玖珠町森地区の二つの自治区が合併し、「伏原自治区」(24戸)として発足。新しい自治区のスタートを切る調印式が23日、森自治会館であった。町内には288の自治区があるが、そのうち161が15戸以下の小規模自治区。災害時の助け合いや高齢者世帯への支援などが課題となっている。町は安定した自治区運営のために合併を推進していく考えで、合併自治区には交付金を支給している。
 式には合併する伏原上、伏原下両自治区民ら25人が出席した。久保喜延伏原上自治委員と浜田洋伏原下自治委員、朝倉浩平町長が調印書に署名。朝倉町長が「行政事務の円滑な運営、災害時の対応には自治区との連携が欠かせない。20戸以上のしっかりとした自治区ができ、町としても合併は喜ばしい」と述べた。両自治区は約20年前までは合わせて30戸ほどあったが、現在は24戸に減った。毎年秋に共催で月見の会を開くなど、交流があったことから合併が円滑に進んだ。新自治区の久保自治委員は「これまで以上に絆を深め、住民同士で助け合っていきたい」と話した。
 町内4地区の自治区数は▽森 118(15戸以下80)▽玖珠 82(同32)▽北山田 40(同18)▽八幡 48(同31)―。町には合併した自治区に対し、一つの区当たり3万円を交付する制度がある。(二つが合併した伏原は6万円)。さらに、1戸当たり500円を自治区に支給する。
交付制度2例目
 2005年に初めて制度を利用して玖珠地区で中山田自治区が発足したが、その後は合併が進まず、伏原自治区は二つ目となる。明治期以前より、共有林や集落道、神社の維持管理などをしてきた「組」の制度が合併を阻む要因の一つ。組長と自治委員が兼務の場合が多く、二つの組織が絡まり合っている。町は「自治区と、共有林などの財産を持つ組の役割を明確にし、分離することで合併を促していきたい」としている。

本記事では,玖珠町における自治区合併を紹介.
同町では,2005年に「玖珠町自治区合併統合推進交付金交付要綱」*1を制定.「2自治区以上の自治区が合併統合した場合」に「その年度に限り」「合併統合した自治区」に「交付金を交付」(同要綱第1号)する.具体的な交付額は,「合併統合前自治区の数」を対象に「均等割」として「1自治区当たり30,000円」,そして,「合併統合してできた総戸数」を対象に「戸数割」が「1戸当たり500円」とされており,これらの「合算額」が「交付」(同要綱第2号)となる.本記事によると,同要綱に基づく「合併統合」は「二つ目」とのこと.加えて,本記事では「明治期以前より,共有林や集落道,神社の維持管理などをしてきた「組」の制度が合併を阻む要因の一つ」とも分析する.「共通の利害を処理する単位」*2としての一致は容易ではないことが窺えそう.なるほど.

*1:玖珠町HP(玖珠町例規集)「玖珠町自治区合併統合推進交付金交付要綱」(平成17年3月31日,玖珠町要綱第1号)

*2:松沢裕作『町村合併から生まれた日本近代』(講談社,2013年)189頁

町村合併から生まれた日本近代 明治の経験 (講談社選書メチエ)

町村合併から生まれた日本近代 明治の経験 (講談社選書メチエ)