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nozomimatsuiのみたもの・きくもの・よんだもの このページをアンテナに追加 RSSフィード

2010-01-09

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日光市が職員合理化のため、勧奨退職する職員に特別昇給制度を使って退職手当の割り増しを実施し、総務省に不適切な水増しと指摘された問題で、斎藤文夫市長は8日の同市議会全員協議会で、「特別昇給を割り増したのは事実だが、約28億円の人件費の削減効果があった」と釈明した。市議からは「市民にしっかり説明するべき」と発言があり、市は今後、広報紙などで説明していくという。

 特別昇給制度は、勤続20年以上で退職年度末の年齢が45〜59歳の職員を対象に、定年まで在職する際の給料月額に、「号俸」と呼ばれる給与ランクを、通常は1年につき4号俸の昇給のところ、2号俸上乗せなどするもの。

 市総務課によると、2006〜08年度の3年間で78人が勧奨退職し、制度適用による割増額は約2億1000万円となった。この問題を巡っては、同市は総務省から07、08年度の2年間で、1億4796万円が不適切な支出と指摘されている。同課は、78人全員が定年まで在職した場合、人件費が28億円必要だったとしている。斎藤市長は同協議会で、「実施しなければ、人件費が膨らみ財政に影響があった。削減効果を市民に説明していきたい」と強調した。市議からは、市側に市民への説明を求める発言や、導入時に市議会が反対しなかったことから、「導入時の経緯説明も必要」との声も挙がった。

 同市はこの制度を06年度に創設した。05年度末の5市町村合併で、職員数が1340人と適正規模より403人多くなったためで、3年間実施し、08年度末で廃止している。

本記事では,日光市における早期勧奨退職制度の成果について紹介.

同制度に関しては,2010年1月3日付の読売新聞において,同市の同制度を紹介*1.同紙の同日付の記事は「総務省の調べ」に対して,同紙が「情報公開請求」を行い,「早期勧奨退職する職員」に対する「特別昇給」の結果を報道.同記事では,「07年度で7億8400万円,08年度は3億4000万円」が「特別昇給」されており,個別自治体では,「栃木県日光市(1億4796万円)が最も多く,次いで北海道赤平市(7,707万円),静岡県磐田市(6,436万円)」であったことを報道されている(なお,同紙が情報公開を行った「総務省の調べ」とは,恐らくは,2009年12月29日付の本備忘録でも取りあげた『平成21年地方公務員給与実態調査結果の概要(平成21年4月1日現在)』*2のうち「給与制度・運用の適正化状況」において,「「わたり」の制度がある市区町村の状況」とは異なり「市町村名」が示されていないことからも,同「調べ」であることが想定されそうです.ただ,「調べ」に基づく「市町村名」の公開対処の相異は,何か理由があるものなのでしょうか).

同市では,同報道を受けて,2010年1月7日付で同市HPにおいて,「当市が行いました早期退職特例制度の詳細」を「ご説明」されている.同制度の導入に関しては,本記事でも紹介されているように,「平成18年3月の合併時に,当市の職員数は,1,340人」であり,「人口規模などが類似する他市と比較」した場合「400人程度の超過」となり,「平成18年度から平成20年度までの期限付き」で「「早期退職特例制度」創設」「導入」されたとある.加えて,同紙の「報道」の「数値は,平成19年度と平成20年度の勧奨による退職手当割増額の部分」であり,「平成19年度と平成20年度の勧奨による退職手当割増額の部分」となり,更に「勧奨退職により減少した職員の補充は行」われれていないことからも,「退職しなかった場合に必要となる人件費が削減」*3したことが具体的な数値とともに提示されている.

当該期間での「人件費削減額」は,初年度である平成「18年度」では,同制度の対象者が「23人」とこれにより「勧奨による退職手当割増額」が「63,408千円」となり,同職員の皆さんが「次年度に在職した場合」と比べると「-225,508千円」,更に,「定年まで在職した場合」では「-832,397千円」となったことを示されている.次年度目である平成「19年度」には「40人」が対象となり「120,619千円」増額,一方で,「次年度に在職した場合」と比べると「-386,021千円」,「定年まで在職した場合」は「-1,467,986千円」.最終年度である「20年度」は,「15人」が対象となり「27,336千円」増額,一方で,「次年度に在職した場合」と比しては「-133,721千円」,「定年まで在職した場合」と比べると「-526,009千円」であったとして,同期間内では,「78人」の同制度の対象者となり「211,363千円」の増額が図られたものの,同数の職員の皆さんが,「次年度に在職した場合」と比しては「-745,250千円」,「定年まで在職した場合」には「-2,826,392千円」*4とある.いわば,同市においては同制度の運用を通じた機会費用の比較優位が提示されており,興味深い.

「企業」においては「最後の雇用調整策」*5と解される勧奨退職制度.一方で,同制度の運用に際して,「再就職先の斡旋と早期退職勧奨はセット」*6にない自治体の場合,「退職時特別昇給制度の是正」*7の選択を通じて,自他双方から律される,適正支出と定員管理(退職者数の確保)という二つの抗する要請への対処が選択される模様,悩ましい.

*1:読売新聞(2010年1月3日付)「「早期勧奨」に不適切昇給、退職金を上乗せ

*2:総務省HP(広報・報道報道資料一覧2009年12月平成21年地方公務員給与実態調査結果の概要)「平成21年地方公務員給与実態調査結果の概要(平成21年4月1日現在)」(総務省,平成21年12月),19頁

*3:日光市HP(行政情報市政に関する情報給与・定員管理等)「日光市職員の早期退職特例制度の詳細について

*4:前掲注3・日光市(日光市職員の早期退職特例制度の詳細について)

*5:今野浩一郎, 佐藤博樹『マネジメント・テキスト 人事管理入門<第2版>』(日本経済新聞出版社,2009年)287頁

マネジメント・テキスト 人事管理入門<第2版>

マネジメント・テキスト 人事管理入門<第2版>

*6:中野雅至『「天下り」とは何か』(講談社,2009年)43頁

「天下り」とは何か (講談社現代新書)

「天下り」とは何か (講談社現代新書)

*7:前掲注2・総務省(平成21年地方公務員給与実態調査結果の概要」19頁