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2011-05-03

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京都市は、2007年9月に導入した新景観政策の実施状況や市内の建築活動に与える影響について検証する「景観白書」を刊行した。創刊号となる10年度版では、景観政策による市内の土地価格への影響について「他都市と比較しても特異な傾向は見られない」と分析した。

 白書(A4判、82ページ)は、景観政策に伴い各地区で制限された町並みや建築物の変化を写真入りで紹介したほか、各制度に基づく前年度までの許認可件数の推移や建築活動状況をまとめた。市の検証によると、市内の住宅地平均価格の推移は、新景観政策導入後も大阪市や神戸市とほぼ同様の変動を示しており、「特異な傾向は見られない」と指摘。影響が懸念された新設住宅着工戸数の推移も、両市とほぼ同水準で減少しており「景気や投資環境の悪化の影響が大きい」と見ている。高さ規制が強化された都心部の中古マンションの不動産取引価格も、導入前と変わらず他都市より高い水準で推移している。

 市は環境や文化、観光分野などへの波及効果を探るため、白書で基礎データを積み上げる一方、市民や事業者が意見交換する「景観市民会議(仮称)」を設けて効果を点検し、今後の政策立案に反映させる方針。千部作成し、市役所西庁舎1階の情報公開コーナーや市のホームページなどで閲覧できる。問い合わせは市景観政策課TEL075(222)3397。

本記事では,京都市における景観政策の検証の取組を紹介.2008年12月10日付2009年3月9日付2010年4月7日付の各本備忘録にて取り上げた同市の景観政策(毎年1回は記録していましたね).本記事にて報道されているように,同市では『景観白書』を作成され,同政策の影響を検証された模様.直截な評価が困難そうな景観という政策領域への効果測定は,大変,興味深い取組.策定された2010年度の同白書は,同市HPを参照*1

同白書では,「景観政策の実施状況」,「景観政策による建築活動等への影響」,「景観政策による市民意識への影響」の3点を検証.それぞれ評価された具体的な項目のみを見てみると,一つめの「景観政策の実施状況」に関しては,「景観政策の各施策」への「申請件数の推移なども含めて,その実施状況を把握」し「分析」する.具体的には,「建築物の高さの規制」*2,「自然・・歴史的景観の保全」*3,「市街地景観の整備」*4,「眺望景観や借景の保全・創出」*5,「屋外広告物の規制」*6,「歴史的な町並みの保全・再生」*7,「公共施設に関する様々な取組」*8,これらに加えて「景観政策の推進に向けた様々な取組」*9を記載.

二つめの「景観政策による建築活動等への影響」に関しては,まずは,「土地の価格への影響」として「地価公示の推移を他都市比較」と「市内における規制内容の違いによる土地価格への影響」*10の比較,「高度地区の規制を強化した地点とそのままの地点における地価公示での価格推移」*11,次いで,「建物の価格への影響」の把握を目的に「取引価格や賃料データの推移」を「他都市との動向を比較」*12,「住宅着工の動向」*13,加えて「新景観政策に対する対応や工夫の中から生み出されたビジネスや商品開発の事例」*14を評価.

三つめの「景観政策による市民意識への影響」に関しては,「京都市市民生活実感調査」*15に基づく評価,「良好な景観づくりに向けた市民の取組」*16を掲載.

景観という政策領域は,極めて「効果ラグ」*17の発生を内在化した政策領域とも考えられるためか,同白書でも,同政策により直截的な成果又は効果としての改善すべき課題の抽出には,やや禁欲的な記述.今後の継続的な白書の作成と評価の実施もまた肝要そう.要経過観察.

*1:京都市HP(市の組織都市計画局各課の窓口景観政策課景観政策検証システム創刊号完成!)「「平成22年度 京都市景観白書」の発行について

*2:前掲注1・京都市(京都市景観白書)16〜18頁

*3:前掲注1・京都市(京都市景観白書)19〜24頁

*4:前掲注1・京都市(京都市景観白書)25〜35頁

*5:前掲注1・京都市(京都市景観白書)36〜39頁

*6:前掲注1・京都市(京都市景観白書)40〜50頁

*7:前掲注1・京都市(京都市景観白書)51〜60頁

*8:前掲注1・京都市(京都市景観白書)61〜63頁

*9:前掲注1・京都市(京都市景観白書)64〜67頁

*10:前掲注1・京都市(京都市景観白書)68頁

*11:前掲注1・京都市(京都市景観白書)69〜71頁

*12:前掲注1・京都市(京都市景観白書)72〜73頁

*13:前掲注1・京都市(京都市景観白書)74〜76頁

*14:前掲注1・京都市(京都市景観白書)75頁

*15:前掲注1・京都市(京都市景観白書)77〜78頁

*16:前掲注1・京都市(京都市景観白書)79頁

*17:畑農鋭矢・林正義・吉田浩『財政学をつかむ』(有斐閣,2008年)19頁

財政学をつかむ (テキストブックス「つかむ」)

財政学をつかむ (テキストブックス「つかむ」)

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