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2009-01-18

[] Welcome to this Crazy Time!(7)「僕と失われた首都

Fallout 3(フォールアウト 3)【CEROレーティング「Z」】

Fallout 3(フォールアウト 3)【CEROレーティング「Z」】


僕の名前トム・バロウズ

みんなは僕の事をタフボーイとよぶ。

これは僕の個人的な手記だ。


河を渡ると風景が一変した。

それまではこげ茶色の不毛な岩山が続くだけの荒野だったが、橋の東側には死に絶えたかつての巨大都市の亡骸が広がっていた。アスファルトで舗装された片側4車線にも及ぶ巨大な道路は至る所に瓦礫や廃車、バリケードの跡があり、その機能を完全に喪失していた。道路の両側に面したビル郡も半分以上が崩れたり、爆発でその一部が無くなっていたりしている。人の届く高さにある窓という窓は補強され、中に進入する事は出来そうにない。もっとも、短い期間とはいえウェイストランド旅行してきた僕にとって、閉ざされたビルの中はビルの外以上の地獄絵図である事は容易に想像できた。

Vaultに残された戦前写真で、僕はかっての”首都”の姿は知っていた。そこに数百万人にも及ぶ人々が生活していた事も知っていた。その末路が今、僕の目の前に広がっている。僕は半ば呆然とした面持ちでそれを見つめていた。いったいなんだって父さんは、こんなところに入っていったのだろうか。


しかし、死に絶えた街は無人では無かった。

まず遭遇したのは、見たことの無いプロテクターを装備した兵士(?)だった。兵士はよりによってプロテクトロンを連れていた。そして僕を見るなり発砲してきた。あわててビルの影に隠れる。僕をレイダーか何かと勘違いしているのだろうか。兵士は廃車の陰からこちらに散発的に銃撃を行っている。プロテクトロンを前に出されると非常に厄介なことになりそうだった。誤解を説いている暇はなさそうだ。

僕は廃車目掛けてグレネードを投擲した。廃車にガソリンが残っている可能性は高くないが、誘爆を狙えればと思っての行動だったが、その結果は予想外のものだった。

グレネードの爆発と、ほとんど間髪を居れずに廃車が大爆発を起こした。5mほどのクレーター状の穴を穿ち、周囲のビルを崩壊させるほどの大爆発だった。ビルの陰になっていたおかげで辛うじて爆風に巻き込まれずにすんだ僕は、立ち上るきのこ雲を呆然と眺めた。それは紛れも無く核爆発だった。どうやら戦前の車には、核反応炉が積まれていたらしい・・・。

当然のことながら兵士とプロテクトロンは絶命していた。兵士の遺体を調べてみると、タロス社というところの傭兵らしい。当時の僕はタロス社がどういうものであるか知らないかったし、ましてや”傭兵”という仕事がどういうものなのかさえ知りはしなかったが、その社名に不吉な何かを感じた。その装備の充実ぶりが、僕の不安を増大させる。

とはいえ、この兵士が使っていたプロテクターはその後しばらくの間、僕の命を守ることになった。


廃墟を行く僕が次に遭遇したのは、緑色の肌を持つ巨人だった。2mを優に超える巨体をもち、まるでマンガの中から飛び出てきたモンスターのような醜悪な顔を持つ彼らは、非常に好戦的だった。

僕が彼らを見つけたとき、彼らはレイダーの一団と戦闘中だった。迂回しようにも、倒れたビルで道はふさがっており、何か抜け道は無いかと僕が探してる間に早々とレイダーとの戦闘を終えた彼らは、続いて僕に襲い掛かって来た。その巨体にも関わらず、彼らの動きはすばやく、そして銃器を巧みに扱う器用ささえも兼ね備えていた。

何にもまして非常にタフだった。レイダーなら泣き喚いて逃げ出すような傷を負っても、痛そうな顔ひとつせずに果敢に反撃してくるのだ。 僕は心の底から恐怖した。

この時まで、僕はV.A.T.S.を使う場合、当て易い手足や胴体を狙う事が多かった。レイダーたちであれば、それだけで逃げ出す者もいたのだ。しかし、この緑色の巨人はまったく違った。いうなれば、僕との殺し合いを、楽しんでいる節さえ見受けられたんだ。巨人の使う武器が、軍用ではなく狩猟用のライフルであり、僕は高性能のボディアーマーを着ていたからこそまだ生きていたが、その好条件が無ければとっくに死んでいただろう。僕は先ほどの傭兵から奪った、軍用レーザーライフルを取り出した。初めて扱うが、操作法はレーザートーチと大差無い。

V.A.T.S.を発動。巨人の動きも、巨人が放った弾丸もが止まって見える。幾つかの弾が僕に命中しそうだったが、それを無視し、巨人の頭部に意識を集中する。

赤い光の三度煌く。初撃こそアスファルトに穴を開けただけだったが、残り二発が巨人の頭部に命中。すさまじい高温により、巨人の頭部は一瞬にして蒸発した。巨人が死んだ後も、僕はなかなかライフルを降ろせなかった。


Pip-Boyによれば、緑色の巨人は「スーパーミュータント」と呼ばれているらしい。これもまた、父さんかジョナス入力した情報だと思う。二人は地上に出る前から、ある程度、地上のことを知っていたんじゃないかと、そのころの僕は思い始めていた。

「あるいは・・・既に何度か地上に出ていた、か。そうでもなければ説明のつかないことが多すぎる・・・」

そしてその予想は、僕の旅路がより困難なものになる事の予想でもあった。父さんと僕とでは、この地上で生きていく能力も知恵も差がありすぎる。

それでも僕は父さんを探さなければいけない。ジョナスが死に、アマダが疑われ、僕がこの手を血で濡らす事、それらのことに意味があるのかを、父さんに問う為にも。


廃墟での旅は既に三日になろうとしていた。幾度と無く武装勢力と接触し、その都度(偶然かもしれないが)切り抜けてきた。見たところ、レイダーミュータント、謎の軍事組織(タロン社等)の三種類の武装勢力が、それぞれのテリトリや物資貯蔵庫を巡って争っているように思えた。

僕は彼らの戦闘を巧みに利用し、戦闘を回避し、あるいは最小限の戦闘で勝利しつつ、その装備を整えていった。

三日目の夕方ごろ、ついに目的地であるG.N.R. ビルの裏手まで来た。そして僕は呪い言葉を吐かざるを得なかった。この一体のビルの崩壊ぶりはすさまじく、その半数以上が原型を留めていなかった。そればかりが地面が陥没し、地下鉄構造体に地上施設が食い込んでいた。つまり、道は事実上、ここをもって袋小路となっていた。瓦礫の山の登山に挑戦したが、自殺行為である事を悟るには一度で十分だった。あまりの安定性が悪く、下手な足場に体重を乗せれば、瓦礫の雪崩が起こるのは目に見えていた。

「・・・地下鉄・・・?」

僕ははっと気づき、あたりを探し始める。既に太陽は沈みかけていた。Pip-Boyの照明機能を使い、瓦礫の山を駆けずり回り、ついに発見した。それは地下鉄構内への入り口だった。Vaultにも地下鉄はあった(全てが地下にあるのに地下鉄とはどういうことか)。地上は瓦礫で埋もれていたとしても、地下鉄の坑道はまだ歩けるかもしれない。僕は軽い休憩を取ると、地下鉄に入っていった。


メガトン居酒屋、モリアティの酒場バーテンであるゴブ言葉を思い出す。フェラルグールだ。ゴブいわく、グールとは放射能により突然変異した人類で、強靭な耐放射能能力を有している。しかし、彼らの中にも極度の被爆のためにメンタリティ破壊され、理性を失ったものも居るという。彼らをフェラルグールと呼ぶ。フェラルグールは主に地下坑道等に隠れ潜んでいるという。

その話を聞いた時は恐ろしさに夜も眠れなかったが、フェラルグールの巣窟であろう地下鉄に乗り込もうとする今、ゴブには感謝でいっぱいだった。

そして地下にはフェラルグールがいっぱいだった。ゴブにあらかじめ聞いていなければ、今頃は彼らの夜食になっていたかもしれない。僕はV.A.T.S.を発動し、慎重に一体づつ始末していった。暗闇に潜むからといって、暗闇でも目が見えるのかといえばそうでもないらしく、Pip-Boyの動体センサーが有る分、僕のほうが有利だった。

地上での激戦とはうって変わった隠密戦が続いた。大量に買い込んだエネルギーパックの残量も底を尽きかけていた。アマダから貰った10mm拳銃や、レイダーから奪った猟銃さえ持ち出し、地下道を進む。

地下に入った時から方向感覚は失われていた。Pip-Boyも、地上と地下の地図同期機能は持ち合わせていないらしく、今現在の位置が地上でいえばどこにあたるのか、まるで見当もつかなくなっていた。

暗闇の為、時間経過さえ判らなくなって。疲労も極度に蓄積されていた。

途中、駅員室跡らしきものを見つけた。そこにはスーパーウルトラマーケットで見かけたようなメトロタイププロテクトロンメンテナンスポッドもあった。僕はそのロボットハッキングすると見張りとして立たせ、つかの間の休憩をとった。


地下に入って二日目。ようやく地上出口を見つけた。

その出口がG.N.R.ビルに繋がる場所にあるのか、そもそもその出口が地上の何処かさえ判らない状態だ。僕は身をかがめて扉を潜った。

途端に強い光線が目に差し込む。一瞬あわてかけるが、すぐさまそれは朝日だと気づいた。暗闇に慣れた目からは涙があふれてくる。僕は落ち着いて、目が地上の光に慣れるのを待った。

扉から続く階段をゆっくり上り、地上に顔を出す。

少なくともそこはまだ首都廃墟の中のようだ。地上に出たのだから、Pip-Boyでも現在地を確認できるだろうと思った瞬間、見覚えのある光景が僕の目に飛び込んできた。

橋だ。

五日前に僕が渡った橋に、非常によく似た橋があった。そして橋の対岸側には平べったい巨大建造物があった。

「・・・スーパーウルトラマーケット・・・てことは・・・」

Pip-Boyでも自分現在地を確認する。

間違いなかった。

僕は、首都廃墟の中を三日歩き続け、そして地下を二日歩き続け、元の場所に戻ってきたのだ。

再び流れ出した涙は、太陽が原因ではなかった。そしてそれはなかなか止まらなかった。

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