劇場版「空の境界」 俯瞰風景

劇場版、というから、90分以上あるのかな、とか思っていたら、50分くらいの尺だった。
まあ、原作の中の一章を独立した作品にするのなら、こんな尺くらいがちょうどいいのか。
絵も音楽も完成度は高いと思うんだけど……肝心のシナリオが、なんか、根本的なところでネジが外れているような気がする。って、これは、原作を読んだ時の違和感にも重なるわけだけど……この作品がどういう方向性を指向しているのかが、マジわかっていないのよね、わたし。
そもそも、原作読んでからだいぶん月日がたつので、細かいところほとんど忘れていますが。
いや、ごちゃごちゃ細部を飾ってはいるけど、結局は黒桐と式の関係性が中心を貫いている……ということは、了解している。流石に。
でも、そんな古典的なテーマ描くんなら、伝奇的な設定なんざいらなくね?
とか思っちゃうわけだ。
頭が古い上にシンプル好きだから、わたし。
このエピソードではあんまり全面に押し出されてはいないけど、このシリーズ全般の魔法とか魔術関係のロジックも、マジわからん。だから、この「俯瞰風景」における、「浮遊」とか「落下」うんぬんの会話の意味もよーわからん。理解していない。
それでもまあ、完成度の高い絵に音楽がついてばりばり動いて、式が坂本真綾の「男声」でしゃべったりするのを目の当たりにすると、その存在感と説得力に、「細部がわからない」ことなんて些末な問題だよなぁ……とか思いはじめるから始末に悪いのであった。