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2014-04-22

[]イギッタかく語りき(0)-The Elder Scrolls IV- 「監獄から脱出

The Elder Scrolls IV: Oblivion Game of the Year PS3 the Best

The Elder Scrolls IV: Oblivion Game of the Year PS3 the Best

ニベン湾に浮かぶ巨大な島。その島の中央には天を突くような白金の塔が聳え立ち、塔の周りを重厚な造りの城壁が幾重にも取り巻いている。

帝都

古代アイレイド人によって作られたこの都市は、数千年を経た第3紀433年となる現在でも使われており、セプティム朝タムリエル帝国の都となっていた。タムリエル大陸最大の都市であり、名実共に帝国の中心地だ。

深夜。城壁から幾分離れた島の外れ、もう長いこと人も獣も通った形跡を見いだせない、膝丈ほどもある雑草が鬱蒼に生い茂った茂みの奥。

石が擦れあう音が響き、やがて茂みの奥から青黒い顔が現れた。

鋭利な印象をあたえる面長の顔。神経質そうな切れ長の目は赤く、無造作に伸びた髪を後ろで結わえている。非常に険しい表情の中に、隠しきれない怯えが見て取れる。

ダンマーダークエルフともよばれる種族で、モロウィンド地方に数多くては生活している。




ダンマーは髪の毛に絡まった蜘蛛の巣を振り払いながら起き上がる。背は高い。その足下には正円形の石の蓋と、同じ形の石の穴があった。帝都内部に繋がる秘密の抜け穴だ。古代アイレイド人は、帝都にこのような抜け穴を無数に作ったが、今ではその存在は忘れられて久しい。




ダンマー名前はイギッタ。少なくとも本人はそう名乗っていた。モロウィンド地方ヴァーデンフェル島の生まれだが、親は知らない。遊牧民アシュランダー族が沿岸都市を襲撃した際に生まれた、無数の望まれない子等の一人だった。アシュランダーたちからも、大氏族連合の民からも忌み嫌われた彼らは、その存在自体が罪の産物であり、生きてゆくことが罰となっていた。この問題はネレヴァリン動乱以降、急速に増加していたがなんら対処は行われていなかった。トライビューナル神殿が誇っていた高度な社会福祉は、もはや存在はしなかった。

長命エルフたちにとっての成人を迎えた年、イギッタはヴァーデンフェル島を抜け出した。密航だ。戦乱の続くヴァーデンフェル島では密航による島の脱出安全地域への越境が大きなビジネスになっていた。モロウィンド首都モーラホールドに短期間滞在したあと、イギッタを含む密航団体スカイリム地方へ向かった。

スカイリムまでもうあと半日、という国境地帯で、密航団体盗賊たちの襲撃を受けた。道案内人と護衛の姿はなかった。全ては仕組まれていた。

こんなところで死ぬわけにはいかなかった。イギッタは馴れない小剣を懸命に振るい、生来会得の魔法を唱え続けた。ふと気付いたとき、イギッタ以外の密航者はすべて殺されていた。

盗賊たちはイギッタを殺さなかった。イギッタのヒーラーとしての能力を買ったのだ。盗賊団にいたヒーラー無能であり、そのうえそもそも今回の襲撃で、イギッタ自身により殺されていた。イギッタに選択肢は無かった。

イギッタは盗賊団とともに、スカイリム国境、シロディール国境転々とし、密航商人の指示に従って密航者たちを狩り続けた。密航者たちを狩ることについて、罪の意識など感じなかったが、盗賊団自身も密航商人に騙されているのは全く気にくわなかった。それでも、自分能力必要とされているこの状況は、心地よい物だった。それは生まれて初めて感じるものだった。

ある日、密航商人からロディール国境に行くように指令がきた。行ってみると、そこには帝国軍が待ち伏せしていた。

イギッタは迷わず投降した。小剣を投げ捨て、両手を挙げ、自分盗賊団に襲われた元密航者であり協力を余儀なくされていたと叫んだ。盗賊団員たちは口々にイギッタを罵りながら帝国軍に殺されていった。密航者たちを狩り続けた盗賊団といえど、帝国軍団の敵ではなかったし、ヴァーデンフェルの戦乱を生き抜いてきたイギッタはそれを知っていた。そして帝国人は法律の民であり、戦闘を含む正当防衛が成立しない限り、罪は法で裁かれることも、イギッタは知っていた。

戦闘という名の虐殺が終わったとき盗賊団はイギッタだけが生き残った。真っ先に投降し、盗賊団員ではなく密航者であることを主張し続けた謎のダンマーを、帝国軍は殺さず、捕縛した。




イギッタはシロディールに連行された。イギッタの証言により、帝国軍すら欺こうとした密航商人の身元が割れそうになった為だ。より詳しい取り調べの為、帝都に取れて行かれた。イギッタは恩赦を期待したが、しかしいつまで待っても取り調べは始まらなかった。帝都地下の暗い牢屋での待機が続いた。

変化は唐突に起きた。

イギッタが捕らわれていた牢屋の隣に、何者かの訪問があった。牢屋の作りの問題から訪問者の姿を見ることはできなかったが、鎧や衣装のこすれ合う音から牢屋警備員や、帝国軍人ではないことが判った。イギッタは生命感知の魔法を唱えた。訪問者は四人いた。訪問者たちは明らかに牢屋の中に入っていった。そして牢屋の住人(たしかカジートだった)と何事かを話していた。分厚い石壁により話の内容までは聞こえては来ない。会話は長いものではなかった。そして人の気配は一斉に消えた。イギッタは慌てて再び生命感知の魔法を唱えたが、謎の訪問者も隣の牢屋にいたはずのカジートの姿も無かった。牢屋から出てきたならば気がつかないはずは無い。であれば。

イギッタは自らの牢屋の壁を隈無く調査した。積み上げられた一つ一つの石を丹念に見比べていった。色合い、形、凹凸。牢屋内は薄暗く、指先の感触だけが頼りだった。やがてイギッタは目的のものを探し当てた。その石はほかの石に比べ、ほんのわずかに手垢が多く付着し、ほんのわずかに出っ張っていた。角度を変えつつ力を加えていくと、やがて石はゆっくりと押しさがっていった。石見えなくなると、続いて壁全体が動き始めた。大質量の石同士が擦れあっているのに、音はほとんどしない。そして壁の奥に続く通路が現れた。イギッタは牢屋を後にした。




イギッタに先行していたカジートと謎の訪問者たちは待ち伏せ去れていたらしく、激しい戦闘の形跡がそこかしこにに残っていた。イギッタは戦闘に巻き込まれないように、そして道を見失わないように、先行集団との距離を慎重に保った。明かりも使えない闇の中での待機は過酷ものだったが、イギッタは堪えた。

やがて戦闘音が、そして人の気配が途絶えた。イギッタが先に進むと、そこは帝都地下下水だった。下水帝都の地下を抜け、ニベン湾に注いでいた。




イギッタは頭上に瞬く無数の星々を仰ぎ見た。雲は全くなかった。北側には帝都城壁とそそり立つ白金の塔が、その先には雪を頂いたジェラー山脈の雄大なる連なりが見えた。東側にはニベネイ盆地がなだらかにどこまでも続き、南側にはニベン湾の黒い水面が静かにひろがっていた。東側には鬱蒼と生い茂ったグレートフォレストと、その先にコロヴィア高原茶色の頂が続いていた。

緩やかな風が頬をなで、草木を揺らしていた。星明かりと月の光が降り注いでいた。世界は均しくて、そして偏っていた。

イギッタは自分の手首を見つめた。そこには鎖だけ外れた手錠の残害が残っていた。イギッタは一瞬だけ考え、そして手錠をそのままにすることに決めた。

イギッタは夜の闇の中に消えていった。

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