後藤弘茂のWeekly海外ニュース Wiiに逆転されたXbox 360の巻き返し戦略[COLUMN]
ライトゲーマーは基本的に
1世代に1台しかゲーム機は買わない、
というのが通例ですよね。
しかし「Wii」という、
これまでの法則を無視したハードが現れ
かつ大成功したことで、
これが崩れることになるのか、
つまり、ライトゲーマーが
1世代に2台のゲーム機を買うことになるのかどうかは、
任天堂がWiiで
充実したラインナップを供給し続けられるかどうか、
ではないでしょうか。
こうした状況で、MicrosoftがXbox 360活性化のために取った手は何だったのか。
GDCでMicrosoftが発表したのは、『ゲーム配布の民主化(Democratizing Game Distribution)』だ。簡単に言うと「Xbox 360に向けて、アマチュアプログラマが自分たちで作ったゲームをネットワーク経由で配布する手軽な手段を提供すること」となる。今年(2008年)末までに、個人クリエイターがXboxのネットワークサービスであるXbox LIVEを通じて自作ゲームを配布できるようにするという。
これは一見すると地味で、とても強力な一手には見えない。しかし、MicrosoftのXbox戦略全体を見渡すと、これが着実な手で、もしかすると将来のXboxの勝因になるかもしれないことがわかる。なぜなら、Microsoftやソフトウェア業界がこれまで成功してきた、PCのモデルに沿っているからだ。
PCは伝統的に、プラットフォームをオープンにすることで成功を収めてきた。アマチュアを含めたプログラマが、PC向けにさまざまなソフトウェアを開発する。すると、アプリケーションが充実しているためにユーザーが増え、アプリケーションのビジネスがどんどん繁栄する。そこで、さらにアプリケーション開発が促進され、それがユーザーをさらに誘い込む。Microsoftの場合、自社のOSで、こうしたポジティブスパイラルを作り出すことが成功戦略だった。
Microsoftが現在、Xbox 360でやろうとしているのは、閉じたソフトウェア開発が基本だったゲームコンソールに、PCの開かれたソフトウェア開発のモデルを“ある程度まで”持ち込むことだ。それによって、Windowsプラットフォームでの成功をXbox 360で再現する。それが、Microsoftの戦略だと推測できる。
一方のマイクロソフトも手をこまねいているわけではなく、
ゲーム機の準オープン化ともいえるこの施策で、
"ゲームというもの"をもうひとつ上の段階へ
ステップアップさせるつもりなのだとか。
日本の一般人には受け入れられにくいかもしれませんが、
こうした取り組みにより良質なコンテンツが集まることで、
海外では一般の方にも評価されるかもしれませんね。