クラウドソーシング時代のサバイバル術

最近巷で少し話題になっている単語で、「クラウドソーシング」というものがある。有名ブロガーのちきりんさんが取り上げたことや、ヤフーが「Yahoo!クラウドソーシング」というサービスを本格的に開始したことなどが、この話題に火を付けた。


クラウドソーシングが何かと言うと、簡単に言えば、不特定多数同士の作業の受発注を仲介・紹介することである。発注側は人を雇うことなく作業を依頼することができ、成果物に対して対価を払う。受注側は自分の都合のよいときに、やりたい作業を見つけて報酬を得ることができる。
ちょっとしたメールの翻訳や、小規模なプログラミングなど、内職的な作業がやり取りのメインではあるが、海外では高度な法的助言や企業の技術的課題の解決など、専門知識を要する作業の受発注も出てきているらしい。必要な作業を細切れにして発注するという流れが強まれば、これまで「知的労働」と言われていたホワイトカラーの仕事も、工場のライン作業のようなブルーワーカー的側面が大きくなり、単価・賃金の下落は避けられない。


もちろん、雇用関係をベースにした今の労働社会が急に変わるとは思えない。ただ、雇用にかかる多大なコストや、解雇への様々な規制を考えると、人を雇うよりも必要な作業を都度発注するという流れが徐々に強まってくることは間違いない。
そんな時代にある程度の高賃金を得ていくためにはどうしたらよいのかを考えたのだが、二つの道しかないと思う。一つは、目的を達するための仕組みを自分で創れるようになること、もう一つは仕組みのない中で自力で稼げるようになること。前者は生産体制や販売オペレーションなどを構築し、その仕組みを実際に回していくということを意味する。後者は、外資系金融などのように恒常的に儲かる仕組みのないところで、成果を上げ続けるようなイメージである。その二つのどちらにもなれなければ、誰かが創った仕組みの中で作業をこなしていく生き方を選ぶしかない。


自分の進むべき道や得るべき経験、自分の子供に与えるべき経験や育むべき能力、そういったことを今後考えていくうえでも、上の二つのどちらの道に進ませたいのかを意識していく必要があると思う。学校教育は、決まった仕組みの中で高いパフォーマンスを出させることを目標にしているに過ぎない。それを究めることが将来性を約束してくれる時代は終わりつつある。
冒頭のちきりんさんも紹介していたが、この本は色々考えさせられる内容だった。

クラウドソーシングの衝撃 (NextPublishing)

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