国立国会図書館デジタルコレクションの公開範囲変動(2018年2月)

「月刊NDLデジコレメタデータWatch」第45号。今月も国立国会図書館デジタルコレクション(以下、NDLデジコレ)の変動を追ってみた。

国立国会図書館デジタルコレクション書誌メタデータ 2018年2月の変動

NDLデジコレのメタデータについて、2018年2月1日から2018年2月28日までに変更のあったレコードは128,970件であった*1

1月末時点のデータにおいては、「資料種別」*2が「図書」であるもののうち、「著作権に関する情報」*3に「インターネット公開」を含むものは353,955件であったが、2月28日までの更新を適用したデータにおいては354,054件となっており、99件増加している。

資料種別が「図書」であるものについて、資料数内訳は以下の通りであった。

著作権に関する情報 (dcterms:rights) 1月末 2月末
インターネット公開(許諾) 9837 10124 +287
インターネット公開(裁定)著作権法第67条第1項により文化庁長官裁定を受けて公開裁定年月日: 2015/02/09 17 17 0
インターネット公開(裁定)著作権法第67条第1項により文化庁長官裁定を受けて公開裁定年月日: 2015/02/09; 2015/11/10 2 2 0
インターネット公開(裁定)著作権法第67条第1項により文化庁長官裁定を受けて公開裁定年月日: 2015/11/10 37257 37257 0
インターネット公開(裁定)著作権法第67条第1項により文化庁長官裁定を受けて公開裁定年月日: 2015/11/10; 2017/02/06 19 19 0
インターネット公開(裁定)著作権法第67条第1項により文化庁長官裁定を受けて公開裁定年月日: 2017/02/06 32021 32021 0
インターネット公開(保護期間満了) 274802 274614 -188
国立国会図書館/図書館送信参加館内公開 561981 561783 -198
国立国会図書館内公開 0 76213 +76213
館内公開 76142 29 -76113
(総計) 992078 992079 +1
(内、インターネット公開分合計) 353955 354054 +99

2月26日付け「お知らせ」でアナウンスがあったように、「著作権に関する情報」の設定値として、「館内公開」は「国立国会図書館内公開」の表記に置き換わりつつある。

さらに「著作権に関する情報」変動の内訳を見てみる(表示スペースの都合により、「著作権に関する情報」の設定値を略記するとともに、実質的に同内容の変動(「館内公開」から「国立国会図書館内公開」へ)は省いた)。

2月末 総計
許諾 保護期間満了 館内公開
1月末 保護期間満了 286*4 100*5 386
図書館送信 1*6 196*7 1*8 198
館内公開 2*9 2
総計 287 198 101 586

この表は、例えば、1月末時点では図書館送信であった図書で、2月末にはインターネット公開(保護期間満了)に変更されているものが196件あると読んでほしい。

この表の他、1月末のメタデータには存在せず、2月に登録された図書が1件(館内公開*10)あった。デジタル化日は「2018-02-16」、利用可能日は「2018-02-23」となっており、デジタル化から公開まで約1週間と異例の迅速さだが、何か特別な事情がある資料なのだろうか。

パブリックドメイン図書の増加

インターネット公開(保護期間満了)へと変更された図書には、著作者が1967年に没し、2018年からパブリックドメインとなったものが多数含まれている。

ここでは、図書館送信から保護期間満了に変更された図書(新たにインターネットで閲覧できるようになった資料)を中心として、いくつか著名な著作者のものについて取り上げる。なお、1967年に没した人物による序文などを含むため、これまで保護期間満了として公開されていなかった図書の列挙は、煩雑となるため省略している。

小説家・詩人・翻訳家など

他に、1966年に没した佐佐木茂索(小説家)*11などの著作物にも保護期間満了への変更が見られた。

美術家

『配色総鑑』のインターネット公開はありがたいが、色見本が貼付された配色に関する資料でグレースケール画像なのは残念なところ。

他に、1966年に没した高畠華宵(挿絵画家)*12、斎藤五百枝(挿絵画家)などの著作物にも保護期間満了への変更が見られた。

源吾旅日記
源吾旅日記(赤川武助 著、高畠華宵 挿絵)
(Source: 国立国会図書館デジタルコレクション)

学者・宗教家など

他に、1966年に没した武内義雄中国哲学者)*13、佐成謙太郎(国文学者)などの著作物にも保護期間満了への変更が見られた。

政治家・官僚・軍人・実業家など

古典籍資料の公開範囲変更

資料種別が「和古書」であるものについて、今月も公開範囲に変動があったか調べてみた。

著作権に関する情報 (dcterms:rights) 1月末 2月末
インターネット公開(許諾) 8 8 0
インターネット公開(保護期間満了) 72871 72871 0
国立国会図書館/図書館送信参加館内公開 17030 17030 0
国立国会図書館内公開 0 3 +3
館内公開 3 0 -3
(総計) 89912 89912 0
(内、インターネット公開分合計) 72879 72879 0

実質的に同内容の変動(「館内公開」から「国立国会図書館内公開」へ)を除き、「著作権に関する情報」に変動は見られなかった。

2018年2月のNDLデジコレ追加資料

3月1日現在、国立国会図書館からのアナウンスはないが、2月には以下の資料が追加されている。

  • 図書1件(館内公開)

今後のデジタル化予定

国立国会図書館ウェブサイトの「デジタル化作業に伴う原資料の利用休止について」は、「平成29年12月6日現在」のまま更新はなかった。

一般競争入札公告にみる電子化予定

国立国会図書館一般競争入札公告のうち、資料のデジタル化に関わるものを見ると、2月には新たな掲載はなかった。

2月12日、国立国会図書館ホームページがリニューアルされた。古いURLはリニューアル後の構成にリダイレクトされ、リンク切れとはならないように考慮されているようだ。

*1:国立国会図書館サーチが提供するOAI-PMHを利用した。

*2:dcndl:materialType

*3:dcterms:rights

*4:2018年1月にインターネット公開(許諾)からインターネット公開(保護期間満了)へ変更された373件のうち286件が再び許諾に戻された。内訳は、『演劇』、『国会・内閣・政党』、『すごろくえほんどうぶつのうんどうかい』、『羅生門の鬼 : 日本古譚集』、『公正取引委員会年次報告』(昭和24年度昭和25年度昭和26年度昭和27年度昭和28年度昭和29年度昭和30年度昭和31年度昭和32年度)の13件に加え、「災害対応力強化のためのデジタルアーカイブ」に関する273件。「災害対応力強化のためのデジタルアーカイブ」に関しては、2018年1月にインターネット公開(許諾)からインターネット公開(保護期間満了)へ変更された275件のうち273件が再び許諾に戻されたことになり、保護期間満了として残っているのは『震災記録 : 昭和19年12月7日』『伊勢湾台風 : 災害復興記録写真集』の2件となった。『伊勢湾台風 : 災害復興記録写真集』に関しても、内容を見ると、いずれ許諾に変更されるのかもしれない。

*5:研究報告、調査報告、学術報告、彙報等の集合著作物など。他に、2018年1月に保護期間満了に変更された和田三造『標準図画 巻2』が再び館内公開に変更されている。

*6:手形小切手概要

*7:亜石句集』、『岩手県金石志』、『岩波講座世界文学 第9』、『岩波講座日本歴史 第7』、『英国法に於けるキングの地位』、『英作文の練習 : 高等学校』(文科用理科用)、『英文商業通信教本』、『英法一部 1』、『英法第一部 第3分冊』、『應用理化一斑』、『應用理化一斑』、『オーガン教本 : 実力本位自学自習 巻1』、『オーガン独奏名曲集』、『大越米吉翁 : 信仰の人』、『概観日本史要 第1分冊』、『化学提要 : 自然科学』、『学記・大学』、『家畜写真図譜』、『華北交通の創業』、『惟神経済の樹立を急げ! : 日本を救ふ道』、『奇勝竜河洞の全貌』、『業間録』、『業間録』、『窪田空穂 : 1902=1914』、『黒金剛誉出征紀略』、『経済倶楽部講演』(5493第52輯 (欧米より見たる極東問題・ナチス支配下に於ける独逸の現状を中心として))、『源吾旅日記』、『現行鳥取縣令規全集 : 加除自在 第1綴』、『憲政の常道』、『現代学生と主イエスの福音』、『現代自然科学提要 第1分冊』、『健民方策資料』、『紅顔美談』、『皇国青少年の道』、『皇室と土佐』、『高等化学実験』、『公民教育叢書 第4輯 女子を對象とする公民教育』、『小絵馬』、『古句を観る』、『国文学講座 第21巻』、『獄門首土蔵』、『国訳漢文大成』(経子史部 第1巻経子史部 第2巻経子史部 第3巻経子史部 第4巻経子史部 第5巻経子史部 第6巻経子史部 第7巻経子史部 第8巻経子史部 第9巻経子史部 第10巻経子史部 第11巻経子史部 第12巻経子史部 第13巻経子史部 第14巻経子史部 第15巻経子史部 第16巻経子史部 第17巻経子史部 第18巻経子史部 第19巻経子史部 第20巻経子史部 第21巻経子史部 第22巻経子史部 第23巻経子史部 第24巻文学部 第1巻文学部 第2巻文学部 第3巻文学部 第4巻文学部 第5巻文学部 第6巻の上文学部 第6巻の下文学部 第7巻文学部 第8巻文学部 第9巻文学部 第10巻文学部 第11巻文学部 第12巻文学部 第13巻文学部 第14巻文学部 第15巻文学部 第16巻文学部 第17巻の上文学部 第17巻の下文学部 第18巻文学部 第19巻文学部 第20巻文学部 第21巻文学部 第22巻続 文学部第67の下冊第8巻 第1輯)、『御大典記念特許発明大講演集』、『在支雜感||南洋視察談』、『産業組合 : 青年教育農芸叢説』、『子規居士』、『子規居士の周囲』、『子規居士の周囲』、『支那詩論史』、『支那文学研究』、『司法保護と職業紹介』、『主イエスと罪人たち』、『正倉院考古記』、『聖徳太子御年譜』、『小児伝染病の予防』、『少年団健児教本 : 稿本 序巻 (宣誓・「おきて」義解篇)』、『書翰書式帖』、『女子教育日本文法教本』(上巻下巻)、『処女と衛生』、『新資本主義と持株会社』、『新資本主義と持株会社』、『新武士道の国際的運動に就て』、『新時代の雄弁法』(上篇下篇)、『新進傑作小説全集 第3巻 (佐々木茂索集)』、『神武天皇の御鴻業を偲び奉る』、『心理学概論』(12)、『森林と社会』、『水力の利用と水力タービン』、『すめらみくに : 国史百光譜』、『底力論』、『底力論』、『蘇州河 : 長篇』、『台華視察記』、『哲学論叢 第13』、『天誅組紀州落顛末』、『東京の屋根の下 : 山岸曙光歌謡集』、『東洋経済パンフレツト 第27輯』、『読譜より鑑賞へ』、『図書分類』、『鳥取池田家文書 第3』、『鳥取県[地図]』、『泥沼』、『燉煌本文心彫竜校勘記』、『鍋島閑叟公』、『縄跳び運動』、『南京の皿』、『南游志』、『日英すでに戦ひつゝあり : 即刻全面的に戦線を拡大せよ』、『日本美術史概説』(第1冊 序説及原始時代第3冊 天平時代第4冊)、『日本的世界観』、『乳児の栄養方法と小児の糞便』、『熱化学』、『農業金融』、『配色総鑑』(A篇 第1輯A篇 第3輯A篇 第4輯A篇 第5輯A篇 第6輯A篇 第7輯A篇 第8輯A篇 第10輯A篇 第11輯)、『白川集』、『花咲く隠れ家』、『埴生護国八幡宮古文書』、『般若 : 他二篇』、『藤原工業大学概要 昭和14年6月』、『文机談』(第1第2第4第5)、『平家物語 : 教科新抄』、『平家物語選』、『ヘーゲル論』、『増鏡 : 新訂要註』、『増鏡通釈』、『万葉図録 解説』、『水鏡』()、『山崎神社史』、『遊侠男一代』、『楊花集』、『謠曲と日本精神』、『幼兒の如くならずば』、『陸稲増産読本』、『柳園家集』、『臨牀医学講座』(第43輯第92輯第95輯)、『列国航空界の現勢に就て : 附・我国航空工業に対する所見』、『老子と荘子』、『老子の研究』(上(序説)下(道徳経析義)(上)(下))、『若い舞台裏 : 詩集』、『若き日本の行くべき道』、『若き日本の行くべき道

*8:多元数論入門

*9:『商業研究所講演集』(第4輯第51冊 獨乙の外資輸入と賠償支拂の將來

*10:教育漫筆』。提供者は「国立国会図書館電子図書館課_201」となっている。

*11:新進傑作小説全集 第3巻 (佐々木茂索集)』、『南京の皿

*12:源吾旅日記

*13:学記・大学』、『老子と荘子』、『老子の研究』(上(序説)下(道徳経析義)(上)(下)