2008-02-05
■[本日の読書]
- 作者: 坂口恭平
- 出版社/メーカー: 大和書房
- 発売日: 2008/01
- メディア: 単行本
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週末には、スーパー・チューズデーに向けて、米国の社会経済状況を報道するテレビ番組が多く放映されていた。そのなかで、サブプライムローンの焦げ付きに伴い、住宅を失い、テント生活を送る人々も多々報道されていた。テレビから映し出されたテント生活者は、苦痛の表情で経済政策こそが新しい大統領に期待する、との発言が多く放映された。
同書は、同じ「テント」生活者達(「0円ハウス」)の生活を、建築の観点から描いたものである。とはいえ、単なる好事家的な建物論評ではなく、同書は、都市生活者達の魅力的な観察記録となっている。それは、著者の坂口恭兵さんの優れた都市(建築)観察眼によるものか、はたまた、前向きなご性格によるものか、「自分に必要な空間を自然な方法で見つける」(216頁)テント生活の皆さんの姿には、全くの悲しみも辛さもない(もちろん、実際にはあるのだろうが)。「東京にはなんでも落ちてる」(25頁)ため生活物資には困らず、「「直感的」でありながら「効率的」」(220頁)な生活を送る同書の登場人物の一人の鈴木さんに「いやあ、生きるってのは本当に面白いよ」(274頁)と言われてしまうと、都市に生きることへの豊富な知恵と実践力に、読書中圧倒されてしまう。また、坂口恭兵さんの観察と体験を通じて得られた都市分析も満載であり興味深い。例えば、「0円ハウス」で生活されている方々が、「東京という都市における有機分解」(230頁)を行っているという指摘にはただただ納得する。爽快な良書。
■[本日の記事]
07年4月に政令指定都市に移行しながら、深刻な過疎地域を抱える浜松市が、「政令市で田舎暮らし」をうたい文句に首都圏などからの転入者を募ろうと準備を進めている。農村生活の体験プログラムや空き家の情報提供などを通じて、大都市の中の田舎の良さをアピールしていく予定だ。
浜松市はヤマハ、スズキといった楽器や自動車などの大手メーカーが本社を置く産業都市。05年に周辺11市町村を編入し、それまでの60万人足らずの人口が現在は82万人余りに増えた。ただ、北部の山間地には65歳以上の人口比率が5割を超え、自治活動が難しい「限界集落」が46カ所もある。このままでは道路管理や飲料水の供給施設の清掃などができなくなるなど、日常生活に支障が出ることが懸念されている。そこで、首都圏の団塊世代などに転入を呼びかけることにした。
まずは地域を知ってもらうため、08年末までに静岡県特産の茶摘みやそば打ち、棚田での稲刈りなど、20以上の「体験プログラム」を作り、参加を呼びかける。09年にはNPOなどに運営を委託して事務局を設置し、空き家の情報を集めてインターネットで全国発信する。入居もあっせんする予定だ。市の東京事務所にも相談窓口を置くという。市北部の天竜区(旧天竜市)で約20年前から町おこしに取り組むNPO「夢未来くんま」の大平展子副理事長は「車で1時間半も走れば中心部に出られ、都会の人もそれほど不便は感じないと思う。迎える側も閉鎖的にならず、快く受け入れていきたい」と話している。
同記事では、浜松市において、首都圏からの転入促進の取り組みがあることを紹介。
あまりにも基本的なことだが、政令指定都市制度は「大都市」のための制度である。その大都市制度で、限界集落を抱えていることは、政令指定都市制度自体の意義を再考させかねない事実といえる。金井利之先生の分析をふまえれば、これもまた「政令市都市制度の希釈化」*1といえる。同制度の希釈化を抑制するため、又は、より実態に即した制度とするためにも、地方自治法第252条の19第1項の処理事務内容に関する規程は見直すことが必要でないだろうか。もちろん、西尾勝先生がご指摘されたように「所掌事務の拡大路線」が必ずしも唯一の方策ではないかもしれない。ただし、現行制度のままであれば地域実情とは乖離を招き、政令指定都市制度の形成当時とは異なった「妥協的」色彩をもつようになる。そこで、例えば、農林水産関連の権限等を処理事務の特例に加えることにより、実態に即した制度化(政令指定都市制度の実質化)が必要かとも思う。
*1:金井利之『自治制度』(東京大学出版会、2007年)178頁
- 作者: 金井利之
- 出版社/メーカー: 東京大学出版会
- 発売日: 2007/05
- メディア: 単行本
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『TOKYO 0円ハウス 0円生活』をご紹介いただき、ありがとうございました。
弊社ホームページの「書籍が紹介されました」コーナーで、こちらのブログにリンクをはらせていただきました。
今後ともよろしくお願いいたします。
http://www.daiwashobo.co.jp/introduced/