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シリコンバレーは今日も晴れ

07-26-2012 シリコンバレーで苦労したこと10選 このエントリーを含むブックマーク このエントリーのブックマークコメント

シリコンバレーに来て苦労したことは何か、と最近複数回聞かれたので、「来たばかりの頃は・・・」と思い出しながら、勢いでざーーっと書いてみました。「苦労したこと」という話と「失敗したこと」というのが混じってます。

右も左も分からない

いくらシリコンバレーが優れた人材の集まる場所と言っても、道を歩けば名門大学卒の一流ハッカーに当たる、なんてわけではない。人脈をたどっていかないとデキる人にはつながらない。大体そもそも、名門大学を出ているからといって全員が一流というわけでもない。加えて、いくらアメリカ人が社交的と言っても、優秀な人はそれなりに忙しかったり自分の時間を大切にしたりするので、こちらが色々な会合に顔を出しても全然そういう人に会えず、コンサルタントの名刺ばかり増えることになる。人脈ができるには時間はかかるものだ。腰を据えてネットワークを広げていくつもりで長く持たせる予算とスケジュールを組むことが必要。「1年やってみて様子を見る」とかは意味がない。

人の能力を見分けられない

青い瞳の白髪まじりの紳士が落ち着いたトーンのステキな声で、分かりやすい英語でビジネスをスラスラと語り、こちらが一生懸命に話す英語にもフンフンと親切にうなずいてくれたりすると、アメリカ人はフレンドリーで英語がうまくて発音もきれいでスゴイ、この人はデキる人に違いないなんていう錯覚に陥る。アメリカに来たばかりでコミュニケションに不安があると、うまく会話が成り立っているらしいという安心感がその錯覚をなおさら加速させる。安心感というのは大事な要素でもあるのだけど、相手が信頼でできそうな人に見えるのは自分が慣れてないせいかも知れないというのが自覚できていると良い。アメリカ流の建前主義では、人前では格好いいことをキリッと言うのは当たり前だ、というのに早く慣れるべき。

人種による能力の違いを何となく信じてしまう

「シリコンバレーの典型は、プレゼンがうまく人脈豊富な白人マネージャーの下で、勤勉で技術力の高いアジア人がコツコツと仕事して結果を出すという形ですよ」とかいう話をまともに信じると足元をすくわれる。「よし、じゃあ白人で弁の立つマネージャーを雇おう」みたいなことをして失敗をする可能性がある。そもそも違法だし。大体そもそも人種によるタイプ分けというのは全く意味がない。例えば日本人にいる様々なタイプの人達(几帳面、口が達者、頭脳明晰、いい加減、お調子者、社交的、オタク、親分肌など)は、そのままアメリカ人やその他の人にも全く同じようにいる。いかにもアメリカ人という雰囲気の人の中にも実行力がない人もいるし、英語をネイティブに話さない人でも優れた人はたくさんいる。人種によるステレオタイプはできるだけ早く卒業したいものだ。

他人に頼り過ぎる

「プロフェッショナルな人材が揃っているシリコンバレーではどんどん仕事をコンサルタントにアウトソースして事業のコアバリューを作り出すに集中することができる」とかいう話を信じすぎるといくらお金があっても足りない。大体、最初の頃は、依頼先のコンサルタントの質も分からないまま、出してくる資料の体裁がカッコいいとか、英語を分かりやすく話してくれて「アメリカで仕事してるぜオレ」的な気分にさせてくれるとか、その程度で依頼してしまう危険性がある。本当に優秀なコンサルタントは料金も高い。そこそこのレートでいい感じで仕事してくれるよ、という都合のいい話はほとんどない。料金が手頃で、出してくる資料の体裁が整っていて、言っていることは至極全うで、自分が思っていたのと大体同じとかだとさらに微妙。何のために雇っているのか。UIデザインのプロでその道で博士号を持っているという人にアプリのデザインを依頼したら、まあそりゃこうなるよねという至極全うなデザインが上がってきたりする。これなら社内で作って、多少至らないところは改善していくとしたほうが良いのではないか。シリコンバレー経験が豊かなCEOを雇い入れて、高い給料でやってもらうとかも要注意。コア事業を作ってきた人間にしか出来ない事は多い。必要な時にはバーンと大きなお金が必要になるしコアでやってきた人間にしかできない判断も出てくる。本当に必要なことなのかを熟考すべき。分からなかったらランチをおごって人に聞く。ムダなお金をかけず、社内で仕事していける信頼できるチームを作っていき、自分自身の判断力を鍛えていくのも大事。

英語が聞き取れない

日本で英語教材のきれいな発音に慣れてアメリカ入りすると、相手の言っていることが全然分からないこともあり、かなり焦る。良く使う言い回し、発音の仕方などが人によって違うため。来たばかりの頃はサンプル数も少ないため、相手の会話パターンを予測できなくて聞き取るのが大変。慣れるしかない。英語が非ネイティブの人の言っていることのほうが分かりやすいという現象も起こる。聞き取りに慣れるには、自分が話す力を鍛えることが一番大事。自分が使えるフレーズは相手が言っても聞き取れる。聞き取れないうちはしつこく言い直してもらうこと。

英語が通じない

何から何まで英語で話さないといけない状況というのは日本にいるとほとんどないので、いざ来てみると今まであったことのない文脈で使ったことのないフレーズを話さないといけなくなる。勉強慣れしたアタマだと、ちゃんとした文章で話そうと思い込んでしまい、いちいち文章が出てくるのが遅い。その場で全てを一生懸命英作文してる感じ。自信のないところはモゴモゴ適当に何となく格好つけておけば相手が分かってくれるんじゃないかとか思ってると、「え、何?」と言われてショックを受ける。英語で考えて英語で話せる回路が脳内に出来ていないのだからと開き直るくらいにして、長い目で見て回路を作っていく。脳の力を信じて、脳が自動で処理できることを増やして行くために脳を鍛える。

ニッチ戦略を履き違える

シリコンバレーという大舞台に来て、インターネットや携帯電話の巨大市場でまともにグーグルみたいな大物と渡り合えないから、強みを生かしたニッチ戦略を取りますというのは聞こえは良い。しかし、巨大市場の主戦場から逃げるために取るのでは弱い。ニッチは事業のコア部分が相当とがっていて強くないと生き残れない。逆に、主戦場ほどの巨大市場なら、コモディティ商品をベースに、プロセスを他社よりも改善するだけで上場まで行けたり、軌道修正が効いて生き残れたりする可能性がある。自分が外から来た新参者と思うあまり、主戦場を必要以上に避けていないか。逃げではないニッチであることを完全に理解できて自信を持てるのでなければ、ニッチ戦略は何度も疑ってみるべき。また、いくらユニークでもお金になりそうな気配がしないのはダメ。

コーディング面接にしりごみする

アメリカに来たばかりで英語のコミュニケーションに自信がないので、ソフトウェアエンジニアを採用するのにも候補者に一方的にしゃべらせて(フンフンと相づちだけはやたらと打つ)、その雰囲気で判断しようとしてしまう。あるいは、マネージャー以上のレベルの候補者に対してコーディング面接をするのは失礼じゃないかと思ったり、相手から「自分はマネージャーだから細かいコーディングの話は意味がない」というオーラを出されて遠慮する。コミュニケーションに自信がないからこそ、結果が明白に分かるコーディング面接は活用しないといい人は採れない。コーディング面接に慣れてくると、最初の電話面接などでいかに英語で格好いいことを言うことができてもショボいコードしか書けないという人が結構たくさんいることが分かってくる。上のほうに書いた「人の能力が見分けられない」も解決できて、とりあえず言う事は立派だな、実行力もある人かな?と一歩引いてみられるようになってくるし、逆に本当に能力のある人には本気で惚れ込むことができるようになる。

コーディング面接の表面上の結果に頼りすぎる

コーディング面接するところまでは慣れてきたとする。すると今まで面接したエンジニアとの比較から相場が分かってくるが、コーディング面接でキレイなコードがスッと書けて、こりゃすごいと思っても、何か直感的に引っかかるところがあったら、採用しないという選択肢を残したほうがいい。「この人と一緒に働きたい」という感じが湧いてくることが大事。「生真面目で脆そう」とか「何となくノリが合わない」とかも考慮に入れること。コーディング面接は万能ではない。面接では多少の失敗があっても、向上心や人柄がいい場合には悩んだ末に雇ってみたら結果的にチームの成長に貢献してくれて大成功だったということもある。

リーダー像に囚われて無理をする

「シリコンバレーの起業家たるもの、強いリーダーシップと明確なビジョンで会社を引っぱり、投資家と堂々と渡り合う交渉力を持ち、業界カンファレンスではスピーカーとして存在感をアピールできるくらいでなければならない」とかいうのはあくまでも見た目のいい、理想のカッコいいリーダー像という話なので、もし自分が必ずしもそういうタイプではないと思うなら信じなくていい。シリコンバレーのいいところは色んな起業家がいて、色んな投資家がいて、イノベーションへの意志でつながっているところだと思う。ちょっと無理をして成長するのもいいが、その会社を自分の成長のためだけに食いつぶすことにもなりかねない。自分の強みを生かして、革新への実行力をこそ磨いていくべきだ。そのためには、自分一人のリーダーシップ云々よりも、実行力のあるチームを作っていくことこそが主眼。その中でリーダーシップも自然に磨かれる。そのチームに育ててもらうくらいで良い。チームをコントロールしようとしない。

05-30-2012 Youの複数形は? このエントリーを含むブックマーク このエントリーのブックマークコメント


しばらくこちら(はてダ)に更新情報を書いていませんでしたが、はてなブログ書きました。

「Youの複数形は?」

http://okada.hateblo.jp/entry/2012/05/30/173319




 

01-04-2012 シリコンバレーの採用者はどこを見るか このエントリーを含むブックマーク このエントリーのブックマークコメント


はてなブログ書きました:「シリコンバレーの採用者はどこを見るか」

http://okada.hateblo.jp/entry/2012/01/04/192610


 

12-18-2011 Rの発音にこだわりすぎてませんか?注意すべきはむしろLの発音 このエントリーを含むブックマーク このエントリーのブックマークコメント

はてなブログ更新しました。

「Rの発音にこだわりすぎてませんか?注意すべきはむしろLの発音」

http://okada.hateblo.jp/entry/2011/12/18/154200


 

11-29-2011 シリコンバレーで通用するエンジニアのレベルとは? このエントリーを含むブックマーク このエントリーのブックマークコメント

はてなブログ更新しました。「シリコンバレーで通用するエンジニアのレベルとは?」

http://okada.hateblo.jp/entry/2011/11/29/152632