Hatena::ブログ(Diary)

! nopi’s talk このページをアンテナに追加 RSSフィード Twitter

■profile■ [writer] [archive] [other PAGE]
■category■ [ゲーム] [非電源] [メタルフィギュア] [購入] [診断] [書籍] [日常] [感想] [tours]

2017-12-23

[]私的GotY2017

2017年度にプレイした(発売したではない)ゲームについて、簡単に総評を加えつつ、私的GOTYをエントリさせて頂きたく。

なお、以下のタイトルにつき、すべてXBOX ONE 版になる。日本ストアでは発売していないものも多い(だいぶ多い)。

ゲームを探す場合は、米ストア(本体設定国籍米国に設定)にて探していただければ。


ウォッチドッグ

f:id:nopi:20171224000958p:image

UBIの典型的シリーズ二作目といった出来栄え。すなわち、シリーズ元来のビジョンを余すことなくメカニックに落とし込み、余裕をもって物語を語り切り、あまつさえ楽しいおまけ要素お遊び要素がこれでもかッとドカ盛り。ただただひたすらにゴージャス。GTAフォロワーとしてのセインツローやマフィアといった先行作品たちが、フォローばかりではなく独自の視点さえも獲得し終えたこのタイミングでありながら、それでも到達すべきゆるぎなきビジョンに裏打ちされた余裕をもって大々的に宣言してみせる、これがUBI(ぼく)のかんがえたさいきょうのGTAです、と。


INSIDE

LIMBOの続編(?)。ぼくたちわたしたちをげんなりさせた、LIMBOの露悪極まりない描写の数々は、INSIDEにおいてはソフィスティケートされ、見た目ふんわりさっくり中身どろっどろのエグさ倍増している。身体性に対する隠しようのない嫌悪感と、人の精神性に対するえげつのないまでの率直さへの嫌悪感を、隠すことなく余すことなくあの手この手で表現し演出してみせる。主人公少年が事あるごとに無残に殺されてゆく残酷さに眉をしかめていたプレイヤー諸氏もまた、リトライ前提のパズル要素とリトライの手軽さというゲームメカニック(すなわちゲーム世界内の社会性)に毒されてくる頃(ゲームに慣れる頃)には、少年は死んで当然であるくらいの気持ちになり、パズルを解く試行のために試しに死んでで見せたりするようなる。類なき怪作。おすすめは、しかねる。


バナーサーガ

f:id:nopi:20171224000948p:image

古典的(?)なSRPGメカニック、独特なアートワークに乗せたずっしりと重い物語を人物たち。あらゆるものが失われ崩壊してゆく世界を背負った彼らの物語り、すなわち彼らの選択は、それが間違ったものであったり、罪深いものであったとしても、ただひたすらにかけがえが無く、ゆえに美しく映る。

一大サーガの助走に相当する前作を経て、今作は展開部分に相当する物語であることが理由なのか、視点や流れが散漫に飛び移り(語りや主人公さえ変わる)、いささかまとまりがない点がみられる。SRPG部分はこってりとチェレンジブルな難易度調整が行われており、理解ったッ面でへらへら進めていると、まったく詰んでしまう(私も最終戦は難易度下げてしまった)。

お話的にもメカニック的にも前作未プレイでも楽しむことはできるが、XBOX版ですら全作日本語化された今となっては、連番通りにプレイしない理由はない。


FOシェルター

モバイル版をまんまコンソール化したもの。モバイル版のときは定規で測ったような三日坊主っぷりだったが、コンソール版はもうすこし進めることができた。とはいえ、リアルタイム無慈悲に要求するモバイルゲームの文脈はそのままであるため、毎日ちょっとづつ、なんてプレイは許されず、送り出した連中はことごとく死に、Vault最下層ではラッドローチがわきあふれ、原子炉は暴走し、扉はレイダーデスクローの襲撃により破られ、数日ぶりにみたValutが変わり果てた姿になったのを機にIGD。


Styx

f:id:nopi:20171224000938p:image

人間至上主義を掲げる帝国を舞台に、隅に追いやられ人間と対立して生きているゴブリン族のアサシンStyxとして、一方的に虐殺(したりされたり)するステルスゲーム。見つかれば即死ゆえに、見つければ即殺。慈悲は無い。

この慈悲は無い、という点が非常によくゲームメカニクスマッチし、独特のプレイフィールを醸し出していた。いかつい聖堂騎士はもちろん、街角の(徴兵されたとおぼしき)衛兵でされ、ゴブリンであるStyxに数倍する体躯をもつ。掃除中の腰の曲がったおじいちゃんですら、Styx二人分ほどもある。そして彼らは、彼らから見ればちっぽけな存在でしかないゴブリンを見かけると、露骨なほどの加虐性を顕わにして襲い掛かってくる。腰の曲がった掃除夫でさえ、手にしたブラシを振りかざし乱杭歯をむき出しにして襲い掛かってくる。ちっぽけなゴブリンには抗する術はない(メレー機能無し!)。しかるりにStyxは、短躯を生かして狭い隙間や溝から、あるいは長い手足を生かして街中を覆うアーチや尖塔の高みから、見られることも聞かれることもなく、襲い掛かる。Styxが人間を殺すのは、それは憎悪からだけではなく、それだけが生き残る術ゆえになのだ


Beyond Eyes

f:id:nopi:20171224000915p:image

盲目少女の小さな小さな大冒険。盲目であることを、世界に響く音と彼女の心象に揺らめく色によって表現し、冒険を通しての世界の広がりを描いてゆく様は代えがたいエモーショナルに満ちている。けれども、コリジョンの厳しさや意図的であることは理解できるがやりすぎのきらいのあるナビゲーション不足により、プレイイングはストレスに満ちたものになってしまっている。


JOTUN

f:id:nopi:20171224001549p:image

誅殺されたヴィーキングの女戦士ヨトゥンの、ヴァルハラでの名誉を取り戻す戦いをえがくクォータービュー形式のアクション。独特の解釈により色彩豊かに表現されたアスガルドを巡る旅はファンタスティックなれど、いささか冗長。ボス戦はボリューミーで挑戦しがいがあり、もうすこしこちらにウェイトがあってもよかったのかも。誅殺、という語りに満ちてそうな導入にもかかわらず、あっけらかんとした展開は、北欧戦士そのものしんじまったんだからしかたねぇ)、というのは分かる。分かりはする。


レゴムービーゲーム

安定安心のレゴゲーム。大傑作レゴムービーのどストライクなシーンのゲーム内再現はもとより、このシーンとこのシーンの間に、じつはこんなん戦いがあった!いうゲーム内解釈も、これ作った方々はほんとにレゴムービー大好きなんだなあというのが伝わってくる(潜水艦の水没事由とその後の(ヘンテコソファに乗り込むまでの)冒険や、崩壊した雲の上の楽園などなど)。各種コレクタブルを完遂させようとすると地獄なれど、一周するだけなら非常にサクサクいけちゃうのも好印象。Coopも相性がよく、すべてはサイコー!といったところ。

PVZGW2

f:id:nopi:20171224001508p:image

GotYマルチプレイ部門堂々の第一位。何がよかったって、許しがある点がよかった。全体的に許されている。具体例を挙げるなら、エイム下手→ブレインズほか近接殴りでOK、殴り下手→サンフラワーヒール、エイムも殴りもヒールもダメ→戦線後方で踊ってる(結構いるんだこれが)。

これらを支える屋台骨的な仕組みは、なんといってもランクマ不在という点。勝ちにこだわる部分が非常に少ない。よって勝ちにこだわりたい人や誰かを叩きのめしたい人は早々に止めるかやらないので、さらにいっそう許しが加速される。ルール無用に残虐ファイト

あまり適切なたとえではないのかもしれないが、幼稚園小学校低学年くらいの子たちの公園遊びに似てる(一人で遊んでる子もみんなと遊んでる子も、一人遊びの域をそれほどは大きくは外れていない(中学年や高学年だと、仕切ったり楽しませようとしたり、あるいは強権をふるおうする子が出てきたり、あるいはきちんとしたルールにのっとった遊び方にシフトしてく印象))。


ファークライ

f:id:nopi:20171224001533p:image

安定のファークライ、という印象。IPの良い点をUBIはよくよくわかってるし、どう作ればいいのかもわかっている、というのが伝わってくる。好き勝手に撃って走って飛び回って、じっくり仕掛けて拠点を攻略してもよし、勢いとエイムでランボー突撃するもよし、札束でたたいて回る(傭兵を雇う)もよし。

メインの一部のデザインの悪さ(いつものあれだ)や、終盤にかけての大失速(ラストはほんとひどい)は続編や今度の5で治ってるといいかなぁという思いがある。


スピードランナー

手軽かつ奥深い対戦プラットフォーム。ドマイナーなのが珠に傷だが接待用に一家に一台あると便利だが、XBOXローカル対戦プラットフォーマー競合が多くそして手ごわいため、出番が非常に厳しい。


マインクラフト

f:id:nopi:20171224002709p:image

正しく評する言葉を持てないでいる、というのが率直なところ。秀逸なアートワークに堅牢なブロックメカニックの二つ組合せは、だれが見ても素晴らしいものであることは明白だが、マインクラフトの懐の深さはそんなもんじゃあない。事実、Mixerをはじめとする配信プラットフォームでのマイクラ配信を見てみれば、サバイバルからクラフト、対戦、GearsのホードめいたCoopを楽しむ方まで、千差万別。ウチに遊びに来る小学生たちのプレイに至ってはゆうしゃごっこ(PT組んでダンジョンアタックしてる)だ。そして遊び方の提供は、今なお続いている。マインクラフトとは、これらすべてであり、これらすべてを合わせたよりなお大きく、そしてそんなすさまじいゲームを評する言葉を知らない。


ESO

f:id:nopi:20171224001521p:image

多元宇宙にどこかにあるニルンという惑星上での現実の出来事(タムリエルゲームじゃない)を、みんなでわいわい体験できるようにとMMOとして表現してみたゲーム、という解釈。コンソール版は英語版オンリーだが、正確に言ってしまえばタムリエル語なので、分かれば分かる。LV依存のクエストなど、懐かしいかんじ(?)のプレイフィールのMMOなので、コンソールゲームの文脈のままでいくとなかなか難儀するが、お話追って世界を脈絡なく巡るだけで楽しく、そしてそれがそれこそがタムリエルだ。PvP(帝都エリアがそれに相当)はずいぶんと別ゲーときく。折に触れて戻ることができる世界であればよい、という感想。


abzu

f:id:nopi:20171224002200p:image

風ノ旅ビトならぬ水ノ旅ビト。シンプルかつストレートに歌い上げる生命賛歌は、演出の小憎らしさと相まって、短いながらもあと引く余韻を残す。美しくコンパクトにまとまった佳作。


Ghost of a tale

f:id:nopi:20171224002140p:image

東欧の人形劇のようなこってりした質感のあるアートワークで、ネズミが妻を探して奔走するステルスアクション。機微を捕らえた繊細なステルスメカニックはなかなかに好みなれど、game preview(アーリーアクセス)中につき、遊びきれていないため、本年度は対象外


シャドウオブモルドール

f:id:nopi:20171224001455p:image

タリオンP、オークをプロデュースします。知る人ぞ知る大佳作ウォーインザノースをはじめ、インサイドストーリーとして幾度となくゲーム化されてきたLotRでありながら、本作については、指輪物語に対するこんなんアプローチもありえたのか・・・!の驚愕のひとこと。ぼくたちわたしたちは伝奇モノがすきすぎる。

加えて、明らかにバットマンアーカムシリーズのガワ替えを狙っただけの作品に見えつつ、その実、プレイしてみればアーカムシリーズの面影を残すのはフリーフローコンバットコンボが繋がってゆくのほんの一瞬(コンバット全体でいうと全然別感触)だけで、それ以外はほぼほぼ独自の感触を獲得している。IPにもベースメカニクスにも譲る気も負ける気などさらさらないという作り手たちの野心を強く感じる、非常に志の高い作品。


RiME

f:id:nopi:20171224002151p:image

UEプラットフォーマー最盛期における傑作のひとつである 『Dead Light』 を送り出したスペインディベロッパ、Tequila Worksの作品。堅実で手堅いパズルメカニックに載せて語られるのは、陽光鮮やかなイベリア風のエキゾチックな大地を舞台(代えがたい!)とした不思議な冒険。赤尾の子犬に導かれた少年の物語は、その異国上慮漂う不思議な世界と少年自身の数奇な運命をめぐるものであり、怒涛にすぎる後半の巻きと驚愕のラストは、たっぷりとした余韻を残す。Tequila Worksにはゲームにおいて語りうる物語があり、語りを成す最適なメカニックを選択し実装する確かなエンジニアリングがあることを再度証明してみせた傑作。


SUPERHOT

f:id:nopi:20171224002127p:image

お前が止まるとき世界は止まり、お前が動くとき世界もまた動く。クイックタイム、位相差フィールド、あるいはV.A.T.S.。アイディア自体は幾億もの物語の中で(様々な呼び名で)さんざん使いまわされてきた時間を制御する能力を、斬新にすぎるメカニックを前衛にすぎるアートワークで包んだ挑戦作。アクションゲームとして捉えているうちは、いくら時間を止められるとはいえ一対多の戦いの中で瞬く間に詰んでゆくが、敵の現れ方、攻撃の仕方を見切り、対策を練ってゆくなかで、自然と詰め将棋的なパズルゲーム的な解法としてプレイが立ち現われ、やがては武術の体捌きそのものの動きになってゆくデザインは驚愕の一言。


Conan Exiles

f:id:nopi:20171224002118p:image

かつて何度もビデオゲーム化されてきたロバート・E・ハワード原作の『英雄コナン』。今回はオープンワールドかつマルチプレイかつクラフトゲー。そう、新しいコナンは、ヒュペルボレアのガワを被ったマインクラフト消耗品、装備品のみならず、各種の壁材やら柱、床や天井、家具や調度品などの装飾品を含めた家屋(いうか屋敷?、いやいや城塞!)の建築まで可能。主人公同様のExiles(咎人ゆえに文明社会から追われた追放者だらけの荒野が舞台)たちを捕らえて調教(!)して奴隷にし、生産拠点や城塞の護りを任せることすら可能。なんとも意欲にあふれた作品ゆえか、すさまじいまでの量と規模のバグと新規コンテンツ公開遅れ、なかなか快適にプレイできるとはいいがたい状況もあり(そもそもgame preview(アーリーアクセス))、本年度はノミネート外させていただきたく。


Cuphead

f:id:nopi:20171224002725p:image

1930年代にぼくたちわたしたちを虜にした懐かしいCupheadが最新テクノロジーでよみがえる。くねくねとよく動くアニメーションも時代故の凶悪な難易度も忠実に再現。往年の興奮を今再び!!て風情で。チューニングチューニングを重ねた絶妙な難易度は圧巻の一言。アートワークやBGMに目を奪われがち(目を奪われる理由も十二分すぎるほどにあるが)だが、Cupheadの偉大さについて忘れてはならないのは、この難易度に対する真摯かつ率直な態度と実装だ。


The long dark ( Story Mode -Wintermute- )

f:id:nopi:20171224002658p:image

夏にストーリーモードが実装され、それにともないgame preview(アーリーアクセス)から正式版に格上げされたことを機会に再プレイ(よって別ゲー扱いとする)。サンドボックスモードにあった、極寒のサバイバルを通じて手探りで世界認識を広げてゆく魔法のような体験は、この世の終わりのアダムとイブの物語においても、かろうじて健在。こと、シーズン1について、主人公ウィルマッケンジーが極寒と極限状態の中で繰り広げる一人芝居として捉えることもできるほどの神話的な寓意性に満ち溢れ、その高難易度をものともせずに飽きさせない。対してシーズン2については、古典的なお使いクエストスクリプトめいた白ける演出、ひたすらに釈然としない物語(そもそもシーズン2で語られるべき物語について、最後の最後を除いて、マッケンジーとアストリッドに関連するものは無かったのでは?)展開と、非常に落胆すべき出来合い。シーズン2において突如頻出するくそみたいなバグの数々は、わかったような曖昧な笑みで回避することもできるが、そもそもの土台となるべきプロット脚本が残念では、脳内弁護にも限界がある。シーズン3以降の挽回に非常に非常に期待したい。

GOTY2017

RiMEに贈りたい。物の語りの衝撃、という意味においては本年度ダントツのNO1だった。アートワークメカニックなどの連携にも優れ、減点らしき点がいくつかのレベルにおける場違いな冗長さ(ただしほんの僅かの間)のみ。日本語化もされ(文章ほぼないけど)、現行全プラットフォームに展開(Switch版も年末にリリースされた)されているため、ぜひとも皆さまとおすすめしたいタイトル

惜しくもGotYを逃した競合たちについて、もう少し。


ウォッチドック

DLCについて、XBOXでのリリースが遅いうえに、さらにシーズンパス保持者先行ということもあり、まったく時期を逃した感が、最後の最後で大きく減点。こういう飛ぶ鳥跡を濁しすぎな真似は、金輪際止めにしてほしい(本編には非の打ちどころがなかっただけになおさら)。


バナーサーガ2、Styx、シャドウオブモルドール

シリーズとして語りたいところもあり、ある意味受賞のペンディング

ESO

例年通り、ベセスダゲーはGotYの規格外

マインクラフト

これをGotYとすることに、つよいつよい抵抗を感じる。ベセスダゲーとはまた違った種類の規格外感を感じる。

SUPERHOT

物の語りのインパクトにおいて、ほんのわずかにRiMEに及ばなかった。


来年???

RDR2がド本命なのは揺るがない印象。年度末にUBIがファークライ5、ザクルー2といきなり攻勢をしかけてくる。来年も気を抜けない。

2016-05-17

[]skyrimリプレイスカイリム異聞手記〜その10”竜の血脈10

f:id:nopi:20160207211602j:image

扉を開けると、涼しい風と鮮やかな朝日が飛び込んできた。クリーム色に染まる広葉樹の葉の上で光が踊り、眼前にそびえ立つハイフロスガーは陽光を受けて銀色に光り輝いている。

紅葉に色付くイヴァルシュタッドは、予想だにしなかった光景を、わたしに見せてくれた。イヴァルシュタッド自体は、リバーウッドを彷彿とさせるスカイリム典型的地方都市だ。基礎のみ石造りの木造の家々が立ち並び、人々は林業農業に就いている。イヴァルシュタッドはハイフロスガーの入り口ということもあり、宿屋は大型で、イヴァルシュタッド内外の人々でにぎわっていた。

ここで少し、スカイリム地方宿屋について記す。

リバーウッド、ホワイトラン、そしてイヴァルシュタッドと巡ってきたが、スカイリム地方宿屋は非常に似通った点が多い。そのひとつに、宿屋の中心となるホールには、非常に巨大な囲炉裏が設えられている点が挙げられる。囲炉裏の大きさは大人用のベッドが、二つ三つ入ってしまうほど大きく、基礎と一体化した頑丈な石造りとなっている。囲炉裏では、巨大な鍋に入ったスープが温められ、あるいは鉄杭に差したシカ肉、キジ肉が炙られている。囲炉裏を取り囲むようにして、テーブル椅子は配置されている。たいていの囲炉裏ホールの中心に設えられているため、宿屋全体を隈無く暖めることができる。

いうまでもないが、スカイリムはどこに行っても寒い。そんな寒さの中を旅してきたわたしたちにとって、この囲炉裏がどう映るのか、想像に難くはないだろう。スカイリム地方における宿屋役割は、まずはこの囲炉裏なのだ

グレイビヤードに呼ばれたイブンは、一路ハイフロスガーに向かっていた。大陸一高い山である世界のノドを冠するハイフロスガー山系は、スカイリム地方のほぼ真ん中に位置している。絶壁を抱く西、および北斜面、そしてジェラード山脈に連なる南斜面には、いずれも登山経路は無い。唯一、東斜面のみがハイフロスガーに登るルート確立されている。そのルートハイフロスガーの七千階段と呼ばれる過酷ルートだ。

一歩進むごとに息が切れる。視界の縁は白く塞がれ、意識の汚濁も感じる。疲労だけが原因ではなさそうだ。ハイフロスガーの高所には、なにかわたしたちを拒絶する力が働いているようにもおもえる。膝に手を突き、息を整える。

リディアは、わたしより少しマシな程度で、やはり原因不明の疲労感に襲われているようだった。少し前までは、歩みの遅いわたしを先導するかのように先行していたリディアは、しかしいつの間にかわたしたちの歩幅はほぼ同じとなり、いまでは私と同じように、一歩進む度に深い息を付いている。

辺りは雪と空しかなかった。降雪こそ多く思えたが、積雪はそれほどでもない。風が強く、降り積もる前に吹き飛ばされてしまうのだ。積雪の少なさによる足元の確かさには救われたが、時折吹く突風は、雪だけではなくわたしたちをも吹き飛ばしそうな勢いがあった。姿勢を低くしつつ、一歩、また一歩と進んでゆく。

七千階段

ハイフロスガー山頂に至る長大山道を、スカイリムの人々はそう呼ぶ。実際に階段はある。だがそれは、かろうじて階段の原型をとどめた石の連なりにすぎなかった。記憶言葉も届かぬ古に築かれ、この荒れ狂う気候のなか、数千年に及ぶ歴史を刻んできた階段だ。それは階段としての機能はほぼ失われ、ハイフロスガーへの道しるべとしてのみ、存在していた。

階段にそって、山道は急激な起伏を伴って続いていた。世界のノドを、幾重にも取り巻き、遥かなる高みを目指すこの世でもっとも長い階段

やがて階段は回廊に変わった。回廊の果てに、黒い建物が見える。私たちの足取りに力が戻る。

崖に沿って広がる雪の道を歩いて行くと、建物輪郭がはっきりしてきた。

黒い石で出来たレンガを積み上げた、直線を多様した重厚な印象を与える建物だった。中央の四角い塔を最長とし、両脇に長く連なる構造になっている。

ハイフロスガー。声の道の実践者たる賢者グレイビアードたちが、世俗を離れて修行に勤しむ施設だ。

黒い塔の手前には巡礼者たち向けの祭壇があった。祭壇にはいくつもの捧げ物があった。私たち巡礼者ではないし、そもそも呼んだのはグレイビアードたちだった。

私たちは塔の脇にある扉をあけ、ハイフロスガーに入っていった。

建物の中は、薄暗く、そして静かだった。石造りの回廊を進んでいくと、やがて広間に出た。広間には黒いローブを着た男たちがいた。男たちは目深にフードを被っており表情は窺えないが、突然のわたしの来訪に驚いた様子はない。男たちの中のひとりが歩みでて、言った。

「よくぞ参られた、ドラゴンボーン

男はアーンゲールと名乗った。フードから覗く顔は髭に覆われている。グレイビアードたちのまとめ役だが、リーダーというわけではなさそうだ。

グレイビアードたちは私の叫びを聞いたといった。叫びとは?という私の問いに、アーンゲールはそれはシャウトである、と答えた。

シャウトこそが、彼らが実践する声の道の中核を為すものだ。適切な呼吸法発声により、大気に満ちるキナレスの力を現顕せしめるという。

ドラゴンの咆哮を聞いたことがあるだろう。あれこそがシャウトだ。ドラゴンの吐く炎の息も、彼らの天を駆る翼が発する揚力も、すべてはシャウトの力だ」

魔法みたいなもの、ということでしょうか?」

「この世への現れ方は。だが、魔法はこのニルンの外なる力の現れであるのに対し、シャウトはこの世界そのものの力の現れだ。我らはシャウトを通じて、この世界、すなわち母なるキナレスとの合一を果たすべく、修行を続けている」

わたしは頭を振った。

あなた方の哲学について理解したいと思いますが、ですがなぜ、わたしが呼ばれたのか。その肝心な点についてまず、説明をお願いしたい」

アーンゲールは穏やか答えた。

「今説明したとおりだ、ドラゴンボーン。シャウトとドラゴンは深いつながりをもっている。そしてドラゴンボーンは、シャウトを使えるが故、ドラゴンボーン足りうる」

グレイビアードたちは、シャウトの習得のためにその人生を捧げている。だが、ドラゴンボーンは違う。竜の言葉であるシャウトを、殆ど修練なしで習得する事ができると、グレイビアードたちは言う。その基礎を、イブンはこの場で習得したと思われる。その時のことを綴ったとみられる一節がある。

「ファス!」

わたし叫びがもたらした空気の揺らめきは、シャウトの力の発現ではとうていなく、それは鼻息にすぎなかった。わたしは頭を振る。

「アーンゲール、まるで要領得ません。そして声の力で物を動かすなど、とうてい想像できません」

「声は力だ。それはお前こそが知っているのではないか異邦人イブン。おまえは声の力で、スカイリムハンマーフェルのの友好を果たしにやってきたといっていたではないか

「それは詭弁ではないでしょうか、アーンゲール。私がいう声とは言葉であり、言葉の力意味を知る者同士の間に作用するものです」

アーンゲールは予想に反して大きく頷く。

「その通りだイブン。つまりお前はドラゴン言葉を知らなければならない。ドラゴン言葉意味を知らなければならない。その言葉意味の持つ力は、この世界作用する」

世界に、言い聞かせる。世界を、説得する。

わたし深呼吸した。

わたし意志言葉に代え、声として世界に解き放つ。我が意志を、我が声を、聞けよ世界

「ファス!」

声は青白い衝撃波となり、アーンゲールを襲った。アーンゲールはよろめき、柱に手をついた。わたしは慌ててアーンゲールの元に駆け寄った。わたし差しのばした手を取るアーンゲールは、しかし微笑んでいた。

「そうだ、イブン。それでいい。いまのスォームが“揺るぎなき力”だ」

2016-02-25

[]skyrimリプレイスカイリム異聞手記〜その9”竜の血脈9”

f:id:nopi:20160207211602j:image

舗装された石畳の道が、農村地帯うねりながら続いていた。農村地帯は色彩にこそ乏しかったが、その畑には豊かな実りが数多く生っているのが見て取れた。四方山脈に囲まれたホワイトラン盆地は極めて乾燥しており、おおよそ農業には向かない土地だ。そのなかにあってホワイトラン周辺のこの一帯は、ホワイト川の灌漑により相当な生産力を持つ農園となっていた。交易の中心地という表の顔から想像も付かないホワイトランの隠された一面を垣間見た気分だった。

道はやがて農村地帯を抜け、ホワイト川に掛かる石造りの橋に出た。リバーウッドからホワイトランにくる途中で見かけた橋だ。橋はホワイト川の東岸に続いている。馬車のすれ違いも可能なほど大きく頑丈な、帝国様式石橋だ。

橋を渡ると道は北に転じた。左手ホワイト川を、右手ハイフロスガーの絶壁を見ながら緩やかな上り坂をすすむと、しばらくして絶壁は切り立った山へ、そして急峻な丘陵へとかわっていった。

リディアは、道を外れない方が良いと言う。

「近くに山賊のねぐらがあるらしいんです、従士どの。いくつかの商隊や旅人たちが襲われています」

首長バルグルーフも言っていたな。商隊護衛に衛士をとられていると。ねぐらを抑えるわけにはいかないのか?」

「巧みに隠されているんです。ねぐらを探している手間で、また別の商隊が襲われています。いたちごっこですよ」

第四紀201年、スカイリム治安は確実に悪化していた。大戦による人員不足に加え、高まる内乱の予感に全ての要塞は通常兵力を増加させていた。勢い、治安能力は低下していた。ホワイトラン方面に限っていえば、帝国の主要な拠点の一つであるヘルゲン要塞の陥落が、治安悪化の大きな要因となっていた。

そんな、乱れ始めたスカイリム地方に、イブンは旅立っていった。ホワイトラン衛士リディアを連れて。

いくつかの功績により、ホワイトラン従士に任命されたイブンは、従者としてリディアを率いることを許された。ホワイトランの記録では、確かにこの年、何十年かぶりに従士の任命が行われている。だがそこにはイブンの名はない。

しかし、ホワイトラン衛士リディアという人物は実在確認されている。若くしてホワイトラン衛士となり、十年以上に渡ってその職務を全うしたのち、従者としてホワイトラン従士に仕えたという記録が残されている。リディアは当代のホワイトラン衛士のなかでも最高の手練れの一人であり、剣も弓も盾も、すべてをバランスよく扱えたのことだ。身を守る術に欠いていたイブンにとって、これほど力強い味方はいなかったことだろう。

バルグルーフによるイブンの従士の任命、及び従者リディアについては、諸説ある。もっとも有名なものは、ドラゴンボールのお目付役だ。

イブンが、本当にドラゴンボーンであった場合、その存在スカイリムにとって、二重に三重意味を持つことになる。ドラゴンボーンの本当の仕事である竜殺しは、ただの害獣退治で終わることは無い。古来より予言された英雄が帰還し、同じく古来よりの宿敵である竜を退治するのだ。それも、このスカイリムの乱れた時代にあって。バルグルーフは、ドラゴンボーンが持つ政治的危険性についていち早く見抜き、先手を打ったのだ、とする説である。だが、イブンの手記で描かれる、ドラゴンボーンのお目付役であるリディアは、そのようなそぶりを見せることはない。バルグルーフへの定期的な連絡も、あるいは旅先からホワイトランに戻った時であってさえ、連絡をとっている形跡はない。無論、彼女自身政治的に立ち回っている様子もない。ただひたすらに、従者として従士の剣となり盾となり、イブンを守り続けている。

道は右手、すなわち東側へと大きく曲がった。左手眼下に見えるホワイト川は、ずいぶんと下方にある。ハイフロスガーの北斜面は、急峻な西のそれと異なり、ずいぶんと緩やかに見えた。リディアによれば、その丘陵地帯も途中までのことで、その先は登る事が出来ない絶壁に通じているという。

「大回りになりますが、結局はイヴァルシュタッドへ行くのが、一番の近道なんです。ハイフロスガーの入り口イヴァルシュタッド。これは間違いのないことです」

わたしたちはイヴァルシュタッドを目指していた。ハイフロスガーに登るためだ。ホワイトランからイヴァルシュタッドへの道は二種類。途中を遮るハイフロスガー山系を、北から回るのか、南から回るのかの違いだ。南側ルートは壊滅したヘルゲン要塞を経由することになる。ヘルゲンがどうなったのか気になるところではあるが、北側ルートを選ぶことにした。北側ルートは途中までホワイト川に沿って進むことになる。ブラックウォーター川との分岐まで来たら、今度はブラックウォーター川の遡行になる。ハイフロスガーを半周する、長いルートだ。

ブラックウォーター川との分岐あたりまでくると、もはやホワイトラン盆地乾燥した気候はなりを潜め、鬱蒼と生い茂った緑に取って代わった。豊かな水源とハイフロスガーによって遮られて籠もった空気が、豊かな植生を育てていた。それはわたしハンマーフェルから初めてスカイリム地方に入ったときにみた、ファルクリース地方の植生とは些か異なっていた。ファルクリースの緑は、乾いた高原のそれだったが、ハイフロスガー北面の植生は、もっと湿度を持った生々しいそれだった。

道は大きく南に転じた。このあたりの道に勾配はなく、二つの斜面の間を蛇行しながら流れる川に沿って続いていた。

豊かな植生は、わたしにかつて手慰み程度に嗜んだ錬金術への興味を再び起こしていた。旅が長引くようであれば薬は必要となってくるだろう。再び学んでみるのもいいのかもしれない。

わたしのそんな取り留めのない思考は、突然の轟音と共に遮られた。リディアが素早く鯉口を切るのがみえたが、わたしは叫んだ。

「にげろ!」

聞き間違えようがない。その轟音は、ドラゴンの咆哮だった。

かくして、スカイリム全土に渡って、ドラゴン跋扈する恐怖の時代が再び訪れた。ドラゴンは神出鬼没であった。道を、砦を、時にはホワイトランやソリチュードの街中にいたるまで、どこにでも現れ、破壊殺戮の限りを尽くした。むろん街道といえども例外ではない。

我々が血の代償をもって学んだ事柄として、ドラゴンとの戦いにおいて、逃げ場のない場所、すなわち谷間などの狭隘な地形は避けるべき、ということがある。ドラゴンの本当の恐ろしさは、そのブレスではない。ハヤブサの機動性とカワセミ運動性を併せ持つ、その飛翔能力にある。この飛翔能力とブレスの組み合わせこそが、ドラゴンの本当の恐ろしさである

わたしたちは倒れ込むようにして道の脇の木立に逃げ込んだ。ドラゴンの炎が石畳を舐めたのはその直後だった。火は瞬く間に木立にも引火した。わたしたちは火から逃れるように木立の中を駆け出した。足場も視界も悪いが、逆に言えばドラゴンからも見えにくいということでもある。街道に出れば一瞬で焼かれてしまうだろう。

「従士どの!!」

リディアが指差す方向に、山の斜面を登る石の階段があるのが見えた。階段の先はは曲がりくねって視界からは見えない。それでも、あの階段を登ればある程度の高度は稼げるだろう。飛翔するドラゴンと戦うためには高さが必要だ。

わたしたちは木立を飛び出し、石の階段を駆け上った。急な階段だった。あっという間に息が切れる。視界の隅にドラゴンの黒い影が過ぎる。焼かれる、そう思うと同時にわたしは炎に包まれていた。

ドラゴンが飛去るのが見える。しかし、わたし燃えていなかった。リディアだ。盾を構えたリディアが、わたしドラゴンの間に割って入ったのだ。ドラゴンの炎はリディアの盾と、盾によって隠れきれなかった手足を酷く焼いていた。わたしの体の奥底が熱く燃える。全身に力が漲ってくるのを感じる。わたしは、まだ焼けくすぶるリディアを抱えると、階段を駆け上っていった。

アリクル砂漠に住むレッドガードたちは、その過酷な生活環境を生き抜くため、奇妙な特性を発達させているという。曰わく、一時的にその体力を爆発的に解放させるというものだ。それによってかれらは常時からは考えられない底力を発揮するという。この場においてイブンが発揮したのも、そういった力だったのかもしれない。

リディアを抱き抱えたまま、石造りの門をくぐる。その直後に、炎は襲ってきた。炎は遺跡の周囲の草むらを焼き、遺跡そのものをも舐めた。だが遺跡は、それすら耐え抜いた。

わたしリディア遺跡の奥まで引きずり、回復魔法を唱えた。回復魔法宮廷の児戯めいた遊びで会得していたものだが、スカイリムでは生死を分けるほどに重要だ。ドラゴンが降下してくるまで、それほど間はない。

「・・・カイネにかけて・・・!」

予想外の声に、わたし魔法が中断されかかる。わたしたちが逃げ込んだ遺跡に、わたしたち以外の誰かがいた。それはノルドの男だった。男は使い込まれた皮鎧を纏い、身の丈ほどもある長剣を背負っている。山賊らしい格好だが、山賊ほどの不衛生さはない。男は突然の来訪者であるわたしたちと、そしてもちろん、ドラゴンの出現に驚いているようだった。

男のその様子を見て、わたしはこの男が山賊ではないと確信した。すくなくとも、わたしたちやドラゴンの正体を掴んでから対応を決めようとしている。わたしは手短に顛末説明した。

「話は判った。おれはゴルディール。見てのとおり、剣と盾なら扱える。あれを倒すんだな?」

「そうだ。この高度なら、弓も十二分に届く。わたしリディアドラゴンを落とすので、トドメを頼む」

このエピソードには、じつは後日談があるらしい。このエピソード場所について、前後の行程よりおそらくヒルグラントの墓あたりだろうと推測されている。ヒルグラント家には、ゴルディールという青年が残した手記が伝わっている。その手記によると、彼が先祖霊廟を奪い返すために墓に行ったところ、旅人ドラゴンに遭遇したという。彼は旅人と共にドラゴンを討伐し、意気投合してヒルグラントの墓にまで同行したという。この手記の真実性については、いまだ検証されていないが、イブンの記述との一致性については、十分に留意必要だ。