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2013-04-02

[]グロッグナック・ザ・オーク(26) -The Elder Scrolls III-

蒼穹に蠢く黒い滲み。長い首から繋がるぬめついた体と巨大な皮膜を持つ翼。レッドマウンテン周辺に生息する怪鳥クリフ・レイカーだ。クリフ・レイカーは不気味な羽ばたきをくり返しつつ、眼下の犠牲者を探し続けている。遥か彼方に二つの人影を認めたその時。

音もなく飛来する二本の矢。矢はそれぞれクリフ・レイカーの左右の眼孔に飛び込んだ。鏃が頭蓋骨を砕き、脳を破壊する。クリフ・レイカーはなにも見えなくなり、そしてなにも考えられなくなった。


彼方の蒼穹に滲みのように見えていたクリフ・レイカーがゆっくりと落下し始めたのをみて、スル・マトゥールは構えていた弓を下ろした。背後からも同じように構えを解く気配が伝わってきた。グロッグナックだ。

アーシラク族長スル・マトゥールとグロッグナックは、アーシラク族のキャンプから半日ほど離れた荒れ地に来ていた。灰色火山灰に覆われた死の大地。アシュランダーたちは、この地で何百年もの間生き延び続けてきた。

「今年のクリフ・レイカーの数は、去年の二倍だ」

スル・マトゥールがグロッグナックに背を向けたまま話し始める。

クリフ・レイカーはブライト産物だ。つまりブライトの回数も去年の二倍ということになる」

声に抑揚はなく、淡々としている。

「そして我が部族では、ブライトの回数と新生児の死亡率は相関関係にある。この冬生まれた子らは、ほとんど春を迎えられないだろう」

クリフ・レイカーの黒い影はもはや見えない。

レッドマウンテンに程近い我々が、ダゴス覚醒の影響をもっとも強く受けているのは確かだ。だがそれも時間の問題だろう。スリーパーズの数は沿岸部都市でも急増していると聴く。やがてヴァーデンフェル全土が、ブライトに見舞われ始まるようになるだろう」

グロッグナックは顔色一つ変えずに聞いている。いや、本当に聞いているのかは分からない。その視線はいまだ蒼穹を向いていた。それでもスル・マトゥールは話を続ける。

「ダゴス・・・第六氏族・・・ブライト・・・そして、ネレヴァリンヴァーデンフェルで生きる以上、誰もがその当事者だ。好む好まざる関係なく」

スル・マトゥールはグロッグナックを見詰める。

グロッグナック。そしておまえは、なにをしようというんだ?」


グロッグナックは、疑正統教義派たちの秘密修道院からアシュランダーたちが失った予言を持ち帰った。巫女である賢母ニバニ・ミーサがそれを解読し、そして言った。

グロッグナックあなたがネレヴァリンである、と。

先祖と星と月が、私たちに確かな道を示してくれました。生まれ変わりはストレンジャー、すなわち異邦より来たりしあなたです」

グロッグナックストレンジャーであり、親も知れず、正確な生まれの日も知れない。だがそれは別にグロッグナックに限ったことではない。だが二つめの予言、「ブライトも老化も彼を傷つけない。肉体の呪いも彼に対しては無力」これは、コープスに打ち勝ったグロッグナックを指し示すことに他ならない、という。

「では第三審判、『洞穴の暗闇をアズラの目が見つめ、月と星を輝かす』は?」

ニバニ・ミーサは一瞬言いよどみ、そして言った。

「この審理は私の管轄する部分ではありません。 ネレヴァリンカルト守護であるスル・マトゥールにお聞きなさい。 彼が第三審理について教えてくれるでしょう」


スル・マトゥールは、ネレヴァリンとしての道を歩むのであれば、戦士としての試練、すなわちカゴラームの古代遺跡より3つの遺物をとってくる試練に打ち勝つ必要がある、と言った。スル・マトゥールに対して、アーシラク族に対して、すでにアーシラク坑道において戦士の証を立てているのでは?とグロッグナックは言ったが、スル・マトゥールはそれ以上の説明を要としなかった。グロッグナックカゴラームの遺跡に赴き、3つの遺物を回収してきた。

アーシラク族の民は熱狂した。誰ともしれぬストレンジャーは、言葉少なげに淡々とネレヴァリンである証を立てていっているように見えた。予言された救世主。救国の英雄アシュランダーの、アーシラク族の未来を救うストレンジャー。

だがスル・マトゥールは、顔色一つ変えずに言った。グロッグナック、狩りをしよう、と。


「おまえは戦士だ、グロッグナックカゴラームの試練を課すまでもなく、アーシラク坑道の戦いで私は確信していた。そしてコープスに打ち勝ち、神殿から失われた知識を得てわれらのもとに戻ってきた。女神アズラの神託など無くとも、ネレヴァリンであろうことは明白だ。だがおまえはグロッグナック、いったい、どこに行こうとしているんだ?つまり

まり、おまえは本当にネレヴァリンなのか?その質問が、スル・マトゥールは出来ずにいた。質問したが最後、いや、グロッグナックがその質問に答えたが最後、すべてが無くなってしまう気がした。

グロッグナックはいまだクリフ・レイカーが堕ちていった空を見つめている。その空の向こうにある何かを。

「・・・グロッグナック、私はネレヴァリンカルトガーディアンであると同時にアーシラク族の族長だ。民の命を守りたい。ロード・ネレヴァーもそれは同じだろうと思う。だが、どのようにして守るのか。どのようにして救うのか」

たとえダゴスが討伐されたとしても、アーシラクの民が、いやヴァーデンフェルが救われることは無いのではないか?

グロッグナックゆっくりとスル・マトゥールに向き直ると、短く言った。

「アズラの洞窟

スル・マトゥールはすべてを胸の奥に飲み込み、再び威厳のある声で言った。

針の穴は吹く風の歯の中

洞窟の口は真珠の肌の中

その扉は夢

その鍵は星

キャンプから3日ほど東進したところに、部族の者達が風の谷と呼ぶ場所があり、そこに奇妙な岩が二つ立っている。まるで地面から生えた針のような岩だ。グロッグナック、おそらくその近くに、アズラの隠された洞窟があるのだろう」

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