豊島区は池袋駅周辺の混雑を緩和するための実証実験を十一月三十日まで約一カ月間行った。カメラと人工知能(AI)を使って歩行者の密度や流れを調査したが、その一環でプロジェクションマッピングを使い、サンシャインシティに向かう人たちを誘導する実験も行われた。 (宮崎美紀子)
 駅からサンシャインに向かう歩行者は「サンシャイン60通り」に集中する。同区によると、休日は一日十七万人以上が「60通り」を歩くが、北側の「サンシャイン通り」は四万七千人くらいだという。
 そこで区は十一月二十三〜二十五日の夜、サンシャイン通り入り口のヤマダ電機の壁面でプロジェクションマッピングを行い、映像に興味を持った人を、この通りに誘導できるか実験した。実験なので日時や目的は伏せて実施された。
 日が暮れ始めた午後四時半ごろ。にぎやかな音楽とともに、壁面にクリスマスの映像が映し出され、実験とは知らない歩行者が興味深そうに見上げていた。赤ちゃんを連れた練馬区の女性(23)は「通った時に音がバーンと聞こえて、みんながこっちを見ていたのに気付きました」としばらく鑑賞。新潟から来たという三世代の家族連れは「(東京は)いろんなイベントをやってて、すごいですね」と感心していた。ただし駅から人を誘導する実験なのに、駅前からは見えにくいという問題もあった。
 サンシャイン通りは、来年秋に旧庁舎跡にオープンする複合施設「ハレザ池袋」への最短ルートだ。実験結果の分析はこれからだが、区の担当者は「ハレザは年間一千万人が来ると想定されている。今回の実験データをもとに、安全、快適に歩ける街を作りたい」と述べた。

本記事では,豊島区における歩行者流動の把握の取組を紹介。
2018年11月5日付の本備忘録で記録した同区による同取組。本記事によると「庁舎跡地」を活用する「Hareza 池袋」*1への「最短ルート」の誘導も含めて実施された同実証実験。「状況を的確に把握」*2した後の,誘導施策の取組状況は,要観察。

*1:豊島区HP(区政情報公民連携・重点プロジェクト庁舎跡地の活用(Hareza 池袋))「これまでの事業経過(平成28年3月まで)

*2:稲継裕昭『AIで変わる自治体業務 残る仕事、求められる人材』(ぎょうせい,2018年)158頁

AIで変わる自治体業務―残る仕事、求められる人材

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