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2013-04-05

[]グロッグナック・ザ・オーク(29) -The Elder Scrolls III-

ヴァーデンフェル中央にそびえるレッドマウンテンは、宿敵ドウェマー族が立て籠もった場所であり、裏切り者ゴス・ウルが隠れ潜む場所でもある。有毒な嵐ブライトが常に吹き荒れ、その生態系破壊されている。知性を失った無数の変異コープスたちが跋扈し、人口密集地帯である沿岸部に降り下ろうとしている。

それを食い止めるために建築されたのがゴーストフェンスだった。無数のダンマー英雄たちの亡骸をその礎に備えるその魔法障壁は、レッドマウンテンを取り巻くように張り巡らされている。

ゴーストフェンスには一カ所だけ開口部がある。そこには強固な要塞が築かれており、ゴーストゲートと呼ばれていた。ゴーストゲートは恒常的にコープスやダゴス・ウルの眷族たちの襲撃をうけており、それ故に、ヴァーデンフェル中の腕に覚えのある戦士たちの集う場所となっていた。


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その日、ゴーストゲートは奇妙にして唐突な来客を受けた。

「転生者」にして「勧告者」であるオークグロッグナックだ。グロッグナックの噂はもちろんゴーストゲートにも届いていた。グロッグナックの姿を見るのが始めてではない者すら何人もいた。

恐れを知らぬ戦士たちにとっても、やはりグロッグナック特別に映った。これまでゴーストゲートは防戦一方だった。しかし、グロッグナックヴァーデンフェル連合軍を率いてレッドマウンテンに攻め込むつもりだという。ついに、討って出るのか。ゴーストゲートの戦士たちもまた、その噂を熱狂的に迎えた。

しかし、グロッグナックはたった一人で予告もなくゴーストゲートに現れた。

道案内人も従者すらなく、ただ一人で。


グロッグナックゴーストゲートの施設内を歩いていると、一人の男が話しかけてきた。男はもはや老体と言ってもよい年頃で、帝国軍制服を着ていた。

「私の名はウォルフ。退役した帝国軍人だ。君が・・・グロッグナック、だな?」

グロッグナックは無言で頷いた。

「転生者にして勧告者・・・噂はゴーストゲートまで届いているよ。ネレヴァリンがヴァーデンフェル連合軍を率いてダゴス・ウルを討伐する、とね。だが君は一人で来たようだ。下見かね?それとも偵察?」

グロッグナック曖昧に頷いたが、ウォルフは感心したように言った。

「それは素晴らしい。 私は軍団を退役した身なのだが、これでもあの老齢の皇帝陛下と同じくらい年を重ねていてね」

セプティム朝シロディール帝国皇帝ユリエル・セプティム七世。竜の眷属末裔の中でも特別に強大な予知の力を持ち、グロッグナック存在をいち早く見抜いて、帝国諜報組織ブレイズを通して影響を与え続けてきた人物。

「もはや戦いの場には出れぬ老体だ。だがもしよければ、君の戦いぬこの古いコインを連れて行って貰えないだろうか?」

老人の手には年経たコインが握られていた。グロッグナックは予想外の会話の流れに一瞬戸惑ったが、コインを受け取った。

ありがとうグロッグナック。常に私と共にあり、私に幸運を授けてくれたコインだ。だがもう私には必要無い。 君のように若い人に託すべきなのだろう。 コインも私の役目も。 そして次の世代歴史を担う・・・。 運命を切り開いて・・・。 このコインはこの山で君の力になるだろう。 皇帝陛下帝国の名にかけて。キナレス神が共にあらんことを」

グロッグナックは手のひらの上のコインを見つめた。光沢の失われた使い古された銀貨だった。ヴァーデンフェルでも帝国銀貨は一般的流通しているが、グロッグナックは見たこともないコインだった。

これはいつの頃のコインなのか、と質問しようと顔を上げたとき、そこにウォルフの姿は無かった。


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「扉を開けてくれ」

グロッグナックの、ジェラード山脈の彼方で轟く遠雷の如き深きバリトンゴーストゲート内に響き渡る。ややあって、重たい金属同士が擦れ合う音が聞こえ、ゴーストゲートのレッドマウンテン側を守る巨大な扉が開いた。グロッグナックは扉の外にでた。

扉の外は赤い世界だった。吹き荒れる真紅突風。切り立った崖に挟まれた登り坂が、連なるレッドマウンテンの鋭くとがった峰峰に続いていた。

生命感知の魔法を使うまでもなかった。道の先にはコープスの群れが大挙して蠢いていた。グロッグナックの背後から遠巻きに眺めてた戦士達の緊張が一斉に高まるのを感じた。だがグロッグナックは言った。

「扉を閉じてくれ」

戦士達の緊張が困惑に変わり、そして扉は閉じた。一人でゴーストゲートにきたグロッグナックは、一人でレッドマウンテンに入った。

右腕のライスガードを通じて、残りのカグラナック・ツールの在処をおぼろげに感じる。それは幾つもの峰を、そしてコープスたちを超えたさらに先にあった。

グロッグナックはポーチから刻印が青白く発光する指輪を取り出し、指に嵌めた。地面を軽く蹴ると、グロッグナックの身体は信じられないほど飛び上がった。コープスたちを飛び越え、峰峰を飛び越え、やがてその姿は赤い嵐の中に消えた。

ヴァーデンフェルの民がグロッグナックを目撃したのは、それが最後になった。

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