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2013-03-29

[]グロッグナック・ザ・オーク(22) -The Elder Scrolls III-

明らかに不慣れな空中浮遊術者がよろよろと部屋に入ってきたときディヴァイスフレイヤ背中を見せたまま言った。

「ここはコープスの来るところではない。コープスは地下の隔離施設にいけ。妻達が案内してくれるだろう?」

不慣れな空中浮遊者、すなわちグロッグナックは苦戦しながら床に足をついた。足の裏に重力が戻ってくるのを感じる。

「あんたにコープスを治してもらいに来た」

グロッグナック言葉に、ディヴァイスフレイヤはいまだ背中を向けたままめんどくさそうに答えた。

「・・・コープスは治らん。そもそも、治すようなものではない・・・コープスは病などではないのだからな・・・」

コープスが病ではない、という点には同感だ、ディヴァイスフレイヤコープスとはすなわち、ダゴス・ウルの肉体に同化していくことに他ならない。物理的に離れ、分離した存在はいえ、コープスは全てダゴス・ウルであると言っていい」

ディヴァイスフレイヤゆっくりと振り向く。くるぶしまであるローブを羽織り、ぬめったような金属光沢をもつ素材で出来た鎧をその上から装備している。皺だらけの青黒い肌は、明らかにダンマー老人のそれだが、そうはいっても齢1000歳を越えるようには到底見えない。

「・・・コープスがそこまで進行していながら、大した意思力だな。だがそこまで判っていて、なぜここに?ここはコープスを治す場所ではない。隔離する施設だ」

グロッグナック背嚢から巨大な金属製のブーツをとりだし、テーブルの上においた。ディヴァイスフレイアの目が見開かれる。

挨拶が遅れた、ディバイスフレイア。おれの名はグロッグナック。これは手土産だ」

「・・・これを、わしに?・・・どうやら、だいぶわしの事も調べてきたようだな」


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グロッグナックは、魔術氏族テルヴァニに所属する魔道士ディヴァイスフレイアが住むテル・フレイヤにやってきていた。ヴァーデンフェルで、いやこのタムリエル全土で、ただ一人のコープ研究家であり、コープスに罹患したグロッグナック治療出来る可能性をもった唯一の人物だった。テル・フレイヤは、魔術師居城らしく下界とは海を隔てて隔離されており、また複雑に入り組んだ内部にも階段の類いは一切存在しなかった。事前にカイウスから情報を得ていたグロッグナックはレビテーションのポーションを使い、デヴァイス・フレイヤの部屋までたどり着いた。

コープスは治せんぞ。それに、コープスに懸かれば、他の一切の病の心配はなく、寿命も尽きることはない。そうそう悪いものではあるまい?」

デヴァイス・フレイヤ言葉に、グロッグナックは答えた。

「さきほど見せて貰ったあんたの隔離施設には、ずいぶんと多くのコープスがいた。だが肉体こそ不死身かもしれんが、自我はそうではなかった。あれを生きている、とあんたはいうのか?」

「おまえごとき自我がどうしたというのだ?だが・・・そうだな、実は薬はある。コープスを治す為に作った薬が」

デヴァイス・フレイア邪悪な笑みを浮かべる。

「こいつは効く。確実にコープスに効く。なにせ、飲んだら不死身のコープスが死ぬのだからな。これまで、この薬を飲んだコープスは例外なく死んだ。おまえが飲んでも死ぬだろう。だがおまえの言い分では、コープスが進行して自我を失えば、死んだと同じ事なのだろう?ならば飲んでみてはどうだね?」

「・・・あんたほどの魔術師が、ただコープスを殺す為だけの薬を作るとは思えない。一体、何を作ろうとしたんだ?」

「言ったろうが、コープスを治す薬だと。たしかにお前の言うとおり、コープスには負の側面も多い。自我喪失、外見の変異・・・私が作ったのは、こういった負の側面のみ抑止するための薬だ。だが・・・言ってみれば、効き過ぎていると言える。負の側面以外、つまりコープスをコープスたらしてめている不死の肉体すら破壊してしまう・・・」

ディヴァイスフレイアは腕を組み、宙を睨む。

「何が間違っているのか・・・理論上はあっているはずだし、前例もある・・・」

前例?」

「ネレヴァーだよ。古代英雄、ネレヴァーは病に罹らなかったという。彼こそが最初コープスだ。だが彼の容貌が醜かったとか、不死の肉体をもっていたという逸話は残されていない」

「・・・」

デヴァイス・フレイアは机の上に美しい彫刻が施されたガラスの小瓶を置いた。グロッグナックは薬を見つめる。


「飲むのか?ならば条件がある」

グロッグナックは身構える。

「いま、ここで、飲むことだ。薬の効果はすぐに現れる。死ぬにせよ効くにせよ、じっくりと観察したい」

「・・・好きにしろ。飲むぞ」

グロッグナックは小瓶を手にする。グロッグナックの大きな手には小さすぎる瓶だった。太い指先で、しかし器用に蓋をあける。香りはとくになかった。小瓶を揺らすと、透明色の水面がかすかに反射するのが見えた。意を決して一気に飲み干す。

デヴァイス・フレイアが言ったとおり、効果は即座に現れた。手足の先に軽く熱が集まるのを感じたあと、それが一気に全身に広がった。

「・・・ああ!何てことだ・・・効いている・・・効いている・・だと!?

デヴァイス・フレイヤが叫ぶ。グロッグナック自分の掌を見つめる。ウジ虫が急速に干からび腐り果てた皮膚がみるみるうちに再生してゆく。背中から背骨に掛けて垂直方向の力がみなぎり、霧がかっていたような意識が、急速に晴れているのを感じる。

変化は1分と掛からなかった。

「・・・すばらしい・・・手をだしてみたまえ。・・・ 目を見せて。 舌を出して・・・。 ふーむ。 信じられん事だが、本当に効いているようだ・・・。 症状がすべて消えている・・・まるで・・・」

「・・・まるで?」

「まるで、ネレヴァーのようじゃないか・・・」

「・・・」

「無論、病気が治ったわけじゃあない。 そういう効き目の薬ではない。 ただ、症状を消したのだ。 うむ、まったく素晴らしい。 よし、次は末期患者で試してみよう」

グロッグナックを拳を握りしめる。今ならば、緑翡翠の塊でも握り潰せる、そう思うほど力がみなぎっていた。

「あんたの言ったとおり、といったところか」

「・・・コープスの病は、本質的には神秘的なまでに素晴らしいものなのだ。 どのような魔法や魔術でも達成できないほど繊細かつ強大な効能を持っている。 わしはコープスは神があたえたもうた試練にもなり祝福にもなりうると信じている」

「神」

「実際のところはその両方なのだがね。 もちろん、一旦罹ってしまえば、その祝福を感じることなどできやしない。 罹ったが最後、肉体は破壊され自我崩壊する。 しかし、魔術師から見ればやはり、奥が深く素晴らしい謎だ。 一生をかけて解き明かす価値もあるというものだ」

「・・・なんにせよ、助かった。感謝する」

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