しあわせな話

「フィーリアル」に出演してくれたうちの1人・小野島由惟ちゃんは、昨年結婚&出産をしました。
今回は息子くんがまだちっちゃいので無理かなーと思いつつでもどうしても出て欲しい!と思い出演依頼しましたらば、いろいろ都合をつけて出演してくれることになりました。旦那さんもご両親もたくさん協力してくださって、我々の知らないところでいろんな人が動いてくれての出演でした。
ちなみにうちが復帰1本目かと思ったら、夏に既に舞台に立ってました。早い!
そういえば小野島は妊娠中もうちの舞台を観に来てくれたのだ。ありがとう。

「ソンデネヴァ!」の主役の1人・カオリさんを演じた孫貞子さんは、2回目にうちの芝居に出てくれた時は妊娠中でした。
発条の芝居と言えば、もう二度と出たくないと思う役者が続出するという過酷な芝居です。何が過酷かってまあ舞台セットづくりとか裏の仕事とかそういう部分なんですけど。
孫さんはそれはそれは根性の据わっている役者ですが、何せ発条です。役者遣いの荒いことに定評のある発条です。
実は私は、ずっと前の話ですが一度妊婦さんと一緒にお芝居を作ったことがあります。そのとき彼女は主演で、その芝居はちょっとしたアクションシーンも想定したものでした。何しろ彼女はプロレスラーだったのです(府川由美さんね)。
2時間ものの芝居の主演。アクション有り。20代で体力気力みなぎってる女子プロレスラー。制作サイドおよび共演者みんな若く、妊娠・出産の経験者ゼロ。
90分ものの芝居。主演じゃないけど出番は多い。アクションは無いが裏がおそらくバッタバタ。40代と思えぬ気力の持ち主。出産経験者はいないけど一応共演者全員いい大人。

過去の経験と照らし合わせようと思ったのですが、演劇であるということと、共に初産であるということ以外ほとんど共通点が無かったため判断がつかず、あとはもうご本人に決めていただくしかないなと思い委ねたところ、OKをもらえたのでした。
孫さんの時も、遡って府川由美さんの時も、旦那さんのご理解・ご協力にはとにかくひたすら感謝しかありません。
だってね…。心配ですよね、それは。そりゃ心配ですよ。
もちろんご本人の決断あってこそなのですけど。周囲の人たちの協力にも本当に感謝なのです。

最近、孫さんの日記にこの妊娠中に出演した芝居の話が書かれてて、もう何というかこみあげてくるものがありましたさ!
本番直前に小野島の息子くんにも孫さんの娘ちゃんにも会えて、今回の公演はそれはもう、なんというか私は内側から湧き上がる幸せに満たされて幕を開けることができましたのさ!
いつもだったら殺伐としてるのに!今回もひどいスケジュールだったのに、ゲネプロが始まってからしばらく私、子供たちのそばでニコニコしてる心の余裕あったもんね!

孫さんもそういえば妊娠中うちの舞台を観に来てくれたのだ。花見卓哉単独ライブなんて観てくれちゃってるのだ。
そもそも娘ちゃんとはお腹の中で共演してるのだなあ。なーんて。
あ、同じ頃に娘ちゃんは孫さんと一緒に江戸川さんの50歳のお誕生日会にも来てくれたっけね!遠いところまで、しかも夜に、どもども!孫さんホントにありがとう…。

子供たちが可愛くて可愛くてしょうがないってことと、あともうひとつ。
結婚しても子供ができても、芝居を観に来てくれたり遊びに来てくれたり舞台に出てくれたり、何かしら関わり続けてくれることが嬉しくてたまらない。
結婚したり出産したり環境が大きく変わったところでハイ終わり、にならないのが嬉しい。周りの協力と本人の努力あってこそで、そこには本当に本当に感謝なのだ。
みんながみんなそうできるわけではないのがわかるから余計に。

私の好きな人たちが幸せで、その幸せを間近で見せてもらえることが幸せだし、私の好きな役者が舞台に立ち続けてくれることが本当に何よりも嬉しいのだ。
あ、ちなみに孫さんももう復帰舞台は既に踏んでるのだ。皆さん復帰が早い!

こういうのって、若い人たちへの希望にもなると思うのだよなあ。
人それぞれだし運や環境もあるのだろうけど。
少なくとも自分の脳みその中だけであれこれ考えて諦めたり天秤にかける必要は無いってこと。
あ、子育て楽しすぎて芝居(とか仕事)への興味が失せちゃったって人もいるけどね。それはそれでわかる。私が勝手に寂しがってるだけで。

とにもかくにも気力と体力のみなぎってる方々のことを尊敬してるし、私は幸せのおすそ分けをもらってるって話なのだ。
私はなんなら、人の幸せを自分の養分にしてるのだな。
こう言うとちょっと怖い。化け物かい。