政治の見方

政治の見方

西岡晋先生より,ご恵与賜りました.ありがとうございました.
西岡先生は,第1章「婚活は少子高齢化を救うのか?」(1〜12頁),第3章「医師はなぜ足りなくなったのか?」(27〜40頁),第6章「格差社会をどう生きるのか?」(71〜82頁)の各高論をご寄稿されております.
西岡先生がご寄稿されております,上記各章をはじめとして,全14章を通じて,「日常生活を軸」(鄱頁)に政治を考えるうえでの「焦点」を明らかにされた本書は,本書の対象者であります「初めて政治学を学ぼうとする学生」(同頁)への関心喚起を図るように,現状と仕組み,そして争点の配置が,明快に論述されており,下名も,学生さんと一緒に拝読させていただき,政治とは何かを考えてみたくなりました.
下名個人的には,西岡先生が,第1章末で示された「人生前半の社会保障」と「人生後半の社会保障」との「バランス」(11頁)への問いかけ,そして,第3章末で示された「改革」を推進するうえでの「現場感覚」(37頁)の影響力に関しては,現在の我が国の社会保障の現状と財政状況等のなかでの社会保障制度の配分と,改革のすすめ方について,深く考えさせていただくご指摘でございました.ありがとうございました.
心より御礼を申し上げます.誠にありがとうございました.

総務省は22日、地方行財政検討会議(議長・原口一博総務相)のこれまでの議論を踏まえ、地方自治法抜本改正の基本的な考え方を示した報告書をまとめた。自治体の組織のあり方や首長、議員の選出方法などについては、住民がいくつかの選択肢の中から選べるようにすべきだとしている。
 橋下徹大阪府知事らが求めている議員と副知事や副市町村長といった自治体幹部との兼職解禁については、賛否の両論を併記するにとどめた。現行の監査委員や外部監査の制度は、多くの自治体で不適正経理が判明したことを受け、廃止を含め大胆に見直すとした。外部監査に関しては、自治体から独立した機関や、複数の自治体が共同で設立する機関を設ける案を示した。
 同会議は今後も残された論点の議論を続け、11月に改めて報告書をまとめる予定。総務省は来年の通常国会への自治法改正案提出を目指している。

本記事では,総務省に設置された地方行財政検討会議の審議を踏まえて,総務省において,地方自治法改正に関する「基本的な考え方」を取りまとめたことを紹介.同「考え方」に関しては,同省HPを参照*1.2010年6月10日に開催された第5回の同会議における配布資料「地方自治法抜本改正に向けての基本的な考え方(案)」*2をもとに,総務省として取りまとめられた模様.
同「考え方」では,「地方公共団体の基本構造」に関しては,まずは,その「方向性」を「議会が執行権限の行使に事前の段階からより責任を持つようなあり方」と「議会と執行機関それぞれの責任を明確化することによって,純粋な二元代表制の仕組みとするあり方」*3の2つに整理され,,「現行制度とは異なる選択肢を取ることが可能とされた場合」では「地方自治法においてそれぞれを選択肢として提示し,その中で選択できることとすること」や「基本となる類型を法定した上で,地方公共団体の判断により,これと異なる選択を可能にすることが考えられ」るとして,今後も「検討を進めていく」*4との認識が示されている.興味深い.
地方自治法の抜本的な見直しの案を取りまとめるため」*5に設置された同会議.本記事を拝読させて頂くと,審議会における「諮問を受けて,これに答申をする」*6という形式を採用されることはなく,「案」を作成までが同会議の役割となり,その後の確定は同省という役割分担が果たされたとの整理が適当なのだろうか.
「審議会のうちには,所管大臣が,特定の事項について意思決定をするに当り,必ずその意見を聞かねばらないものと,任意にあるいは自発的に,その意見を聞くに止まるものとがある」として,「地方制度調査会などは,その後者に属する」*7との分析も示されたこともある.同「案」の取りまとめにあたり,2009年11月8日付同年12月15日付同年12月26日付の各本備忘録でも記した「日本国憲法の基本理念を十分に具現するように現行地方制度に全般的な検討を加えることを目的」*8として,法定上の設置が保障されている地方制度調査会という審議の場を用いず,同会議の設置・審議,そして,総務省としての「考え方」の取りまとめ,という審議手順を採用されたことは,地方制度調査会における「迂回」や「遅滞」*9を回避をされた,との理解が適当なのだろうか.よく考えてみたい.
ただ,第1回の同会議では,「地方行財政検討会議と,地域主権戦略会議の相互関係」に関しては,「この会議ですね、行財政検討会議で決まったものを地域主権戦略会議,総理が出席する場でオーソライズして,そこで決定して実行へ持っていくということ」*10との見解が示されている.今後,同審議手順を経る中で,同「考え方」が「必ずその意見を聞かねばらない」こととなるのかは,要経過観察.

*1:総務省HP(広報・報道報道資料一覧:2010年6月)「報道資料 地方自治法抜本改正に向けての基本的な考え方(平成22年6月22日)

*2:総務省HP(組織案内研究会等地方行財政検討会議第5回(開催日平成22年6月10日))「資料1 地方自治法抜本改正に向けての基本的な考え方(案) 

*3:前掲注1・総務省(報道資料 地方自治法抜本改正に向けての基本的な考え方)6頁

*4:前掲注1・総務省(報道資料 地方自治法抜本改正に向けての基本的な考え方)7頁

*5:総務省HP(組織案内研究会等地方行財政検討会議)「地方行財政検討会議の開催について(平成22年1月1日総務大臣決定)」(逢坂補佐官発言)17頁

*6:岡部史郎『行政管理』(有斐閣,1967年)169頁

行政管理 (1967年)

行政管理 (1967年)

*7:前掲注6・岡部史郎1967年:170頁

*8:総務省HP(組織案内審議会・委員会・会議等地方制度調査会概要)「地方制度調査会設置法」第1条及び第2条

*9:大杉覚「行政改革と地方制度改革」西尾勝村松岐夫『講座行政学第2巻 制度と構造』(有斐閣,1994年)322〜323頁

制度と構造 (講座行政学)

制度と構造 (講座行政学)

*10:総務省HP(組織案内研究会等地方行財政検討会議第1回(開催日平成22年1月20日))「議事録 地方行財政検討会議(第1回)」(逢坂補佐官発言)17頁