城郭風の屋根を乗せたユニークな外観で知られる県庁本庁舎のプラモデルを、豊橋市のメーカー「ファインモールド」が開発した。七日から全国の模型店で販売が始まるのを前に、鈴木邦宏社長が六日、名古屋市中区の県公館で、大村秀章知事に完成品を贈った。
 県庁本庁舎は、鉄筋コンクリート造の洋風建築に城郭風の屋根を乗せた「帝冠様式」で、一九三八年に建てられた。プラモデルは実物の五百分の一の大きさで、幅二十一センチ、高さ九・五センチ、奥行き十一センチ。部品は四十四点で、接着剤を使わずに組み立てられる。同社は、地元の貴重な建物を全国にPRしようと、昨年一月ごろに本格的な開発に着手。建物を見学したり、文献を調べたりした。開発では、県などが出資する「あいち中小企業応援ファンド」の資金援助も受けた。
 県公館で鈴木社長は「本庁舎は立派な建物。プラモデルを買ってくれた人が、全国から建物を見に来てくれるかもしれない」と期待した。大村知事も「すごくリアル。プラモデルになって、素直にうれしい。県民にも身近に感じてもらえる」と喜んだ。価格は、本庁舎の史料映像を収めたDVD付きが三千六百七十五円、プラモデルキットのみが二千九百四十円。問い合わせはファインモールド=電0532(23)6810。    
(内田康)

本記事では,愛知県庁舎のプラモデル販売を紹介.同販売に関しては,同県HPを参照*1
販売される同社のサイトでは,「愛知の元気につながる -愛知県庁 本庁舎 プラモデル-」(You Tube)や「時を超えてつながる-愛知県庁 本庁舎-」(You Tube)という映像も掲載.前者の映像からはプラモデル化までの緻密なプロセスに苦労が窺われ,後者映像からは,実際の庁舎の計画から竣工のプロセスの苦労も窺われ,両映像の解説は,2008年12月7日付の本備忘録にて項目立てを試みた本備忘録の妄想的・断続的観察課題のひとつ,「庁舎管理の行政学」の観点からも,たいへん参考になる.ただただ,庁舎を眺めるだけの下名にとっても,購入し,実際に作成してみたくなるような,なんとも,魅力的な一品(とはいえ,作れる自信は皆目ありませんが).
「壁はヨーロッパ系のデザイン中心でまとめその上に日本式の瓦屋根を載せ」,一見する限りは「木に竹を継ぐスタイル」*2とも称される「定冠様式」により立てられた同県庁舎.「互いに隣接する」,名古屋市庁舎とあわせた「この二庁舎は,いずれも名古屋城からの暗示を受け」*3つつ,「デザインとしてぎこちないが,その異和感」が「伝統をトゲトゲしいまでに強調する効果」*4をもつとも解されている.嘗ての「お役所」でもある(と,下名は勝手に解釈しておりますが)「お城」のプラモデルは多く販売されていることに倣えば,まずは,お隣の名古屋市庁舎,そして,更には,全国の庁舎がぞくぞくと販売されると,ますます興味深そう.

*1:愛知県HP(ビジネス・産業商工業・中小企業中小企業支援 記者発表 )「有限会社ファインモールドの「愛知県庁本庁舎」プラモデルの開発が完了しましたので、同社社長が知事を表敬訪問し、完成品を寄贈します!

*2:藤森照信『日本の近代建築(下)』(岩波書店,1993年)21頁

日本の近代建築〈下 大正・昭和篇〉 (岩波新書)

日本の近代建築〈下 大正・昭和篇〉 (岩波新書)

*3:井上章一『戦時下日本の建築家』(朝日新聞社,1995年)58頁

*4:前掲注1・藤森照信1993年:22頁