千葉県東金市役所で節電対策のため、残業する職員を「残業部屋」と名付けた一室に集める試みをしたところ、月当たりの職員の残業代がほぼ半額になった。ユニークな地元キャラクターとして有名になった「やっさくん」を節電イメージキャラクターに使った効果もあったという。
 市は対前年比で25%の節電を目標に取り組んだ。室温が29度以下では、空調を使わないことを原則にした。早朝登庁による仕事や、不必要な電気機器のコンセントをすべて抜くことも徹底した。極め付きは、残業部屋の設置。庁舎2階の会議室を残業部屋に模様替えした。庁舎内の完全消灯時間を午後6時半に設定し、職員は退庁しなくてはいけない。どうしても必要な残業をするときのみ、残業部屋に書類を持参し、仕事をする。1カ所に集中すれば節電できるからだ。
 節電を奨励するポスターには、東金商工会議所青年部がイメージキャラクターに選んだ「やっさくん」が描かれている。短髪で、着ているのはランニングシャツに半ズボン、そして手にしているのはうちわという究極の省エネルックに注目しての登場だった。残業部屋は原則としてクーラーなしだが、6月15日の開設以来、これまでに延べ約150人が利用している。1日平均3人という。この結果、庁舎の電気使用量は7月が対前年比約41%減、8月は同約42%減となった。残業代も昨年度は毎月計約600万円だったが、300万円前後に半減した。職員の間には「パソコンや資料を持って残業部屋に移動するのは面倒だ」という声もあるが、思いのほかの効果に、市幹部は「残業部屋は当面存続させます」と力強く話している。(高木和男)

本記事では,東金市における節電の取組結果を紹介.
2011年6月16日付の本備忘録にて記録した,同市の節電対策としての「残業部屋」設置の成果を紹介.本記事を拝読させて頂くと,「残業部屋」は「原則としてクーラーなし」とされたためか,「6月15日の開設以来」「これまでに延べ約150人が利用」され,「1日平均3人」という結果.これにより「昨年度は毎月計約600万円」であった「残業代」が「300万円前後に半減」の見込み.
「いつでも残業できる状態にある働き方が可能なワーク・ワーク」*1型の執務スタイルが,「残業部屋」に執務空間を移すことで(寧ろ,移ることを嫌ってか),「大部屋で仕事を行う執務形態をとっているので,互いに協力しカバーしあって」*2残業に至ることを事前抑制され,「時間制約」の「意識化」*3が高まることにもなったのだろうか.同取組は,当初は「9月15日まで実施」*4とされてはいたものの,本記事後段では「残業部屋は当面存続」をされる方針とも記載.季節を変えたなかでの,同部屋と「ワーク・ワーク」な執務スタイルの変化も観察ができると興味深そう.要観察.

*1:武石恵美子・佐藤博樹「時間意識の向上のためのモデル事業と働き」佐藤博樹, 武石恵美子編著『ワーク・ライフ・バランスと働き方改革』(勁草書房,2011年)111頁

ワーク・ライフ・バランスと働き方改革

ワーク・ライフ・バランスと働き方改革

*2:稲継裕昭『地方自治入門』(有斐閣,2011年)103頁

地方自治入門 (有斐閣コンパクト)

地方自治入門 (有斐閣コンパクト)

*3:前掲注1・武石恵美子・佐藤博樹2011年:113頁

*4:東金市HP(財政課)「東金市における節電対策と今後の取組 この夏 ”市役所庁舎 25% 節電宣言”