緋の剣は誰がために―マグナ・スペクトラ
緋の剣は誰がために―マグナ・スペクトラ (富士見ファンタジア文庫)
- 作者: 秋田みやび,安田均,藤田香
- 出版社/メーカー: 富士見書房
- 発売日: 2005/11
- メディア: 文庫
- クリック: 4回
- この商品を含むブログ (7件) を見る
緋の剣は誰がために―マグナ・スペクトラ
【算定価格】 345円
【STORY】 人が命を落とすと死者の魂は宝珠となり、この世に残る。そんな世界で生きる少年セレストは東の大地――グレート・ガーデンより旅立つ。赤い髪を持つ姉と紫の瞳を持つ少女・テュシアとともに。少年を待つ冒険とは!?
【感想】 設定が「銀色の髪のアギト」にそっくりな為、脊髄反射的にパクリ作品の烙印を押したくなる作品(アギトの方が後発だけど)。<大崩壊>なる大災害後に生き抜く人々、世界は三勢力に別れ、各国は古代遺産の復活を企てる、物語は三勢力のうちの一つ<大庭園>(森の国)での様子が描かれ、〈大庭園〉に暮らす主人公(セレスト)はある日国境の町へと出発する――ってな感じで、列挙すれば列挙するほどアギトの設定にそっくり。人間誰しも考えることが同じなのか、アギトが本作にインスパイアされたのかどーかは知らないが。
物語は前半部分は退屈だが、中盤くらいから段々おもしろくなってくる。中盤以降に前半部で作った伏線をうまく回収していくし、場面場面のギャグには光るものを感じさせる。しかしながら場面が変わると一転、文章表現がおぼつかなかったり、すべったりしており、結果的に全体の評価が平均的なものになってしまうのはもったいない。
登場人物は『親ばか、天然ボケ、暴力女、突っ込み役主人公』というバランスがとれた布陣であり、キャラ立ちもそこそこ良い。主人公は精霊使いという設定なのだが、他のメンバーとのパワーバランスも取れている。ただし、作中ではとある場面で、迫力あるはずの2者の対決が故意に省略されているような部分があり、それが不自然であると共にこの作品のバトル面でのポイントを落としている。原稿の文字数制限にでも引っかかったのだろうか?ストーリー展開に不自然さは感じないものの、壮大感や期待感にやや欠ける印象。
以上のように、本書は長短所が入り混じっているものの、ストーリ構成がしっかりしているので平均的な安定感はある。クライマックスに関していえば、続編を作るための口実として捻じ曲げてしまった感が否めないものの。続編が気になる作品ではある。
つまらないと思って買ってみたら、実は結構つまらなくないかも。。。って読者がきっと多いように思われる。