神戸市会は5日、野良猫の去勢・不妊手術を進めて繁殖を抑制し、殺処分の減少を目指す「人と猫との共生に関する条例案」を全会一致で可決した。この条例を踏まえ、獣医師団体や地域団体でつくる協議会が設立され、公費による不妊・去勢手術を行う。
 自民党神戸市議団、公明党神戸市議団、民進こうべ政策議員団の3会派が議員提案していた。野良猫へのエサやりを禁じる条例や、エサやりのルールを定める条例は例があるが、野良猫の繁殖抑制に特化した条例は全国初という。
 猫は多産で個体数が増えやすい一方で、繁殖を抑制できる法律がなく、同市では2015年度、673匹が殺処分された。同市には、不妊・去勢手術を施した上で地域が世話をする「地域猫活動」への助成制度があるが、野良猫の繁殖抑制に市が直接関わる制度はなかった。
 協議会は苦情などを踏まえて野良猫が多い地域を選定し、公費で不妊・去勢手術を計画的に進める。市は必要な費用を来年度予算案に盛り込む方針。(森本尚樹)

本記事では,神戸市における「神戸市人と猫との共生に関する条例案」の可決を紹介.
「野良猫の繁殖制限及び猫の譲渡の推進に関する施策等について必要な事項を定め」*1た同条例.「地域住民の理解の下に,野良猫の不妊去勢手術を行うとともに,地域住民等の有志により,給餌,給水,排せつ物の処理など当該野良猫の管理を行うこと」を「地域猫活動 」,「所有者又は占有者のいない猫」を「野良猫」と定め,「野良猫」により生活環境等に問題が生じている地域において,一定区域内の野良猫を対象に不妊去勢手術を施した上で,当該区域に戻すこと」を「野良猫の繁殖制限」*2と規定.
そして,「市」,「飼い主」の「責務」,「獣医師が組織する団体」,「共生推進活動団体等」,「動物取扱業者」,「市民及び事業者」の「役割」を定めるとともに,これらの団体「相互に連携してこの条例の目的を達成しようとする団体は」「市の協力の下に」「人と猫が共生する社会の実現を図るための推進主体として」「神戸市人と猫との 共生推進協議会」を「組織」*3することを規定している.同条例の「運用や協働・合意形成」*4を通じた,同条例の目標達成の過程は,要観察.

*1:神戸市HP(神戸市会政策提案政策提案条例政策提案条例h28)「神戸市人と猫との共生に関する条例

*2:前掲注1・神戸市(神戸市人と猫との共生に関する条例)

*3:前掲注1・神戸市(神戸市人と猫との共生に関する条例)

*4:打越綾子『日本の動物政策』(ナカニシヤ出版,2016年)97頁

日本の動物政策

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