洋邦今昔

nostalji2018-03-02

録画していた『沈黙−サイレンス』(2016年/監督:マーティン・スコセッシ)を観る。スコセッシが長年温めていた、海外でも評価の高い遠藤周作の小説をやっと映画化したものです。
昨日観た篠田正裕の『沈黙』と比べると、神と信仰について正面から描いていますな。日本での布教に情熱を注いでいた宣教師フェレイラ(リーアム・ニーソン)が棄教したという真偽を確かめるために弟子のロドリゴアンドリュー・ガーフィールド)とガルペ(アダム・ドライバー)がキチジロー(窪塚洋介)を日本への案内人にしてマカオから旅立つところから始まります。日本についてからの物語展開は篠田版とほぼ同じですが、ロドリゴが棄教した後まで描いており、篠田版より原作に近い内容です。
台湾でロケした映像美は、宮川一夫の撮影に劣らないもので素晴らしいです。音楽を使わなかった演出も作品にマッチしていますね。俳優陣では、奉行・井上筑後守役のイッセー尾形がメチャクカ巧いです。セリフもなくワンカットだけの登場ですが、中村嘉葎雄も存在感がありましたねェ。ロドリゴに棄教を勧めるフェレイラ役のリーアム・ニーソンは今イチ。棄教したことによる精神的苦しみが表情から伝わってこないんですよ。丹波哲郎のフェレイラの方が良かったです。日本人の丹波哲郎がフェレイラを演じたことを云々いう批評がありますが、舞台などでは日本人が外国人を演じるのは普通であって、演技では関係ないことです。
でもって総合的にみると、やっぱりスコセッシの方が映画としての完成度が高く、軍配をあげざるを得ませ〜ん。