっています。
露天風呂の上に覆いかぶさるように枝を伸ばした木は、花見風呂の楽しみを私に与えてくれています。暫くしたら風で散る花びらが湯船一杯に敷き詰められ、お洒落な風呂が楽しめるようになります。
洗濯物も外に干せホカホカに乾く日も多くなりました。
街へ行く日は、ポプラの紅葉も楽しんでいます。ポプラには二種類あって、緑の新芽が出るものと、えんじ色に染まるものとあります。家の近く、街へ行く道に短いポプラ街道があって、私は春の紅葉を楽しみます。
日の出が早くなり、食いしん坊の黄金がワンワンとうるさく催促するので犬たちの朝ごはんの時間も早くなりました。
冬の大雪で折れた枝の整理はこれでもか、これでもかというほどあって、まだまだまだまだ終わりませんが、それらを切って運び乾かす作業を続けながら、こうして元気に楽しく動ける自分の体と心に感謝します。
毎年同じことに感動し、感謝し、楽しんでいますが、それを幸せだと思います。

でも今年はアカゲラの数が少なかったです。
蜜蜂もほとんどやって来ません。
生き物の種類も数も極端に少ないパタゴニアで、それはとても寂しいことです。

野良仕事が一杯あって忙しいけど、ゆったりとした気持ちでパタゴニアの小さい春を見つけ楽しもうと思います。