警視総監に対する事実の申告書

事実の申告書

警視総監 殿

2011年8月16日
被疑者 原宿警察署417号
弁護人 萩尾 健太

 刑事収容施設及び被収容者の処遇に関する法律231条1項3号の規定に基づき、警視総監に対し、事実の申告をなす。

申告の趣旨

被疑者を保護室から通常の独居房ないし雑居房に移換されたい。

申告の理由

1 保護室収容の経緯
 被疑者は、公務執行妨害の被疑事実で不当にも原宿分室にて勾留中であるが、本年8月13日夜8時30分ころ、突然、それまでの独居房から保護室に移された。
 その理由は、被疑者は留置直後から毎日当然のこととして、留置担当者に対し、食後の歯磨きのために歯ブラシの使用を要求してきた。8月10日には「動静処遇等に関する申出」の書面でも要求をした。上記同時刻にもその要求をなした。すると、留置担当者は、署内の「決まり」を口実にこれを拒否し、被疑者がこれに抗議すると、ビデオで撮影をし、被疑者が新聞紙を房の柵に張ってこれを阻止すると、突然多人数で房内に押し入り、本人を保護室へ収容したのである。

2 保護室における人権侵害
 保護室は、縦3m、横2m程度の極めて狭い部屋で、堅く冷たい床に寝具もなく、時計もなく、電気も終夜蛍光灯2本つけっぱなしであり、床に埋め込み式の便器の前にはついたてもなく、拷問そのものである。食事は箸も与えられず手づかみでありお茶や味噌汁がないなど、一般房との差別も甚だしい。週2回あるはずの風呂も無く毎朝の運動とひげそりも朝晩の歯磨きもない。ドアを閉め切られると全く無音状態で用事のために担当官を呼んでも一切返事がない。
 このような場所に収容されること自体が人権侵害であることは言うまでもない。
 その理由も、被疑者の抗議を押さえ込もうというものであり、極めて不当である。
 これ以上、保護室での拘禁が長引けば、被疑者が拘禁ノイローゼ等の症状に陥る危険がある。

3 被疑者の防御権の侵害
 被疑者は、8月17日に予定されている勾留理由開示公判に向けてその準備をしたいと考えている。しかし、保護室には書類も筆記用具も持ち込むこともできない。これは被疑者の防御権の侵害に他ならず、明白な憲法違反である。

4 まとめ
 よって速やかに被疑者を保護室から出されたい。
 速やかな措置が採られない場合は、弁護人としてさらなる法的手段を執ることを念のため申し述べる。

以上