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ヤサぐれ者の魔窟vs発掘亭日乗越

2014-04-12

nori542014-04-12

【第一回ソロダンサ 振り返って】

〈結果発表〉

 最優秀賞 入手杏奈

 審査員賞 松尾望

 リヤドロ特別賞 河邉こずえ

 

 日本スペイン交流400周年記念のソロダンス・コンペティション『ソロダンサ』。

 セルバンテス文化センター主催。

 2014年4月12日

 http://palabras.jp/2014/第1回ソロダンサフェスティバル2014参加者募集中!/

  http://palabras.jp/2014/フェスティバル・ソロダンサ、ファイナリスト発/

 まずは、日本スペイン国交400年を記念する行事にダンスフォーカスを当ててくれたことを主催のセルバンテス文化センターに感謝したい。ことに最優秀賞はダンスセンターへのレジデンスという、ダンサーの将来につながるもので、俺は大いに意義があると思い、審査員として協力させていただいた。

 告知にご協力いただいた方々、応募してくれたダンサー達、当日駆けつけてくださったお客様にも、心から感謝しております。

 

 主催者のセルバンテス文化センターのアントニオ・ヒル・デ・カラスコ館長の言葉を借りれば「ソロダンサ」は、「日本のコンテンポラリー・ダンススペイン音楽との対話」。

 スペインのことは知っているようで知らない。コンテンポラリー・ダンスでもナチョ・デュアト以外ではほとんど来ていないし(あとラ・フーラ・デルス・バウスとかw)。

 今回の使用曲をみても、やはり似たようなスペイン曲が多かった。さすがにひと味違ったのは鈴木ユキオが使った「エレクトロデュエンデ」など。まだまだテクノやポップやデスなど、いろいろあるはずだ。そういうものを知るきっかけになると良い。

 

 ただ今回は第一回ということもあり、いろいろな不手際があった。募集や告知やファイナリストの発表が短すぎたし、本番では冒頭の小松睦さんの音や照明のミス、何より(気温の変化という説明だったが)、舞台奥のリノを留めていたテープが剥がれて、浮いてしまっていた。

 小松氏の終演後はすぐに補強されたが、この状態で本来のパフォーマンスが出来たとは思えず、オレは小松氏が望むのなら、最後にもう一度上演させてくれるようフェスティバル側に依頼した。彼らはすぐに理解してくれ、エキシビション後だが本来のパフォーマンスをしてもらうことができた。

 

 総評では審査員の黒田育世は、フェスティバルの意義に敬意を表しつつ、運営側の不備の点を涙声で強く批判した。やはりダンサーの側からの強い思いがあったのだと思う。その気持ちは出演者や観客、そして運営側にも強く響いたし、ぜひ今後に活かされなくてはならない。

 

 不手際はあったが、フェスティバルのスタッフは、こちらのアドバイスには「なるほど、そうか」と進んで対応してくれ、「アーティストのためにできるだけのことをしよう」という気持ちは感じられたし、その点はフェスティバルの運営側には感謝している。

 これから様々な改善点をオレからも伝えて、次回(一応ある予定だそう)につなげていきたいと思う。

 

 日本のコンテンポラリー・ダンスは「この身体でしかできない動き」を感じるのが好きだが、意外にソロダンスだけのコンペティションはなかった。

 できればスペイン側でも「日本の曲を使ったスペインダンサーによるソロダンス作品」を作り、日本とスペイン双方でエクスチェンジできたらいいと思う。

 

※のちほど、全作品に関するコメントをアップしますよ。

 

ソロダンサ 全作品コメント】

 日本スペイン交流400周年記念のソロダンス・コンペティション『ソロダンサ』。セルバンテス文化センター主催で2014年4月12日に盛況のうちに幕を閉じた。

 当日、出場者のデータなども配布されなかったようなので、全作品へのコメントを、出演順に載せておきます。

 

 公式発表は以下。使用曲も含めて乗っています。

 http://palabras.jp/2014/ソロダンサ最優秀賞が決まりました!/

f:id:nori54:20140415110700j:image

 

■小松睦 大きな半透明の四角い水のボトルをカートに乗せて引っ張り、自身の身体の前後にも小さいボトルを着け、それぞれ少量の水が入っている。前半はほぼ歩き、中盤から水の揺れる様も動きとして見せながらダンスを作った。

 

■河邉こずえ 恵まれた肢体で、薔薇の花を使い、花の妖艶さと儚さを、曲との親和性も高く表現していた。おそらく途中で花が落ちたのはアクシデントだったと思うが、揺るがず踊りきっていた。ただ作品の展開としては、ラストの花を散らすのも含めてオーソドックスで、もうひとひねり欲しいところ。リヤドロ特別賞。

 

■政岡由衣子 赤く短い上下の他、身体中を赤く塗って、いきなり舞台中央にドーンと飛び込んでくるシーンで観客の心を掴んだ。スペインと赤、というと色々な想像が湧くが、美しいギター曲と強いムーブメントで見せていく様はグイグイきた。強く自分の世界を持っている。

 

■松尾望 赤い傘を肩に背中を向けて前半はほぼ足のみで見せていく。正面を向いてからもしっかりとしたテクニックに支えられた繊細さと、裏腹なほど全身にみなぎるパワーを感じさせ、これからが非常に楽しみだ。審査員賞。

 

■入手杏奈  自分の日常を語るコメントを日本語で流しつつ、最後には意味が混濁してくる。ちょい不気味な笑みも浮かべながら展開するソロは多幸的かつ鬼気迫る異次元のダンス。強烈な存在感は日本語使用も関係なくスペイン人にもアピールした。入手のソロはこれまでも、つねに「もっと行ける」と思わせる力がある人だが、ぜひスペインで突き抜けてきて欲しい。最優秀賞。

■石井則仁 ギリギリの照明の中で浮かび上がる背中のダンスは実に表情豊か。指先を赤く塗り、正面を向いてからもほぼその場で踊りきる様は圧巻だった。ただ三分の二くらい経ったあたりで、不意に緊張が途切れ、考え考え踊っているような印象を受けた。曲はスペインにこんな曲があるのかと思うくらい舞踏にピッタリのものだった(問い合わせ中)

■鈴木ユキオ 鈴木は身体にギリギリの力をいくつも宿すようなソロもあるが、これはまるで空っぽな身体が、風だの光だのの外的な要因でカラカラ動いているような、鈴木にしかできない独特の魅力に満ちたダンスだった。「エレクトロデュエンデ」など、曲の選択もヒネリが利いていた。

■米田沙織 指をくわえたポーズ、『禁じられた遊び』などメジャーな曲をあえて使いながら、長い髪を振り乱し、それも効果的な小道具として使う。身体も利く人だが、演出的に見せる部分と、動きで見せる部分が乖離して見受けられた。

 

■三井聡 指先を使った演出、バレエのテクニックも随所に散りばめられており、かつ身体を柔らかく使うこともできる。という技術的な良さに比べ、自身の動きとしてのキャラクターがまだ出てきていない。表情や演出よりも、動きそのものから滲み出るものを見せるべきでは。

■大渕聡子 金髪で女性ながら、動きがオトコマエである。力のある芯の通った体幹と、なめらかで多彩な腕の動きが魅力的。だが情感のつけかたが類型的で、せっかくのキャラクターがもうひとつ前に出てきておらず、もったいない。もっと爆発できるはず。

■増田明日未 ワイシャツに黒いパンツで前半は身体の内部を練るような動き。後半の動きだしを見ると身体能力は高く、いろいろ考えているのだが、動きによる驚きが少なく、すでに身につけた技術のバリエーションを出ていない感じだ。せっかくの可能性を狭めている。まずは技術を疑うといい。

2014年04月12日のツイート

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