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2013-04-06

[]グロッグナック・ザ・オーク(30) -The Elder Scrolls III-

その部屋は、それまでの整然としたドウェマー作りの回廊や部屋とは大きく異なっていた。まるで手を入れられていない剥き出しの岩肌からは、牙の様に鋭く尖った岩がいくつも突きだしていた。深鍋を思わせる巨大な燭台に灯る火が、時が止まったかのように静かな部屋の中を薄暗く照らし出している。

部屋の中には奇妙な装束の男がいた。ダンマーのような青黒い肌に、巨怪な黄金の巨大なマスクを被っている。深紅燃え上がる大きな瞳を持つマスクは、しかし奇妙な表情をしていた。怒りか。悲しみか。あるいは、諦めか。

部屋に入ってきたグロッグナックは、手にした黒い刃を持つ幅広の大剣を床に突き刺し、そして言い放った。

「来たぞ、ダゴス・ウル」


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「よくぞ参られた。 月と星に導かれし者、ロード・ネレヴァーよ。このすべての始まりし場所に」

全ての誓いが立てられ、そして破られた場所。ダゴス・ウルが、永劫の時を越えてネレヴァーを待ち続けた場所

グロッグナックはダゴス・ウルの配下が保持していたカグラナック・ツールを回収し、そしてこの場所にやってきた。その右腕には複雑な装置と装甲に覆われた巨大な籠手ライスガードを嵌め、背中にはあり得ないほど大きい鉄塊を抱く槌サンダーが、そして腰には華麗で華奢な細身の刃の小剣キーンを佩いている。その身にまとった古代アシュランダー調の刺繍が施された戦装束と、手にした黒い刃を持つ幅広の大剣は、どちらも返り血に塗れていた。

「御身はついに我が元にやってきた。それは一つの結末を意味する。 我と共にあって欲しいと何度も御身に願った。 そう誓ってくれさえすれば、我はそれを受け入れるつもりだった・・・」

燭台の灯さえ揺るがぬ静けさの中、この部屋の中で数千年ぶりの言葉が発せられた。

ロード・ネレヴァーよ・・・いや、そもそも、御身は誠に我が主の生まれ変わりなのか?」

グロッグナックに対して、何人もの人間が抱いた疑問は、ついにそれを発する真の資格を持つ者の口から発せられた。必然である問いに、必然である答えが返された。

「おれはグロッグナックオークグロッグナックだ。ネレヴァリンでは、ない」



長い沈黙の末、ダゴス・ウルは絞り出すような声で言った。

「なんという・・・なんということだ・・・。我が誓いは・・・御身の誓いは・・・」

そしてダゴス・ウルは再び沈黙した。グロッグナックは言った。

「おれはお前を殺しに来た。お前を殺し、お前を縛り、そしておれを縛る誓いを無きものとするために」

ゴス・ウルは顔を上げ、そして言った。

「・・・我はこの試練をも乗り越える」

ゴス・ウルの声に力強さが戻っていた。

「我は我が力を信ずる。それは自惚れに過ぎぬのかもしれぬ。 だが我は我が言葉に殉ずる。そして、他のすべての死すべき者へと同じように、御身の運命のために嘆きましょう。 御身が死して後、その亡骸を我が涙で濡らしましょう」

グロッグナックは足を入れ替え、柄にかけた手に力を込める。

「・・・されど、もし」

ゴス・ウルが再び口を開く。

「されどもし、今一度、我と共にあってほしいと願ったならば・・・?」

グロッグナックは即答した。

「守れぬ約束はしない」

漆黒の刃が閃き、ダゴス・ウルの左わき腹から右肩にいたるまでを一直線に切断した。



ゴス・ウルの死体は残らなかったが、グロッグナックは驚かなかった。幻覚か偽物か。いずれにせよこの部屋にはローハンの心臓が見あたらず、そしてダゴス・ウルは心臓のある部屋からは出てこない。

グロッグナックは先に続く扉を開いた。

強烈な熱風が吹き付ける。

そこはレッドマウンテンの火口内部だった。遥か眼下に見下ろすマグマが破ぜる禍々しい音を立てている。内側の縁に沿ってキャットウォーク状の張り出しが続き、そこにダゴス・ウルの姿があった。そして、ダゴス・ウルの背後には、宙に吊られた得体の知れない巨大な装置があった。その姿はまるで、火山の奥で磔刑に処せられた聖者のようだった。ドウェマーが作り出した未完の機械神、アクラーム。

「愚かなる者よ! 我こそが神なり!神を殺せると思いしは疑うを知らぬ汚れ無き魂か、途方もない自惚れか」

ゴス・ウルの嘲笑が火口内に木霊する。しかしグロッグナックは顔色一つ変えずに大きく踏み込み、大上段からの一撃を放った。再び閃いた剣先はダゴス・ウルの左肩を捉え、肩甲骨を、そして肋骨を断った。胴体を両断した先ほどの一撃ほどではなかったが、致命傷を負わせるのに十分な手応えがあった。

だが。

「!」

切り裂かれた傷口が、まるで時が巻き戻されたかのように復元してゆく。傷口ばかりではない。飛び散った血飛沫さえも、自らが四散した軌道を覚えていたかのように、傷口に舞い戻って行った。

そしてダゴス・ウルの魔法が炸裂した。グロッグナック回避する間もなく直撃し、炎に包まれた。グロッグナックの両目が真紅に輝く。

グロッグナックは半腰を落としながら、振り下ろした剣先の軌道を、勢いを殺すことなく水平方向に切り替える。そのまま左足をピボットにして一回転。横殴りの一閃が、ダゴス・ウルの膝下を切断した。

だがダゴス・ウルの両足もまた、一瞬のうちに復元し、バランスが崩れることさえ無かった。そして二撃目の魔法が炸裂する。



グロッグナック魔法威力に圧されるようにダゴス・ウルと距離を取った。

戦士化しているため痛みは感じないが、ダゴス・ウルの強力な魔法を二度もまともに食らったグロッグナックの身体は、もはや消し炭寸前だった。次の一撃で即死するか、良くても全戦闘力を喪失する。

グロッグナックは迷わなかった。

グロッグナックは一つの賭けに出た。



とどめの一撃を放たんと呪文詠唱を始めたダゴス・ウルは、グロッグナックが腰溜めに剣を構えて突進してくるのが見えた。

ゴス・ウルにとっては初めてみる攻撃ではあったが、ダゴス・ウルの細胞を受け継いだ無数のコープスたち、かつてグロッグナックに斬り伏せられた者達は、その攻撃を知っていた。突進からの大きな踏み込み突き出しグロッグナックの、その巨躯を生かした長槍の如き一撃だ。

ゴス・ウルはグロッグナックの突進を十分に引きつけてからあざ笑うかのようにステップを組み替えた。

だがグロッグナックの突進は止まらず、踏み込みも無かった。

ゴス・ウルがステップを組み替えたことによる若干の軌道修正は、その突進を妨げるものではなかった。ダゴス・ウルはグロッグナックの真意を悟った。全ては遅かった。

幅広の大剣はダゴス・ウルの心臓を刺し貫き、背中から飛び出した。それでもなおグロッグナックは突進をやめようとはしなかった。身体ごと衝突する。その先は火口だった。

二人はカルデラの宙に舞った。



グロッグナックは全身を貫く激痛で目が覚めた。ゴツゴツとした岩肌の上にうつ伏せに倒れていた。地面は目の前で断ち切られ、その先には灼熱のマグマが渦巻いていた。

熱気から背けるように顔をあげる。マグマの海の中、一本の道がつづいていた。道の先は機械神の足下まで続いていた。

グロッグナックは、ダゴス・ウルとの初撃を交わした時、火口の奥底、マグマの海を過ぎるようにつづくこの道を見いだしていたのだ。だが、この幅30フィートと無い道に落ちることが出来るかどうかは賭けだった。

背後で呻き声。振り向くと、グロッグナックから30フィートほど離れたところにダゴス・ウルがあお向けに倒れていた。その右胸にはグロッグナック大剣が突き刺さっていた。剣先は地面に深々と潜り込み、ダゴス・ウルを岩の回廊に縫い付けていた。

グロッグナックサンダーを支えに立ち上がった。狂戦士化してなお感じる痛み。グロッグナックの身体は限界に達していた。だが、行かなければならない。全身を引きずるようにして進む。一歩。また一歩。

背後のうめき声が高まる。ダゴス・ウルも目覚めたようだ。そして頭上を飛び越え行く無数の火球火球機械神に命中し、その未完成の身体を破壊する。うめき声が叫び声に変わる。ダゴス・ウルを岩の回廊に縫い付けている幅広の大剣は、グロッグナッグの筋力があって初めて振り回せるものであり、容易に抜き取れるものではなかった。また、その不自然な姿勢から放たれる魔法は、狙った場所に当たるとは限らなかった。



グロッグナックは遂に機械神の足下にたどり着いた。そこには、蒸気を上げる奇妙な装置があった。無数のパイプうねりながら走り、そこかしこに備え付けられたピストンが激しく上下している。その中心には、赤く輝く奇妙な岩が備わっていた。

死せる創造神ローハンが、この死を伴う世界創造した自らの罪を悔い、自らうち捨てたと謳われる神の心臓

グロッグナックは両足で地面を踏みしめ、サンダーを振り上げる。そして一撃。

凄まじい衝撃が右腕を、つづいて全身を撃つ。堪えきれずサンダーを取り落としてしまう。サンダーの一撃が、死せる神の心臓活性化させ、凄まじい神的エネルギー放出し始めたのだ。

グロッグナックは続いて震える手でキーンを引き抜く。本来であれば、溢れ出る神的エネルギーを、キーンをつかって吸収する。だがこのキーンを、サンダーによって穿った亀裂に突き刺したら?グロッグナックキーンを振り下ろした。

グロッグナックの一撃は狙い過たず神の心臓に穿たれた亀裂を捉えていたが、目に見えない障壁に阻まれ、大きく弾かれた。死せる神の最期の抵抗か。

グロッグナックキーンを逆手に持ち替える。そして左手心臓を掴み、再び振り下ろす。一撃。二撃。そして、三撃。

心臓は、ついに砕け散った。

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