振り返り・人物と演者のこと③

八割ほど書いて完結してなかったものを今さらながら完結させてみる。振り返り日記、最終回。

 

須々木一朗(編集さん)畑中俊明

須々木が面白くてねえ…稽古の数だけガンガン良くなるの最高に面白い。あー楽しかった。

 

初演でも再演でも「河原先生を追いかける人」ということは変わらず。ただ、関係するキャラクターやら物語の構成が大幅に変わったのに伴い、再演の須々木は「切り口が変われば主人公」という存在に。

そもそも初演の須々木くんは京都に移住しちゃった役者とどうしても一緒に芝居がやりたくてつくった役で、ほんのちょい役だった。砂漠にも来ず最初と最後以外は街をさ迷ってる場面があるだけ。それもワンシーンだけ。

2020年に一度ファンタステカをやろうとした時に、畑中さんを須々木に想定したもののどう扱おうか決めかねていた。その時に書いた仮台本を読み返すとまったくもって影が薄くてキャラクターも薄くてこの先どうなるのか頭が痛いぜという感じだった。河原を追いかける役は絶対的に必要ではあったのだけど、その人を砂漠の場面にはめ込む作業がまるで捗らなかった。

それが昨年の「オーガッタジャ!」を終えてから一変した。候補の台本あれやこれや考えても畑中さんの役のアイディアはスイスイと浮かんできて。あれやって欲しいこれやって欲しい、あの作品ならこの役かな新作ならこんな役かな、ああどれも見たい!と。

そんなわけで現実を生きるしっかりした大人なのに夢見がちで、好きなもののために全て投げうっちゃうような熱血漢というステキな役になった。

役者って、演技力やらなにやら必要なものも大事なものもたくさんあるけど、突き詰めると「本人」が重要なんだなあと。

役者というのはそれまでどう生きてきたかが云々かんぬん、みたいな言葉もあるものね。

 

ここで一旦河原の話。

 

河原撫子(作家先生)伊織夏生

【初演】なんとなく書いた小説がたまたま売れたものの知名度は低い。締切りから逃げている。何も思い浮かばなくて人に八つ当たりしまくるけど追い詰められてひねり出した話を天才的だと須々木に絶賛される。が、やはり書きたくなくて逃げていく。

そんなに書きたくないならやめちまえよ。

この頃は天才的な才能がある人設定が自分的な流行りだったんだろうか。棚ぼた願望強めだったのかな…

 

【再演】書きたくて書きたくてしょうがなくて、でも人間関係が不器用なあまり、聞きたくない言葉や現実からは逃げてしまう人。

 

初演は私が演じた役。でも今回、須々木役を畑中さんがやるならばちゃんとした役者に河原をやって欲しいなあと思って11年ぶりにご出演いかがですかと伊織さんにお声がけした次第。で、ありがたくも伊織さんがやってくれることになった以上は書きたくない作家なんてやらせたくなくて、書きたくて書きたくてしょうがない人にした。しかし締め切り破りじゃないならどうして逃げるのか…聞きたくないことがある?雑誌の廃刊?…と、役者のイメージに引っ張られて膨らんでいったのが河原と須々木と藤袴、三人のものがたり。

いやあ、出演してもらっただけでなく物語の再構成のヒントになってもらいましたよ。得した。

言動は気持ち悪いけどよく見たら美人って感じにしたいんだよね、とオーダーした。だからちゃんと綺麗な顔してね、って。伊織さんはすぐ変な顔したがるので。本番はちゃんと気持ち悪くも可愛かったので良かった。

チエさんの思う「めんどくさい女」と自分が思う「めんどくさい女」に相違があるんですよねって言われてたけど聞き流してたので何が違うのかよくわかってない。

そのまんま、ありのままの伊織でいいんだよと言うと伊織がめんどくさいみたいになっちゃうし。別に伊織はめんどくさくはない。しかしたぶんこのあたりが既に相違点な気もしなくもない。

まあしかしちゃんと面白く可愛く生きてくれたので問題無し。

衣装決めるのにめちゃくちゃ苦労した。綺麗目だけどなんかちょっと変、みたいにしたかったがなかなか見つからず。最終的には私の趣味で決めたけど、上手いことコーディネートしてくれてよく似合ってた。できればそのまま伊織の普段着にして欲しかったくらい。

 

ここで先に藤袴の話をしておく。

 

 

藤袴菊之助(編集長)本多一生

初演には登場しなかった役。藤袴という名の緊張性勃起症候群のサラリーマンがいたけど今回の藤袴とは一切関係無し、名前だけ流用。ちなみに初演の藤袴の役割は、再演では桔梗田と須々木に振り分けられた。

これは単純に、本多さんが他の舞台が既に決まっていて前半あまり稽古に参加できないと聞いて、じゃあ幕間に自由にやってくれる役をやってもらおうかなーっていう安易な発想から。

 

結果、バッチリはまって安心して幕間をお任せできた。お客さまからの評判も良かった。が!もうこういうポジションの役はやらせたくない、やらせない!と決めた!

本多さんにはみんなと絡む役をやって欲しい。たとえ途中参加だろうが変わらずに。こちらの読みが甘くて今回は勿体ないことした。

でもなあ。役どころとしては申しぶんなかった。勿体ないけどやってもらって良かった。ぐぬぬ

ベースの台本を渡したらあとは好きにやってくれた。ネタ的な部分は演者本人がしっくりこないとイマイチになっちゃうものね。なので本多さんのようにガンガン自分でアイディア出してくれる人には自由めな役をやってもらうのが楽しい。シリアスな役もやってもらいたいんだけどなー。贅沢な悩み。

 

さて。

今回この三人は、なかなか全員揃うことがなく。というか意図的にそういうスケジュールのもと台本を書いたので、むしろ「この日は稽古お休みしてください」と私から言うことも多かった。こういうの初めてやったので実はちょい不安だった。20年以上の付き合いの間柄なのに稽古時間は一番少ないという状態。

正直に言うとこの形式にしたのは良くなかったかもしれないとすら思っていた。それが確か劇場入りの一週間くらい前か。

稽古すればするほど関係性が深まっていくのがわかるだけに、もっと充分に稽古時間をとっていれば…と、自分の判断を悔やんだ。

が!

お見事でございました。

何かが足りないということもなく。もうちょっとしたら飽きちゃうかもというギリギリラインくらいで上手いこと本番を迎えたのはホントすごい。

何に飽きるって、芝居に飽きるっていうか。なんていうか。関係性にマンネリを感じるというか。そういうこともあるんですねー。前に一回だけ経験したことある。

 

大学生の須々木と、高校生の河原と、大学のOBの藤袴との場面。そこから25年ほどの付き合いがあったんだよという関係性をしっかりつくってくれました。ナチュラルに。

 

まあ、そんなこんなで役者に助けられ。

私本人としては、しまった!ってことも多いし、うわー腕が鈍ってるなあと思うことも実はあるし、ピンとこないなあとか、なんかもっといいアイディアがある気がする!みたいなこともあるわけだけど。

決して満足することはないのだけど。出来上がってみたらなかなかいい作品に仕上がってるじゃん、となるのは役者の皆さんとスタッフの皆さんのおかげというわけで。

 

最後なんか雑にまとめてしまった。

おしまい。

振り返り・人物と演者のこと②

長すぎたので分割。もうちょい軽めにいこう、軽めに。

 

萩原(ヒーロー)地脇慎也

ザ・ヒーロー!!

初演より更に頭悪く更にわかりにくくなった人。キャラは変わらないけどセリフはだいぶ変更したかも。

 

「ファンタステカを終えて」で、オミナエをやってほしい女優さんがいたから「ファンタステカ」を再演したと書いたけれど、再演するには越えねばならぬ障壁というかけっこう特殊な役があってそれがこの萩原くん。

わかりやすいヒーローなんだけど、これを作為的にやっちゃうとすごくいやらしくなるというか。アテガキだった初演と違って再演でやるにはあまりに難しい。本物のバカには演じられないだろうけどパッと見は本物のバカに見えたいという。そしてもちろん見た目のヒーローっぽさも大事。

そんな奴いねえよと思って初演で演じた子に連絡しようと思ったけど、確か本番が被ってるか何かで断念。

で、加茂克がダメ元でお声掛けしたのが地脇さん。

ここから40行ちょっとにわたって地脇さんのプロフィール写真を初めて観た時の衝撃と興奮と、実際に遭った時に見た煌めきと眩しさに震えたことと、一緒に芝居をつくりはじめてからその芝居の勘の良さとカッコよさと人柄の良さと声の良さと、それ以来これまでどれほど助けてもらったか、表でも裏でもどれだけ働き者であるか、献身的であるか、面倒見が良いか、面白い芝居をつくるために努力を惜しまないか、まっすぐで、人に優しく芝居には厳しく、愉快で穏やかで熱くて魅力的な人なのかを書いたのだけど削除した。下書き保存したのでいつか私がこの世を去る時に「そういえば今まで言わなかったけど…」という前置きで残していこう。

要約しても6行くらいあるな。

 

去年「ファンタステカ」の予定が「オーガッタジャ!」に変わったときは

…いや、この話も割愛。なんだなんだ書けることが全然無いじゃないか。でもほんと賞賛しか出てこなくて。ちょっと文章にすると気持ち悪くて。

本人にも、カッコいい!くらいは言うけど芝居とかについての褒め言葉ってほとんどかけたことないかもしれない。

っていうかさ、芝居がめちゃくちゃいいのにも関わらずまず見た目と人柄が良過ぎて芝居の話に辿り着けないんだよ、なかなか!もうそれどうにかして欲しい!褒めたいのに!

 

簡単に言うと私が今まで漫画でしか見たことないような猛烈にカッコいい理想の人を、現実の世界で演じてくれる人がいるなんてと感動したよって話を書きたかった。

 

ざっくり言うと地脇さんは私にとって、同じ環境で同じように育ってきた人、という感じが強い。実際は年齢が一緒ってだけで、やってきた芝居も環境もまるで違うのだけど。

私が好ましいと思う芝居を身につけている人。私が見たいものを全て自分の抽斗の中に持っている人。自分の身体の使い方を知っているので、きっちり身体でも表現できる人。過剰に演じずとも全てを伝えることができる人。

気が合うということも特に無いんだけど。この歳になって初めて会ったなんて信じられないくらい、それこそずーっと同じものを見て育ったとしか思えないくらいピタッとはまった芝居を見せてくれる。

すごく不思議なのだけど。役者の力量があるってことでは説明がつけられないほど、そういうものとは違うんじゃないかって次元でピタッとくる人って存在するんだなあと。繰り返し言うけどやはり同じ環境で一緒に育ってきたんじゃないかと錯覚してしまう。別に若いころから何年も一緒に芝居してきたからってピタッとハマるとは限らないんだけどね。うーん不思議体験。心地良い。

これ、言わんとしてること伝わるだろうか。

一番近いのは、若いころにお笑いコンビを組んでた相方のなみえちゃん。あの子とも、なんかピタッとハマるなあ不思議だなあって思ってた。彼女とも全然気が合わないというか好みとかも違ったんだけどね。舞台だと合うなって思って心地良かった。

まあなみえちゃんにせよ地脇さんにせよ、求められてるものを出してるだけですよって話なのかもしれないけど。

 

なんの話だっけ。

 

とにかく萩原くんは私にとってもヒーローだし、地脇さんはそのヒーローを現実の存在にしてくれた。ありがとう本当にありがとう。

萩原くんはセリフほんと少なくて後ろの方で好きにしてることが多いんだけど、いつ見てもキュートだった。何もわかってないみたいな顔して、でも人にどう思われようと関係なく、損得無しにみんなのことを…

 

割愛。

 

萩原くんのセリフはほぼ全部気に入ってるんだけど、セリフの無い場面がこれまた全般的に好きだったな。最後に屋上でビール飲みたいけど必死で我慢してるのとか(演出の位置からは死角だったこともあり本人が教えてくれるまで気付かなかったのが悔しい)、みんなの難しい話を理解しようとして一所懸命聞いてるのとか。

あ、そういえば衣装の話。萩原くんにジャージを着せたいけど予算の都合もあって私の着せたい型のジャージが全然いいのが見つからず。衣装探しながら私はなんでこんな世紀のハンサム、稀代のイケメンにこんなクソダサジャージを着せなきゃならないんだと心底憂鬱な気分になったもんよ。

が!いざ手に入れたクソダサジャージを身に着けた地脇さんはそれはそれはカッコ良くて!すげえ、全然イケてるジャージに見える!!!と感動した。

芝居が終わって洗って干したジャージは買った時のままクソダサだったんだけど。すごいな。魔法か。

ちなみに萩原くんをなんで萩原くんと呼ぶかというと、オミナエが萩原のことを萩原くんと呼んでるから。オミナエはたぶん萩原を若い子だと思っているんじゃないかな。実際はオミナエよりも年上で、売れないまま旬も過ぎて、今回テレビのヒーロー役が巡ってきたのも、役者が一人降板して代わりを探すも見つからず、最後の最後にようやく昔の知り合いヅテに萩原を思い出してくれた人がいて話が回ってきたという。それを、「俺ツイてるんだ」と言えちゃう人。とても健気というか切ない人。でも諦めなかったからヒーローになれたんだよね。

撮影の前日に砂漠を延々歩かされて、それなのに人のために水汲んで来ようと思って(萩原的にはみんなで考えた方がいい方法思いつきそうだからって言いそう)。誰にも理解されずボロボロになっても…

そしていざ屋上に戻ってきたら、涼しい顔で「朝から撮影だから帰って台本覚えないと」って笑顔で帰っていく人。

腐らず、まっすぐな人。やべーカッコいい。

愚者でしょうか。それでも最高にカッコイイヒーローに違いないです。

だから!それはもう地脇さんが演じてこそ!って話よ!

言っとくけど!萩原の中身が地脇さんじゃなかったら萩原はここまで萩原じゃなかったよ!!

 

葛見(ヒーローショーの戦闘員)溝端亮

初演は十九歳の子が演じてたので少年っぽさ全開だったけど、その少年っぽさをしっかり演じた二十五歳の溝端くんは偉い。

 

人づての人づてで紹介してもらったのだけど、劇場でその紹介してくださった人にお会いした時の第一声が

「いい役者でしょ!」

だったのがものすごく微笑ましかった。私も心からの言葉で、

「いい役者ですね!」

と答えたよ。

 

葛見くんはものすごくストレートで、ストレートな役ってやっぱりちょっと難しく感じる役者もいると思うのだけど、ものすごくストレートに演じてくれたのが良かった。いやキャスティング最高だってばよ。自画自賛じゃなく役者を褒めてるのよこれは。

書かれたまま、登場人物が言うセリフそのままを信じてやりきるって、戸惑う人もいるのだよね。これでいいのか?みたいに。でもシンプルに考えればそれはとても簡単なことで。溝端くんはシンプルに考えることができる子でした。簡単だったかどうかは別として。

あとやっぱりセリフの無い場面が多くて。これねー、難しいよねー。でも、自分で考えてやり切りましたよ。えらい。

溝端くんの一番いいところは、人の言ったことをシュッと捉える能力が高いところ。

大げさに重く受け止めるでもなく、聞き流すでもなく。自然に聞いて、大事なところを脳に残して素直に練習して身に着けていく。

いやーしんどいよ。若い時にちゃんとそれができていたら私ももっとイイ役者になれたんじゃないだろうか。

 

そうだ、萩原くんの名前って「京成スカイライダー」なんだけど、萩原くんが劇中で歌ってたのってまんまスカイライダーのオープニング曲なんだよね。本人はパクリじゃないですって言ってたけど思い切りパクリじゃん、っていう。

あと、葛見くんの戦闘員の衣装、これは私が迷いに迷った結果スカイライダーに出てくる悪の組織ネオショッカーのアリコマンドという戦闘員に似せたのだけど、なんで迷ったかというと知名度の高いショッカーに比べて胸に何の柄も無くて地味なのよ。ショッカーは骨みたいな白い飾りがあるけどアリコマンドにはそれが無いの。

ただスカイライダーなのだから戦闘員もそれに合わせるべきだろう、誰もわからなかったとしても。と肚を決めて、特徴となるベルトだけは頑張って、ネオショッカーのマークをモチーフに作ったのだけど…

お客様で!それをわかってくれた方がいて!!

ああ、良かった!わかってくれる人がいて良かった!!と。心底嬉しかったのだ。

 

で、葛見くんが「スカイライダーって仮面ライダーいましたよね」のセリフに対して「そうなの??」みたいな反応を見せてたってことは、葛見くんの衣装も萩原くんがデザインしてなんなら萩原くんが作ったのかなあと。そう思うととても可愛らしくて良い。

 

葛見くんの一番好きな場面はなんといっても最後の長台詞。

私は本番中ずっと袖であの場面を見ていたのだけど、毎回涙が出ちゃって困った。むしろ泣きたくて観てるまであった。

袖で自分の芝居観て泣いてる演出家ってどんだけおめでたいんだよって思うけど。あれは溝端くんの芝居が良かったのです。私のセリフは別にフツー。あと萩原くんと葛見くんの関係性をしっかり二人が演じてくれてたからこそよ。

 

 

おかしいな。短くサクッと書くつもりだったのに。

月刊リリカルチームの話はまた後日。今度こそサクッと。軽めに。

振り返り・人物と演者のこと①

登場人物、そしてそれを演じた役者について思ってることなど書いてみる。

初演の時と台本的に変更したところがあればそれも含めて。

 

山上(考古学者) 江戸川良

【初演】秋野を事故に遭わせて責任問題で続けられなくなったけど自分は考古学が好きだからこれからもやるぜ!世間の目なんて知ったことか!みたいに自己完結してた強い人。

【再演】秋野と一緒に発掘した日々が楽しすぎたがゆえにそれを失ってからは気力を無くして…秋野くんは前に進めるみたいだけど私はもうバイトしながら考古学やるような元気残ってなくて無理です…みたいな、ちょっと切ないフツーの人。

 

初演の時は報われない天才考古学者みたいな扱いだった気がする。

再演バージョンはちょっと情けなさすぎるだろうかと躊躇して稽古が進む中でもけっこう迷って、江戸川さんに注文つけてはやっぱり元に戻そうみたいに振り回してしまった。年をとっても元気な人がいる反面、疲れて休みたくなる人も。私自身含めそれはそれはたくさん見ているので現実的ではある。

超人じゃなくてもいいじゃないね。

 

とはいえ江戸川さんは12年ぶりなのに山上のことをよく覚えていて、もともとあった情熱も大事に表現してくれた。今回の台本だけ見ると考古学への思いが薄くなっちゃってた気がするのでありがたい。相変わらず「何も考えず適当にやってるだけです」とか言いやがるのがもはや腹立つレベル。抑えずストレートに感情を出す芝居するの珍しかったな。

あとこれはいつもそうなんだけど、江戸川さんがバリバリにカッコ良いので稽古場で見惚れちゃって困る。ただでさえ芝居がいいのに顔までカッコいい。困る。

困るので照れ隠しに当たりをキツくしてしまって周囲によく窘められた。照れ隠しで役者にキツく当たる演出家ってなんだよ。ギャグか。

砂の底で秋野と2人で語る場面が特に良かった。役者江戸川良が楽しそうで。

 

秋野(山上の助手)今村貴登

【初演】人柄の良い優等生タイプ。神の手を持つ天才。なんだこのキャラ設定。

【再演】特別な才能があると山上は言っているが、それは山上の贔屓目なのかもしれないと思えるような描写に変更。いい子ちゃんタイプでは無くした。

 

初演の時の山上と秋野のキャラは実にいけすかなくて、周囲の人たちそっちのけで2人でいきなり「俺たちだけが理解できる高レベルトーク」を始めるような連中だった。

脚本を直しながらコイツらつまんねー奴だなと思って試しに二人きりの場面で言いたいこと言わせてみて、そのセリフを今村くんが読んだらアラ不思議。びっくりするくらい魅力的で面白くて、これだ!となった。すごく素敵な役になった。

秋野は主人公の相手役の割にセリフも少ないしパーッとアピールする場面も無く、それでいて特別な存在感を出さなきゃいけないので難しい役なのだけど。今村くんは行間を埋めるのもとても上手で、セリフの有る無しに関わらず達者な芝居ができる役者なので助かった。

なのに何故か「達者じゃない芝居をしろ!」と私に要求されたせいで稽古期間いっぱいまでおそらく苦労したと思われる。私がもっと上手い伝え方をすればもうちょいすんなり意思疎通できた気がする。まあいいか。回り道も迷い道も長い目で見れば無駄では無いはず。演出家って勝手だなあ。

ところでこんな小悪魔的なキラキラ秋野くんをやれる小劇場の役者ってなかなか稀有だと思うのですよ。見た目が奇麗でも身に沁みついた薄暗さや貧乏くささが消せなかったりするじゃない?さすがに偏見か。

いや可愛かった。すごく可愛かった。稽古場でも思わず口をついて出たよ、可愛い!って言葉が何度も。本人もわざと可愛く振舞ってくれてたし。いやー可愛かった。お客さんにもその可愛さというか眩しさが伝わったから贔屓目じゃないはず。いや可愛かった。あと個人的に声がとても好き。今まで言われたこと無いって言ってたけど嘘でしょ。

 

実は今村くんは、もともと出る予定では無く急きょ出演依頼したのだ。

若い男性の出演者集めに難航して、時間の迫るなかようやく数が揃ったのだけど。

そのタイミングでsalty rock(河原撫子を演じた伊織夏生の主宰劇団)の芝居を観に行った私は、

(この子いいなー。これだよなあ、私の秋野のイメージって。秋野っていうか、メインで舞台に立ってて欲しいタイプだよなー。いいなー。でもまあ出演者はもう全員決まったことだしこんなこと考えてもしょうがないけど)

と今村くんを見て密かに思っていたのだった。その後なんと一人の男の子がスケジュールの都合で出られなくなってしまい、やばいよやばいよと困り果てて伊織に相談したところ紹介してくれたのが今村くんだったのだ。

スケジュール的に受けてくれる可能性低そうだったし実際に私の台本を読んでもらわないとハマるかどうかわからなかったけど。

幸いオファーを受けてくれて、当初私の思っていた配役でバッチリはまってくれて。平静を装いながらもめちゃくちゃ嬉しかったよあの時は。

なんか、めぐりあわせってあるんだなーと。ありがたい。本当にありがたい。

 

流砂に飲まれる場面で今村くんがアドリブで助けてって言ってたんだけど、すごく可哀そうで可愛かった。っていうか為す術が無い感じが出て怖かったわ。あとラストシーンは稽古場で毎回違う芝居をしてたけどどれも良かった。全部のバージョンをお客さんに観てもらいたいくらい。

 

オミナエ(清掃員)かわぐちまこ

【初演】掃除が好きでプライド持って働いている人。ちょっと怖い。

【再演】適度にいい加減で人の懐にするりと入っちゃう人。怖いけど情も深い。

再演で怖さが激減したのは、台本直し作業中に観に行った舞台でまこちゃんが演じてた朗らかで楽しいお母さん役があまりに魅力的だったから。観たものにすぐ影響受ける。

影響受けたせいで愛嬌マシマシになったけど、思い直してガミガミをちょっと増やした。学生時代は浮いてたのかなみたいなエピソードも付け足した。クラスの人気者みたいなポジションで人生を歩んで来た人だったら、いくら自分が痛い目みてもここまで弱者に寄り添えるようにはならないんじゃないかと思って。これこそ偏見だな。そういうステキな人もきっと世の中にはいるでしょう。ただ私の芝居ではそういう人は取り扱わないかな。

「オーガッタジャ!」の時もそうだったんだけど、どうしようどんな役にしよう…って見切り発車で稽古始めても、なんとなくいつの間にかまこちゃんがいい感じの役に落ち着けてくれる。もちろんいくつか注文をつけたりはしたけれど、私はただワクワクして見守ってるだけで良い。

「借金があるの。なんでだかわかる?…男」って、ただそれだけ書いておけば、それ以上何も言わずとも多くを語らずともお客さんが全て想像して納得してしまうような、そんな芝居に着地してくれる。

もともとオミナエは強くてカッコいい役ではあったけれど、強さにもカッコよさにもいろいろあるんだなあ!っていうのを深く感じた今作の芝居だった。

そして情の深さよ!オミナエが全員の身の上話を全て訊く役どころになってたけど、台本では特に聞いてないつもりで書いてたのよ。それをまこちゃんはオミナエが全て聞くことを選んでくれたのよ!そっれが最高に良かった。聞いてる時の表情も本当にすごくいいんだよね。さりげないけど印象的で、まったく己をアピールする様子を感じさせない居方。

あとねえ…今回は砂漠を歩き回る芝居だったんだけど、オミナエの息遣いが実に良かった。本当に悲壮というか、絶望すら感じさせるような。息遣いイイですよね、とか言うとあまりに気持ち悪すぎるから誰にも言わないでいたけど。

 

ラストシーン。最後の山上とのやり取り。私が想定してたのと全然違うやり取りになってて愛らしかった。

あとはやはり桔梗田の身の上話を聞いてる時の静かな芝居がたまらんかったです。その後の笑い声で毎回私は泣いていた。オミナエカメラを設置してオミナエの芝居を全て追うべきだった。

オミナエ好きだ。楽しかったなあ。ああ好き。

 

桔梗田(名前のわからない男)加茂克

劇中で唯一名前を呼ばれない人。仲間がいないからなんだけど、その割にみんなとよく喋った人。ちょっと寅さん風な役どころかな。お節介で口ばっかりなところとか。

【初演】日当たりに執着する男。裏設定だと向かいに三階建てのアパートが建ったせいで自分の部屋の日当たりが悪くなったことに切れて放火した前科者だけど、本編では特に何があったか語られず。初演だと河原と一緒に過ごす場面も無かった。何も無い役じゃないか!

【再演】ハンバーグでいうところのつなぎのパン粉みたいな役どころ。便利。

 

「オーガッタジャ!」では主人公としか絡まない役だったので今回はたくさんいろんな人と絡めて良かった。髪型は美容院でちょっと前の佐藤健くんにしてくださいとオーダーさせた。

 

文字数も嵩んできたので加茂克の話はこんなもんでいいか。今さら語ることも無いし。

ただ、私は加茂克の芝居が好きだ。セリフ覚えも悪いし不器用だしポンコツだし稽古場でホント心底ブチ切れそうになることもしばしばあるけど、私は加茂克の芝居が好きだ。私にはできない、ほかの誰にもできない加茂克の芝居が面白くて、それで私は今も芝居をつくっているのだ。加茂克の芝居を観たい、それこそが発条ロールシアターを続けている理由なのだ

 

②につづく

2023秋公演「ファンタステカ」を終えて

秋公演を終えてってタイトルだけど年に1回しかやってないのに秋公演も何も無いわな。第16回公演でした。

間に番外公演とかミニ公演とか花見卓哉ライブとか挟んでるけどそういうのを入れたら何回くらいやってるのか実は知らない。とりあえず旗揚げから15周年は過ぎたらしい。あいだ4~5年休んでたから実質10年ちょいか。そんなもんか。そうかあ。

 

パッとしない口上で始めてしまったけど、久々に公演後の思いをぶつけてみようかなと。裏の話はしない。ちょっとなんかずっと悪夢でも見てるかのように仕事が捗らなくて反省しまくりで関係者に合わせる顔が無くてしんどい。

とは言えお客さまが(来場してるしてないに関わらず)読んでくれてるかもしれないところでそんな話をしても仕方ないのでしない。見栄を張らねばね。涼しい顔せねば。

武士は食わねど高楊枝だよ。ちょっと違うか。

 

それでも一言だけ。役者の皆さんとスタッフの皆さん協力してくださった皆さんには猛烈に助けてもらいました。ありがとうございました。本当に心から感謝しています。こんな言葉じゃ足りないくらい。

幕をあけることができたのは皆さまが助けてくれたからです。ありがちな言葉だけど切実にそう。ホントそう。ありがとうございました。

そして言うまでもなくお客様に心からの感謝を。ありがとうございます。お客様あってのお芝居です。行けなかったよー!って人たちのあたたかい心もしっかり届いています。いつもありがとうございます。嬉しいのよ、Twitter(現X)やら何やらでのちょっとしたリアクションも何もかも。

 

さて気を取り直して。

今回の「ファンタステカ」は2011年に上演した作品の再演。狙ったわけではないのだけど、結果的に昨年の「オーガッタジャ!」に続き、幻の2011年作品再演シリーズとなった。

個人的には初演がかなり私情が入ったというか、自分の気持ちをキャラクターに言わせたものだったので作品としては逆にあまり思い入れが無かった。熱は入ってたけども。

で、物語としても半端な結末だったと個人的には思うので、そういうのもあって再演できて良かった。

本当は去年やるはずだったのだけど、去年はそういう気分じゃなく。逆に今年はやりたい気分で。結局は感覚で決まる。

 

そもそもなんで「ファンタステカ」が再演の候補にあがったかというと、私が女神的女優さんに出会ったからなのである。

2019年にさかのぼる。

この年、発条が休止期間だったこともあり、いろいろなご縁のもと加茂克がヨソ様の芝居に出演した。

(ちなみに私は全ステージ観に行った。熱狂的ファンかよ)

その芝居で共演していた女優さんがめちゃくちゃ良くて。この人…!この人こそが私の女神だ…!!と熱烈に恋してしまったのだ。
その名はかわぐちまこちゃん。間違いなく女神。

 

発条ロールシアターの女神といえば一時期ずっと出演してくれていた日高ゆりあちゃんであることに誰も異論は無いと思う。彼女がお芝居の世界からいなくなってからは、彼女が演じた役はもう二度と誰にもやってもらえないだろうなあ、再演もできないだろうなあと思っていた。世の中にステキな女優さんは数多いるけれど、私にとって彼女は本当に特別だったから(ゆりあちゃんに対してこう思ってる演出家や監督たくさんいるだろうなあ)。

しかし、かわぐちまこさんの芝居を観て我が身と心がすっかり彼女の虜となったその時、「ファンタステカ」のオミナエをかわぐちさんにやって欲しい!と激しく思ったのだ。

オミナエはお客様に「ジャンヌダルクみたい」と言われるほどカッコよい役だった。美しくて強い役だった。

かわぐちまこちゃんはまさにオミナエだった。

私が観たステージは全然オミナエみたいな役ではなかったけど。まったく違ったけど。でも、本当にオミナエだと思った。

全ステージ観に行った私はいろんな角度からあらゆる場面のまこちゃんの芝居を観た。彼女はどの瞬間も全てが美しく、細やかで、そして生身の人間として呼吸をしていた。そこには芝居には出てこない役の人生が感じられた。描かれていない喜怒哀楽がのっていた。

それは役者なら当たり前のことかもしれないけれど、同じ芝居を何百回何千回と観ても飽きないような、生きてる芝居だった。これはただの妄想だけど、おそらく本人も何百回だろうが何千回だろうが飽きずにやってくれるんじゃないかなと思える、そんなところにも惹かれた。

ちなみにその時の共演者である本多一生さんと畑中俊明さんと地脇慎也さんも、昨年と今年2回にわたって出演してくれた。

もうね、空間製作社さんには一生かけてもご恩返ししたいですよ。本当に。

 

まこちゃんの話で盛り上がり過ぎた感はあるけど、本多さんと畑中さんと地脇さんについても熱く語りたい。いやマジで。軽々しく言いたくないけど奇跡では?

本多さんにいたっては「オーガッタジャ!」の宇塚彩子ちゃんと菅野翔馬くんを紹介してくれた恩もある。もはや発条の座長では?(←本多さんに何のメリットも無い)

 

過去最高のキャスティング作品は長らく「パソドブレ(2013)」だった。

しかし「オーガッタジャ!(2022)」と「ファンタステカ(2023)」はそこに並んだと思う。

いつでも最新作が最高傑作と言いたいとこだけど、まあ冷静に言ったら三作とも同じくらいかな。

ただ冷静さを欠いた瞬間に「ファンタステカ」のキャスティングが歴代最高にして最高傑作!と言いたくなるくらいには今公演は良かった。

 

あまりに良かった良かった言うの、ほんと文化祭で盛り上がって「うちのクラスさいこー!」って言ってる高校生みたいで恥ずかしいから嫌なんだけど。

 

まあ、よくできたわ。

よくできた要因の7割くらいは役者の力だったと思うわ。魅力的だったと思う。

お久しぶりの伊織夏生さんと、伊織さんが紹介してくれた今村貴登さんも含め(ありがとうsalty rockさま!)そして完全に初めましての溝端亮くんも含め。

キャスティング天才。私の力ではなくめぐりあいの力による。ありがたい。

 

具体的なこといっこも書かないまま文字数がかなり増えてしまったので続く。

2022年は

とにかく発条ロールシアター5年ぶりの公演。これに尽きるな。

関わってくださった全ての皆さまに感謝です。そしてお客様は神様です。

私のつくった芝居(正確には役者スタッフそれぞれの役目に向き合ってつくりあげた芝居だけど、責任の在り処という意味で「私の」芝居)を観てもらえるというのは何より幸せなことです。

まあ、自分が観たい芝居をつくってるだけなので自分が観られた時点で幸せ度は突き抜けてるのだけど。

今年上演した「オーガッタジャ!」は再演作品で、初演は2011年3月だったのだけど。

初演のことを語る時に、内容とはまた別にたくさん語りたいことがあって。その中にはなかなか自分でも心動かされたことがいくつかあった訳なのだけど。

実際、今回も出演者やスタッフ陣、あるいは自分の知人と話をする時にそのいくつかの話をしたのだけど。

それはちょっとなんというか、イイ話をすることで何かの免罪符にしようという気が1ミリも混ざってないかと言われると、やはり混ざっていませんとは言い切れない気がして。

あの時のいろいろを、イイ話にもっていくのは薄汚い気がして。

なのでもう、語るのはやめようかなと。

語る機会ももう無いでしょうし。

 

ひとつ言えるのは、「こんな時だからこそ」なんて注釈を入れる必要も無いくらい、

いつだって

誰にも求められていなくたって

やってはいけないと言われたって

芝居は必要であり、やらずにはいられないものなのだと。

 

さて、来年の発条ロールシアター公演は、何をやろうか。

大晦日の辻褄合わせ日記

毎年せめて1回くらいは更新したいという悪あがき日記。

でもよく見たら前回の日記は書いてる途中で日が変わって2021年の1月1日付けになってる。

このさい元旦日記にしてもいいかなとも思ったんだけどまあ…。


さて、今年の出来事。1番は人生初救急車・初入院・初手術かなー。卵巣が腫れて捻れちゃったので、卵巣と卵管を片っぽ取ってしまった。西洋医学ありがたい。

忘れもしない4月某日の日曜日。京セラドームの試合をTV観戦中に腹痛に見舞われ、トイレに行っても痛み止めを飲んでも治らず、遂には救急車を呼ぶにいたったのだった。

最初は近所の救急外来を探そうと電話したんだけど、窓口のお姉さんが「無理せず救急車を呼んでは…?」と言ってくれたのが決め手になった。振り返ってみれば、自力で病院まで歩いて待合室で待つなんて絶対無理だったけど、あの時は一応トイレまで歩けはしたのでちょっと躊躇してしまった。

しかも救急車呼んでから痛みが遠のいたりして、内心、頼む!ひどくなってくれ!と願っていた。救急車の中で痛みが消えたらどうしようかと思った。

なお、無事に罰が当たり1個目の病院に着く頃にはのたうちまわるほど痛みがひどくなったのだった(その病院では処置できず最終的に大学病院に行った)。

ちなみにのたうちまわりながらも何かと手続きが必要で、緊急連絡だのなんだのの為に北海道の親と発条の主宰に連絡を入れたのだけど、主宰は夜遅くに病院まで来てくれた。いい人!

処置でグッタリしつつ主宰の顔を見て最初に出た言葉は「今日の試合の結果が知りたい」だった。んで調べてくれた結果まさかのロッテ勝利という明るいニュース。

相手先発宮城くんで先制された(とこまでは観た)からまさか勝つとは思ってなかったのよ。ホント嬉しかった。

まあ野球の話はさておき、翌日には手術したんだけど、まあ術前の痛みの辛かったこと!んで術後はもっと辛かったこと!!ものすごく弱音吐きまくりのメールをしまくってしまった。あの時メールとかツイッターで励ましてくれた人への恩は一生忘れない。ツイッターは、何のリアクションも無くても気にかけてくれてる場合もあるので(私はよくある。なんて声かけたらいいのか…みたいな感じに心の中で励ましたり)まあとにかく皆さんいつも楽しい時間をありがとうございますって感じなんだけど。

このまま締めの言葉に繋げられそうだな。来年もよろしくお願いします!って。

どれほど痛かったか辛かったかの記録を日記に残そうと思いつつ書けなかったな。

なぜ書けなかったか。それははてなブログスマホからアクセスする方法がイマイチわからないためである。

まあパソコンから書けばいいんだけどね。なんとなくね。

あと、「今どきブログう?」みたいな世間の声を気にしてるのもある。

好きにすりゃあいいじゃん!ホント中学生くらいからまったく成長してない!!

書くにしても今の流行りはなんだろうなーnote とかかなー。でも私noteって読み手として使い勝手が悪い印象しか無くて好きじゃないんだよなー(←ホントただの印象。何がどう使い勝手が悪いのかももう覚えてない)ってな訳でボサーッとしてるうちに時間が過ぎ、そもそも発条のこととか先に書かねばならぬこともあったりとかで、いやホントに。

発条ロールシアターは昨年延期した公演を今年やる筈だったのだけど、病気からの快復に思ったより時間がかかり気力が戻らなかったため中止にしてしまった。ああ…これは私の責任。ダメだ…。


今年は11月にごく親しい存在であり大好きで尊敬している方が立て続けに亡くなり、親族では無いけど気分は喪中なのだ。

大切に生きよう。やりたいことを全部やろう。


あ、どうでもいいけど入院中、ようやく身も心もちょっと快復した頃に日ハム戦でのサヨナラ勝ちをスマホで観られてとても嬉しかったのを書いておこう。いわゆるヒロミナイトですな。


来年も自分と自分の大切な人たちが、好ましく思ってる人や近しい人たちが、楽しい日々を過ごせますように。

世の中の、どうにもならない出口の見えないさまざまな問題がなるべく少しずつでも良い方に向かいますように。なるべくたくさんの人たちが笑って過ごせますように。幸せでいられますように。

大晦日の辻褄合わせ日記

毎年せめて1回くらいは更新したいという悪あがき日記。

でもよく見たら前回の日記は書いてる途中で日が変わって2021年の1月1日付けになってる。

このさい元旦日記にしてもいいかなとも思ったんだけどまあ…。


さて、今年の出来事。1番は人生初救急車・初入院・初手術かなー。卵巣が腫れて捻れちゃったので、卵巣と卵管を片っぽ取ってしまった。西洋医学ありがたい。

忘れもしない4月某日の日曜日。京セラドームの試合をTV観戦中に腹痛に見舞われ、トイレに行っても痛み止めを飲んでも治らず、遂には救急車を呼ぶにいたったのだった。

最初は近所の救急外来を探そうと電話したんだけど、窓口のお姉さんが「無理せず救急車を呼んでは…?」と言ってくれたのが決め手になった。振り返ってみれば、自力で病院まで歩いて待合室で待つなんて絶対無理だったけど、あの時は一応トイレまで歩けはしたのでちょっと躊躇してしまった。

しかも救急車呼んでから痛みが遠のいたりして、内心、頼む!ひどくなってくれ!と願っていた。救急車の中で痛みが消えたらどうしようかと思った。

なお、無事に罰が当たり1個目の病院に着く頃にはのたうちまわるほど痛みがひどくなったのだった(その病院では処置できず最終的に大学病院に行った)。

ちなみにのたうちまわりながらも何かと手続きが必要で、緊急連絡だのなんだのの為に北海道の親と発条の主宰に連絡を入れたのだけど、主宰は夜遅くに病院まで来てくれた。いい人!

処置でグッタリしつつ主宰の顔を見て最初に出た言葉は「今日の試合の結果が知りたい」だった。んで調べてくれた結果まさかのロッテ勝利という明るいニュース。

相手先発宮城くんで先制された(とこまでは観た)からまさか勝つとは思ってなかったのよ。ホント嬉しかった。

まあ野球の話はさておき、翌日には手術したんだけど、まあ術前の痛みの辛かったこと!んで術後はもっと辛かったこと!!ものすごく弱音吐きまくりのメールをしまくってしまった。あの時メールとかツイッターで励ましてくれた人への恩は一生忘れない。ツイッターは、何のリアクションも無くても気にかけてくれてる場合もあるので(私はよくある。なんて声かけたらいいのか…みたいな感じに心の中で励ましたり)まあとにかく皆さんいつも楽しい時間をありがとうございますって感じなんだけど。

このまま締めの言葉に繋げられそうだな。来年もよろしくお願いします!って。

どれほど痛かったか辛かったかの記録を日記に残そうと思いつつ書けなかったな。

なぜ書けなかったか。それははてなブログスマホからアクセスする方法がイマイチわからないためである。

まあパソコンから書けばいいんだけどね。なんとなくね。

あと、「今どきブログう?」みたいな世間の声を気にしてるのもある。

好きにすりゃあいいじゃん!ホント中学生くらいからまったく成長してない!!

書くにしても今の流行りはなんだろうなーnote とかかなー。でも私noteって読み手として使い勝手が悪い印象しか無くて好きじゃないんだよなー(←ホントただの印象。何がどう使い勝手が悪いのかももう覚えてない)ってな訳でボサーッとしてるうちに時間が過ぎ、そもそも発条のこととか先に書かねばならぬこともあったりとかで、いやホントに。

発条ロールシアターは昨年延期した公演を今年やる筈だったのだけど、病気からの快復に思ったより時間がかかり気力が戻らなかったため中止にしてしまった。ああ…これは私の責任。ダメだ…。


今年は11月にごく親しい存在であり大好きで尊敬している方が立て続けに亡くなり、親族では無いけど気分は喪中なのだ。

大切に生きよう。やりたいことを全部やろう。


あ、どうでもいいけど入院中、ようやく身も心もちょっと快復した頃に日ハム戦でのサヨナラ勝ちをスマホで観られてとても嬉しかったのを書いておこう。いわゆるヒロミナイトですな。


来年も自分と自分の大切な人たちが、

好ましく思ってる人たちが、

近しい人たちが、

楽しい日々を過ごせますように。

世の中の、どうにもならない出口の見えないさまざまな問題がなるべく少しずつでも良い方に向かいますように。なるべくたくさんの人たちが笑って過ごせますように。幸せでいられますように。