堺市議会議員 野村ともあきブログ

2015-04-01

【2015版】大阪都構想のここがヤバいよワースト10

いよいよ統一地方選挙が目前に迫ってまいりました。

私が負託をいただいている堺市議会の議員も改選を迎えるわけですが、この選挙を前にどうしても書いておきたいことがあります。


“いわゆる大阪都構想”についてです。


最近気づいたのですが、「大阪都構想」というごくごく一般的なワードで検索すると、なんと2年近く前にこのブログで書いた「大阪都構想のここがヤバいよワースト10」というエントリが、かなり上位にランクしておりました。

確かに私のブログには「都構想」「わからない」とかいう検索ワードでよくアクセスがありますが、当該エントリは一昨年の堺市長選挙の時に書いたもので、当時と状況が変わったり、堺市に限定した内容だったり、必ずしも今の状況にマッチしたものではありません。


世間的に都構想への関心が高まる中、なんとなく「これはマズイなあ」という義務感というか責任感みないなものがありましたので、今回、ランキングを見直すとともに、初めて読む人にもできるだけわかりやすいように基礎的な情報も含めて2015バージョンを書くことにしました(^^)。


前回の内容と重複する部分もありますが、検索などで初めてこのページに飛んできた人にもわかるように、という配慮ですのでご容赦ください。


では、さっそくですが、「大阪都構想のここがヤバいよワースト10 Ver.2015」(略して「ここヤバ2015」)行ってみたいと思います。




……の前に、まずは前回の順位を簡単にまとめておきますね(^^;)。(詳しい内容は元エントリをご参照ください)


大阪都構想のここがヤバいよワースト10(2013年版)

第10位 実は「都」じゃない。

第9位 都構想推進の最大の理由だった「二重行政」が堺市にはない。

第8位 国の方針と全く真逆の制度変更である。

第7位 ロードマップに一貫性がない。

第6位 マニフェスト「堺八策」との整合性がない。

第5位 財政効果がほとんどなかった。

第4位 統合される大阪府と市の財政が深刻。

第3位 東京都制を手本にするという発想自体がそもそもおかしい。

第2位 堺市がなくなる。

第1位 元に戻せない。


はい。

さて、これが今回どのように変わったでしょうか(^^;)?


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お待たせしました。それでは本編に参りましょう。どうぞ!

(例によって、長ったらしい説明は(注)としてまとめましたので、面倒くさい方は読み飛ばして下さい)


第10位 国の方針と全く真逆の制度変更である。

前回8位の項目です。個人的にはヤバさ度合いは前回と変わらないと感じてますが、相対的にもっとヤバイ項目が出てきたので、順位が下がってしまいました。「しまいました」という表現もアレですが。

大阪都構想」というのは要するに政令市を無くして府へ仕事を移すものです。しかし国の大きな方針は道府県→政令市へ仕事を任せていくというものです。全国の政令市ではそのために色々と連携して話合いや研究を行っていますし、国もその前提で政策を考えます。

つまり、大阪だけが変な方向に進むことになり、全国の政令市と歩調を合わせられないばかりか、国の制度、施策から取り残されることになります。


第9位 東京都制を手本にするという発想自体がそもそもおかしい。

前回3位からの大幅ランクダウン。

東京が経済的に発展しているのは「都と特別区」という枠組みのせいではありません。首都として経済拠点や行政機能が一極集中しているからです。

「都制」にすれば景気が良くなるという主張は、本気で言ってるなら政策センスを疑いますし、わかってて論理のすり替えをしているなら悪質です。

加えて、都区制度自体が不完全な制度であり、政令市を返上してまで選択するものではありません。このことは、当の東京都の区長さん、また全国自治体の首長さんの多くが指摘していることです。

【参照】WEBソースのないものは図書館などで調べて下さい。

指定都市市長と関係知事に対するアンケート(朝日新聞2010年12月15日)

東京の23特別区長に対するアンケート(毎日新聞大阪本社版2010年10月19

日)

政令市分割「不要」が大半(読売新聞/YOMIURI ONLINE2015年03月29日)

http://www.yomiuri.co.jp/osaka/news/20150329-OYO1T50000.html


第8位 これここに至るまでの行政上の手続き、手順がかなりヤバイ。

ヤバ過ぎてとてもここに書ききれませんが、主なポイントだけ箇条書きします。詳細はググって下さい。過去に私もブログで書いてます。

  1. 都構想の設計図ができないからという理由で、突如、意味不明の出直し市長選を6億円かけて行った。
  2. 設計図を作る際、反対する議員をことごとく委員から外し、維新の委員だけで無理矢理完成させた。
  3. それに反発する維新以外の会派が求めた議会開催要求を、橋下、松井首長は無視した。
  4. 法定協の委員を見直すための議案を審議しないまま放置し、議会を強制流会させた(どう一言で書けばいいんだろ、こんなひどい話)
  5. 設計図はいったん議会で否決されたが、否決された設計図をほぼそのまま再提案し、衆院選後に態度を変えた公明党の協力で通した。
  6. 設計図を作るに至った法定協での議論を記した広報誌の発行を差し止めた。

第7位 財政効果がほとんどなかった。

もう散々言われていることですが、維新が当初言っていた4000億円という財政効果は、都構想の設計図を作る段階で1000億円弱に修正され、しかもその大部分は都構想と関係ない数字を盛りに盛ったものであることが報道や議会で明らかにされています。実質的な財政効果は1億円しかありませんでした。

ところで維新の堺市議会議員団は8000億の財源が生み出せるとか、さらに倍盛りしてたような記憶があるなあ……と思ったら、まだホームページに載せたままでした(^^;)。いくらなんでも修正すべきだと思いますけど。

http://www.sakai-ishin.com/policy.html

【魚拓】http://gyo.tc/S8SK


第6位 移行コストがむちゃくちゃかかりそう。

“いわゆる都構想”移行のためのコストは庁舎の建設やシステム更新などで680億円もかかると試算されています。つまり、1億円を捻り出すために680億円をかけようとしているのが都構想の現実です。

ちなみにこれは現時点で行政が直接支出するお金に限った話です。予見できない未知のコストや、間接的に生じる支出や損失、民間で負担するコストなどは含まれていません。


第5位 出てきた区割り案が最低最悪。

大阪都構想は出てきた当初から無理のある計画でした。良くも悪くも政策的センスはないけど実行力はある橋下氏が、理念も展望もないまま、無理な計画を無理に推し進めたため、設計図の作成過程では、場当たり的に増改築や応急処置を繰り返すような作業が積み重なり、最終的に示された「大阪都」の形は、当初のうたい文句とは大きくかけ離れた、歪(いびつ)で中途半端で異様な自治体の姿でした。

ニアイズベターをうたった特別区は、人口規模が当初計画の30万人から最大69万人に増大。しかも府下には政令市である堺市を抱えたままです。一方で議会議員は現在の大阪市会の議員数を元に機械的に各区に振り分けたため、34万人の湾岸区に12人の議員しかいない状況となりました。特別区になれば公選区長が互いに競うことで地域が発展すると言われてましたが、そのための政策を立案するための主要な財源となる特別区の税収は個人区民税、たばこ税、軽自動車税だけであり、経済振興による税源の涵養が見込める法人市民税や固定資産税などはすべて府に吸い上げられます。特別区間の税収格差は最大2.8倍に上りますが、それを補う財政調整の方法は決まっていません。ハード面においても区役所庁舎が不足し新設が必要で、発足時には職員の配置もままならないと言われています。


第4位 実は「都」じゃない。

前回10位の項目が4位にジャンプアップです。

世間的に「大阪都構想」や「都構想」という名称が定着してますが、大阪が「都」になるわけではありません。都構想の根拠となる法律である「特別区設置法」には“特別区を設置できるルール”が書かれているだけで、道府県の名称を「都」にする規定など一切ありません。現行の法令では「大阪府」は「大阪府」のままです。

なぜこのことが第4位になるほど重要なのでしょうか。

いわゆる大阪都構想は当初、大阪市と堺市、そしてその周辺自治体をも巻き込んだ府市再編によって大きな財源を生み出し、それによって成長戦略を描くという壮大なものでした。しかしそれは現在、単に大阪市を廃止・分割するだけという意義も効果も全く不明なショボイ政策に成り果てました。

羊頭狗肉とも言える現状に対し、マスコミなどもこぞってこの詐欺めいた呼称を使い続けることは、あたかも大阪が東京のような都市として発展するかのようなイメージを有権者に植え付け扇動することに他ならず、強い懸念を感じます。

脱法ドラッグ」や「イスラム国」など、“名前”が与える印象は時として誤解を招き、当事者に大きな不利益となって降りかかります。


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さて、いよいよトップワースト3の発表ですが、その前に「圏外に消えたヤバイ」を紹介したいと思います。


○ロードマップに一貫性がない(前回7位)

「ロードマップ」とかそんな表現できないくらいに、もうガタガタです。全く未来が見えません。大阪都以降どうするとか、もう完全に議論から消え去りました。とにかくやったらええねん。後は野となれ山となれ、と言った様相です。


○「堺八策」との整合性がない(前回6位)

もっとどうでもいいですね。ていうか覚えてる人いるんでしょうか? 私は一策も覚えてないです。


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ちなみにここまで書くのに7時間くらいかかってます。あまりのヤバさに、書いていて本当に頭がフラフラしてきました。なんとか正気を保ちながら、残りのワースト3も紹介したいと思います。


第3位 二重行政から三重行政へ。

展望も理念もなく、ただ大阪市を切り刻んだ結果、広域と基礎の事務配分を曖昧にし、府と特別区に配分できず宙に浮いた事務事業は、一部事務組合という制度に押し込められることになりました。結果、予算規模6400億円というとてつもなく巨大な一部事務組合が生まれ、「府>一部事務組合>特別区」という、いわば三重行政が生じることになりました。

異常に巨大な一部事務組合の誕生で、国民健康保険や水道事業など、市民生活に直結する事業事務が、複雑化するばかりでなく役割分担も責任の所在もあやふやとなるなど、「新たな大阪府」は極めて非効率で不安定な行政組織となっています。このまま実現すれば、府民、市民生活に重大な悪影響を及ぼすことは確実です。


第2位 元に戻せない。

なんと! 前回1位の「元に戻せない」が2位です。

大阪都構想の最大の弊害は「政令指定都市に戻すことがほぼ不可能」である点です。

大阪都構想には様々な制度的な不備、矛盾、限界、効率の悪さがあることは既にお示ししてきましたが、一度やってしまうと後からダメだとわかっても元に戻すことができません。市制125年の歴史を持つ、日本を代表する旧五大市のひとつである大阪市は地図上から消え、二度と戻ることはありません。


前回好評だった「特別区を再び大阪市に戻す方法」(改訂版)

  1. 府下5つすべての特別区が合併する案を、すべての区議会で議決、承認。
  2. 府知事に合併案を申請し、府議会で議決。
  3. 総務大臣へ届け出ることで、とりあえず「260万人の特別区」が実現
  4. ここで問題発生。地方自治法の規程では、「市」となれるのは「普通地方公共団体」と定義されているので、「特別地方公共団体」である特別区は「市」になれません。制約なく移行できる普通地方公共団体はなんと「村」だけのようです。というわけで、
    1. まず「特別区」を廃止
    2. 廃止した「区」と同一の区域の(人口260万人の)「村」を設置
    3. 「村」で「市制施行」を行い「市」に。
  5. そこから政令指定都市移行手続きとして
    1. 市議会での政令市移行に関する議決
    2. 府知事へ要望
    3. 府議会の議決
    4. 総務大臣へ要望
    5. 閣議決定
    6. 政令の公布
  6. めでたく政令指定都市移行

笑うしかありませんね(^^;)


第1位 特別区隣接自治体は住民投票なく特別区になれる。

すでに設置された特別区に隣接する自治体は、分割をしない場合、住民投票なしで特別区になれます。「なれます。」とか言われても困りますが、「特別区設置法」にそう定められています(第13条の2項)。

これが今、私が最もヤバイと感じていることです。

はっきり申し上げてこれは「大都市地域における特別区の設置に関する法律」の欠陥です。この点については、今後、自民党の国会議員を通じて法改正を求めて行かなければならないと感じています。


この条件には堺市も当てはまります。つまり、堺市においては市(首長)の決定と議会の承認だけで、政令市の廃止が決まってしまう可能性があるのです。

もちろん、現・竹山修身堺市長は、一昨年前「都構想」反対を掲げて市長選に勝ちました。しかし、将来の堺市長選の結果は誰にもわかりません。

かつて、橋下徹大阪市長が極めて身勝手な理由で、無意味な「出直し市長選挙」を強行したことを我々は忘れてはいけません。


もし、時の堺市長が堺市の廃止、特別区への移行を決めたなら、それを阻止する方法は堺市議会で否決するしかないのです。

その時、堺市議会の会派構成が極めて重大な意味を持つことを、どうかすべての堺市民の皆さんに知っていただきたいと思います。

堺市において、今ほど議会の良識、市民の力が試されている時はありません。




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さて、いかがだったでしょうか?

正直、ここに紹介した項目のどれが一位でもおかしくないくらいのヤバさです。

大阪都構想の当初の理念、理想、計画は、確かに一部評価できる面もありました。

しかしながら、現在の「新・大阪府=いわゆる大阪都」からは、それまで喧伝されてきた夢の様な都市の輝きは完全に失われ、何をどう判断しても実現しようと思える自治体の姿ではありません。


今回、大阪府下の一人でも多くの住民と、そしてなかなか情報の届きにくい中央(東京)の政治、行政の関係者にも、出来る限りわかりやすく大阪の現状をお伝えしたいという思いで、このエントリを綴りました。大変な長文となりましたが、最後までお読みいただいた皆様に感謝申し上げますとともに、周りの一人でも多くの方にこのブログの内容をお伝え願いたいと存じます。


さて、いよいよ「堺を守り、大阪を取り戻す戦い」が始まります。

私も必勝を期して戦い抜きたいと思いますので、引き続きのご支持、ご支援のほどよろしくお願い申し上げます。