多摩市の複合文化施設パルテノン多摩」(落合二)の大規模改修の費用が、概算で約八十億円に上ることが分かった。建設費と同じ規模で、コスト削減を求める声が高まりそうだ。
 概算は八月末、学識経験者らによる基本計画策定委員会で、改修設計を担当する事業者が報告した。劣化修復やバリアフリー対応などで約六十億円、ホールの音響変更など機能向上のための改修を加えると、総額約八十億円になるという。
 施設は総工費八十億円をかけて一九八七年にオープン。市外郭団体が運営し、約千四百人収容の大ホールや展示室などを備える。近年は老朽化のため外壁の一部がはがれそうになったり、給水ポンプや空調設備に不具合が出たりしていた。
 市議会九月定例会でも取り上げられ、市議から「市民一人あたり五万円以上。なぜ改修でそんなに高いのか納得できない」(遠藤ちひろ氏)などと批判が相次いだ。市側は「大規模改修をしなかった過去のつけであり、反省している」などと答弁した。
 施設はクラシックやポピュラー音楽の公演や映画上映などの事業で、二〇一五年度は過去二番目に多い約二十五万人が来場したが、収入の約七割を指定管理料が占めるなど、市への依存が続いている。 (栗原淳)

本記事では,多摩市における文化施設の改修方針を紹介.
同市に設置された「多摩市立複合文化施設等大規模改修工事基本計画策定委員会」では,2016年8月31日に開催された第4回の同委員会において「工事金額」が「概算」*1で提示されており,「(仮)概算工事金額」の「合計」は記事で紹介されている通り「80億円」*2と推計されている.同金額の内訳としては,「施設の内外装や設備」に関する「時間の経過に伴う機能・性能の低下による物理的な劣化への機能回復」としての「劣化改修」,「法改正や新基準への対応等を確保する改修」としての「安全性の向上」「バリアフリー化」「標準性能の確保」は*3をあわせて「59.5億」*4,「新たな市民ニーズ対応や賑わいの創出を拡充」し「現在の社会が求める機能を付加すること」を目的とした「機能及び利便性の向上」*5は「20.5億」*6が推計されている.
改修による「地域のために機能する」*7運営状況は,要観察.

*1:多摩市HP(暮らし市民活動・文化生涯学習・スポーツ文化情報多摩市立複合文化施設(パルテノン多摩)大規模改修事業「多摩市立複合文化施設等大規模改修工事基本計画策定委員会」開催のお知らせ及び開催記録)「パルテノン多摩改修項目検討資料」(第4回基本計画策定委員会 補足資料,2016年8月31日)4頁

*2:前掲注1・多摩市(パルテノン多摩改修項目検討資料)4頁

*3:前掲注1・多摩市(パルテノン多摩改修項目検討資料)3頁

*4:前掲注1・多摩市(パルテノン多摩改修項目検討資料)4頁

*5:前掲注1・多摩市(パルテノン多摩改修項目検討資料)3頁

*6:前掲注1・多摩市(パルテノン多摩改修項目検討資料)4頁

*7:松本茂章『日本の文化施設を歩く』(水曜社,2015年)366頁

日本の文化施設を歩く 官民協働のまちづくり (文化とまちづくり叢書)

日本の文化施設を歩く 官民協働のまちづくり (文化とまちづくり叢書)