「町なのに株主総会?」と、不思議に思う読者の方々もたくさんいるだろう。北海道のほぼ中央に位置する東川町(7900人)は一度でも町にふるさと納税をした寄付者を「株主」と位置付け、昨年から寄付金の使途などを直接説明する「株主総会」を開催している。町は「地元産品を使った昼食会なども通じて理解を深め、町をもっと好きになってもらいたい」と話し、将来の町への定住・移住などへつなげたい考えだ。
 町によると、株主制度はふるさと納税が始まった2008年から開始。株式は1株1000円で、今年9月末までに合計2億7433万8000円の寄付金が集まった。累計の「株主数」も1万1070人に上るという。
 寄付者を株主と位置付けたことについて、松岡市郎町長は「ふるさと納税は全国の自治体から東川町を選んでいただくわけで株式投資に似ている。だから、町の『株主』と呼ぶ方がふさわしいと考えた」と説明する。その上で、町内で株主総会を開く理由について、「株主同士が顔を合わせる機会もなかった。町にとっても株主の方に来てもらい、町の姿をじかに見てもらうことに最大の意義がある」と強調する。
 町は参加を促すため、航空機を利用する道外の株主に対して2万円を上限とする運賃補助制度も用意した。今年の株主総会は10月21日に開催され、前夜が積雪という悪天候にもかかわらず、道内外から約80人の株主らが参加した。総会では、今年9月末までに集まった寄付金の使途を町職員が報告。町が進める「写真の町」事業に約5700万円、本格的な地元ワインを開発するための事業に約1000万円、来年12月に公開予定の映画「写真甲子園」の製作費として約6400万円を使ったことなどを紹介した。
 一方、株主からは「この環境で子育てができるのは素晴らしいことなので、寄付金の投資先として若い親御さんが移住できる町づくりといったものも対象にしてほしい」と、本物さながらの株主提案が出される場面もあった。総会後は町の名所である旭岳温泉での入浴コースか、町の名産である木工クラフトの体験コースが用意され、参加した株主が町の魅力を実体験できる工夫がなされていた。

本記事では,東川町における「ふるさと納税」制度の取組を紹介.
同町では,同制度を「東川町を応援しようとする方が」同町への「投資(寄付)によって株主となり,まちづくりに参加する制度」*1として運用.同制度では「1,000円を1株として管理」し「株数は株主が」同町に「行った社会貢献を表す数値」となる.また,同株は「社会貢献を表す単位」となり「譲渡や売買,換金などはでき」*2ない.本記事では,2016年「10月21日(金)」に開催された「ひがしかわ株主総会*3の結果を紹介.「投資」への「説明責任」*4を試みる同取組.総会の詳細は,要確認.

*1:東川町HP(ひがしかわ株主制度)「株主制度とは

*2:前掲注1・東川町(株主制度とは)

*3:東川町HP(ひがしかわ株主制度株主の皆様へ)「ひがしかわ株主総会の開催について

*4:伊藤正次,出雲明子,手塚洋輔『はじめての行政学』(有斐閣,2016年)244頁

はじめての行政学 (有斐閣ストゥディア)

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