【栃木】鈴木俊美市長は28日の定例記者会見で、特定任期付職員として弁護士福田公子氏(37)を総務部参事に採用したと発表した。市職員として弁護士を雇うのは県内で初めて。
 福田氏は法的な行政課題に対する助言や指導を担当。特に現在市は、市土地開発公社の工場跡地購入問題や福田屋百貨店栃木店の跡地利用問題などを抱えており、専門的な立場からアドバイスする。任期は2014年10月31日まで。市には、顧問弁護士が一人いるが、あらかじめ約束を入れた後、相談のために訪問するという形式をとっていた。市職員として常駐させることで法的な問題について迅速な対応がとれる体制をとった。福田氏は「公平で公正な市政を実現したい。市民の期待を受けて業務に従事していることを十分にわきまえた上で仕事をしていく」と話した。
 福田氏は東京都出身。上智大学法科大学院修了後、司法試験に合格、今年の8月に司法修習を終えた。

和歌山市は法律問題を円滑に解決するため、来年度から弁護士1人を職員として採用する。同市は所有権移転登記をしていなかった公園の土地を巡り個人所有者と訴訟で争うなどしている。職員が施策などに関する法律上の相談をしやすいよう、弁護士を市役所に常駐させる。
 受験できるのは1972年4月2日以降生まれで、弁護士として訴訟の実務経験が2年以上ある人。12月16日まで募集している。任期は来年4月からの2年間で、月給は副課長級の47万7000円。現在、2人いる顧問弁護士には月額15万円を支払っている。来年度からは訴訟までの法律問題を弁護士の職員が、訴訟関係を顧問弁護士が担当する。【御園生枝里】

両記事では,栃木市和歌山市における組織内弁護士の配置の取組を紹介.
2010年2月26日付の本備忘録では瀬戸内市同年7月1日付の本備忘録では神奈川県,同年9月4日付の本備忘録では流山市2011年2月16日付及び同年3月31日付の両本備忘録では福岡市,そして,同年11月3日付の本備忘録では,その募集開始を記録した池田市と,本備忘録での観察記録だけでも,7件目となる同取組.第一記事で紹介されている栃木市の取組に関しては,現在のところ,同市HPではその内容を把握できず,残念.第二記事で紹介されている和歌山市の取組に関しては,同市HPを参照*1.外部の専門家の採用を通じることで,「訴訟技術の面」における「「自治体の優位性」は減少」*2しつつもあるのだろうか.興味深い.
同市では,「平成24年4月1日から平成26年3月31日まで」の任期を置き,「特定任期付職員(弁護士)」の区分として募集.同職員は「法務専門副主幹(副課長級)」として配置され,「庁内弁護士としての法律相談業務」,「法的事案の整理,処理業務」,「施策の法的妥当性,法的妥当性の検証,助言等」を担うことが想定されている.「受験資格」は,「昭和47年4月2日以降に生まれた方」と着任時に満40歳までとなり,併せて,同任期の開始日である「平成24年4月1日から勤務可能な方」となる.また,「平成23年11月30日現在」で「弁護士として訴訟活動に関する実務経験が2年以上ある方」であり「司法修習生の修習を終えている方」*3とされている(司法修習生の修習を終えずに,弁護士として訴訟活動に関する実務経験を有する方も想定されるものなのでしょうか,要確認).「給与等」は,「給料月額(地域手当含む)」が「524,700円」とされ,同額には「地域手当47,700円」が含まれている.また,「期末手当及び通勤手当がそれぞれの支給条件に応じて支給」.「扶養手当,住居手当,勤勉手当,時間外勤務手当等は支給」外となる.なお,「採用された方」は「和歌山県市町村職員共済組合等に加入」*4となる.
「選考の方法」は 「書類審査」と「口述試験」が実施され,「書類試験」では「専門性,業績等を審査」し,「平成23年12月21(水) 午後1時30分から」「口述試験」を「個人の形式」に実施し,「主として人物,性格等についての面接」を行う.両試験の「総合得点」により選考.また,同市では,「正式合格者が採用を辞退した場合などに備え繰上げ合格候補者をあらかじめ決定しておき,辞退等があった場合にその中から成績順に採用する制度」として「繰上げ合格制度」を設置.「正式合格者が採用を辞退した場合」,「正式合格者が受験資格を満たさないことが明らかとなった等により採用できない場合」には,「正式合格者の次位以下の方の中から成績順」に「繰上げ合格候補者」となる.また,今後,「業務増や急な退職による欠員が生じた等の事情」から「同じ試験区分の採用試験が新たに実施され」た場合,今回の「試験結果による繰上げ合格候補者」が「新たに試験が実施された場合であっても優先的に正式合格となることは」*5ないともされている.同市の採用状況は,要経過観察.

*1:和歌山市HP(和歌山市HP(平成23年度和歌山市特定任期付職員(弁護士)採用選考(募集中))「平成23年度(2011年度) 和歌山市特定任期付職員(弁護士)採用選考受験案内

*2:鈴木潔「行政事件訴訟法と訴訟法務」北村喜宣・山口道昭・出石稔・礒崎初仁『自治政策法務』(有斐閣,2011年)267頁

自治体政策法務 -- 地域特性に適合した法環境の創造

自治体政策法務 -- 地域特性に適合した法環境の創造

*3:前傾注1・和歌山市平成23年度(2011年度) 和歌山市特定任期付職員(弁護士)採用選考受験案内)1頁

*4:前傾注1・和歌山市平成23年度(2011年度) 和歌山市特定任期付職員(弁護士)採用選考受験案内)5頁

*5:前傾注1・和歌山市平成23年度(2011年度) 和歌山市特定任期付職員(弁護士)採用選考受験案内)2頁